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黒き弾丸と白き学園の守り巫女  作者: 藤原ミヤビ
第1篇 私立桜林学園の新入生
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第3話 生徒会役員達、濃い奴らとの出会い

「ふあぁぁぁ、眠い。」


 僕は大きな欠伸をした。僕はとにかく朝に弱い。それに10時間は眠らないと、本調子が出ない。


「今日も頑張って下さい。かばんです。」


 玲は笑顔でかばんを手渡してくれた。かわいいなあ、もう。


「頑張ってって言っても入学して二日目だけどね。」

「細かい事はいいんです。」


 と玲は頬を膨らませる。その顔を見て僕は笑みを浮かべながらドアを開けた。


「じゃあ行ってきます。」

「行ってらっしゃいませ。マスター。」


 しかしたった1日で、自分のメイドが心を開き、笑顔で送り出してくれる。僕にとってこんなに嬉しいことはない。まだ少しクールだけど。


今日も雲一つない晴天だ。校門をくぐり昇降口へと続く道には桜の木が並ぶ。風が吹くと花びらがひらひらと舞い落ちる。地面は落ちた花びらで覆い尽くされ桜の絨毯を作っていた。昇降口で靴を取り換えるとそこには九条先輩がいた。


「会長、おはようございます。」

「おはよう。雅、今日の昼休みに生徒会室に来い。生徒会の仲間を紹介してやる。」

「本当ですか?」

「ああ。きっといい仲間になると思うぞ。。」


 期待に胸を膨らませる僕だったがその()()()がとんでもない人たちである事をまだ知らなかった。


 今日から授業、といっても入学して1日しか経っていないためオリエンテーションがメインだった。自分達が何か話すといっても、クラスでの自己紹介ぐらいだった。僕は普通に自己紹介して、クラスでの存在を地味めにした。その方が動きやすい。他の男子生徒達の自己紹介を聞いているうちに順番は女子になっていた。…さっきから視線を感じるが気にしない。面倒なことになりそうだから。

 やがて、その視線を向ける子が自己紹介することになり、全員がその子の方を向く。


「東山中出身、工藤美咲(くどうみさき)。ただの人間には興味ありません。私はあなたたちと馴れ合う事はしない。この中にそれでも関係を作りたいとか思ってる人がいたら私のところに来なさい。以上。」


 …。クラスの空気が一瞬で凍りついた。ここ、突っ込む所ですか?えぇぇどうすんの!?この空気!次の人やりずらっ!

 鋭い目線と心に突き刺さるようなまっすぐな声でとんでもないことを言い出したこの工藤美咲はクラスの空気を一瞬にして変えた。そして僕に向かってニヤッと笑みを浮かべて座ったのだ。僕の背筋は一瞬にして凍りついた。この後やった子は美咲が作った妙な空気を変えられずに大変な思いをした。全員が心の中で手を合わせた事だろう。一通り自己紹介が終わるころには教室の空気も元に戻っていた。チャイムが鳴り、担任の元ヤン先生のやる気のなさそうな、終わるぞ~、の声で授業が終わるとみんな帰宅の準備をはじめた。今日は午後の授業がないが、昼休みのあと、新入生を迎える会があった。そのために予め帰る準備をしておくのだ。しかし僕は会の前に、生徒会室へ出向くことになっていたため準備を済ませ九条先輩が来るのを待っていた。


「ここですか。」

「ああ。ここだ。」


 そこには生徒会室の文字が木彫りで書かれている。通常教室や職員室のドアは引き戸だが、この部屋は引き戸ではなく押す、引くの普通のドアとなっている。そんな生徒会室のドアを明日香が開けた。


「やっと来ましたか。遅いですよ。」

「まあまあ、ええやん。新しい仲間が入ったんやから歓迎せんと。」

「それもそうね、雅、さっさと入んなさい。」

「ん。早く入って。」


 そこには生徒会役員の四人の女子生徒が座っていた。

 そこに見覚えのある顔が一人。


「あっ!お前、さっきの訳のわからない自己紹介した…!」

「わっ、訳のわからないって何よ!!」

「じゃあ言い方を変えよう。()()では訳のわからない自己紹介した工藤美咲さん。」

「へぇ。あんた、やけに物分かりいいわね。凡人のくせに。」

「確かにお前から見れば凡人だが僕はただの凡人じゃないからね。」


 言い争いをしていると会長が手を軽く二回叩いた。


「紹介する。まず、机の右前に座ってるのが書記の七宮有沙。」

「よろしく~。」


 書記の七宮有沙(しちみやありさ)。一言で表すとこう、のほほんとしている。京都弁で話す。


「で、その向かい側に座ってるのが、会計の高海杏樹。」

「はーい!よろしくー!」


 会計の高海杏樹(たかみあんじゅ)。この生徒会の元気娘だ。


「杏樹の隣、もう一人の会計。工藤美咲。」

「知ってるわね。んじゃよろしく。」


 もう一人の会計、工藤美咲。少し角が立つ。まるで涼宮ハ○ヒだ。部活作るとか言い出しそうで怖い。


「有沙の隣、生徒議会及び生徒総会議長、十六夜神楽(いざよいかぐら)。」

「十六夜は仮名、本当は桜沢(さくらさわ)神楽。ここ重要。学校では十六夜でよろしく。」


 とても眠そうでやる気のなさそうな桜沢もとい、十六夜神楽はこれでも全ての学級長及びクラス議員を束ねるトップらしいのだ。なぜ十六夜なのかは聞かない事にした。桜沢が本名かも少し怪しい。


「で、私がかっさらって来たのが、」

「副会長になった藤堂雅です。よろしくお願いします。…かっさらって来た!?」


 今の言葉の意図を説明して頂きたい。生徒会メンバーから歓迎の拍手がおくられた。クセはあるがこの人達ならうまくやっていける、僕はそう確信した。ん?これ生徒会で男って自分一人?


「さあ早うお昼食べんと、やばいんとちゃう?」


 と、七宮先輩が僕らを現実へと引き戻した。紹介が長くなって昼食を食べる時間が削られていたのだ。これから新入生を迎える会で長い時間同じ場所に留まっていないといけない。だから今食べておかないと会の途中でお腹を鳴らすという醜態をさらすことになる。


「うん。早く食べるべき。お腹減った。」

「そうだな。購買で買うか。」


 といって僕たちは生徒会室を出て購買へと向かった。


「おばちゃん、焼きそばパン6個、って何やってんですか。」

「はいはい。焼きそばパン6個ね。」


 そこには、おばちゃんに紛したこの学園のトップがいた。

 あんた何してんの!?ってか何でばれないの!?

ここまでお読みいただきありがとうございます。次回は風紀委員が登場します。次回もお楽しみに。

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