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黒き弾丸と白き学園の守り巫女  作者: 藤原ミヤビ
第1篇 私立桜林学園の新入生
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第1話 入学、新たなる出会い

 僕、藤堂雅は中学を卒業後、志望校に合格、あとは入学式を控えるのみであった。しかしある日僕宛てに手紙がやってきた。送り主は合格した志望校。その内容は僕を他学校へと転入学をさせる事を記した手紙と入学に必要な入学証明書、転入学先の学校からの救援要請ともとれる手紙だった。


「助けてください。今私達の学校は敵からの侵略を受けています。助けてくれるなら、そのための武器を提供します。あなたの望む武器を提供します。今私達にはあなたが必要です。」


 ・・・完全なSOSじゃん。胡散臭いけど。あと、何で武器の事を2度も書いたんだ?僕は考えに考えた結果これに応じることに決めた。まだ怪しい所があるが。しかしまだあの高校よりかはいいかな。知り合いもいないだろうし。

 望む武器を提供します、というので同封されていた書類にサインし武器の要望を記入した。しかしなぜ自分なのか。自慢じゃないが僕は体力がない、それに頭も良いわけでもない。それなのになぜ?疑いが残るなか、僕は書類に必要事項を記入して学園に送った。


 そして4月。僕は晴れて私立桜林(おうりん)学園に入学した。この高校は僕が合格した志望校よりも偏差値が高く、少し不安だった。ちなみに公立から私立への転入学だ。入学金や授業料等は僕だけ全額免除らしい。助けられる側からすればこうでもしないと来てくれないと思ったのだろう。


 無事入学式が終わり、教室での入学おめでとう的なことも終わった。担任が一風変わった先生で少し面白い、見た感じ元ヤンだけど(ちなみに名前は瀬名霧夏(せなきりか)というらしい)。だが本来来るはずの先生が諸事情により学校に来れないから急遽この先生が代理で来たらしい。一段落したところで僕はそそくさと教室を抜け、理事長室へ向かった。少し緊張しながら扉を叩く。


「どうぞ入って。」

「失礼します。」


 そこには赤渕の眼鏡をかけ、金髪の背の高い女の人が立っていた。眼は翠色をしている。外国人か?それにしては随分と日本語が流暢だな。


「初めまして。藤堂雅君。」

「初めまして。えっと・・・」

「私立桜林学園理事長、(あかつき)・アリス・麗奈(れな)です。よろしく。」

「どうも、藤堂雅です。よろしくお願いします。」

「あなた・・・。結構可愛いわね。童顔で。」

「え!?」

「フフ。いいわ。座ってくれる?」

「は、はい。」


 コロコロと表情を変える理事長に座るよう促されて僕は本革で作られたソファに座る。聞いてみたところ、理事長はどうやらハーフだそうだ。


「まず、改めてようこそ桜林学園へ。どう?この学校は。」

「あまり学校の中をうろうろする時間もなかったので、どういう高校なのかまだ把握してませんけど、なかなか新しくて綺麗な学校ですね。」

「本当!?よかった~。気に入ってくれなかったらどうしようって不安だったの。」


 と理事長と笑顔で話していると再びドアをノックする音がする。

 また誰か来たみたいだ。今度は誰だ?


「失礼します理事長。何かご用ですか?」


 そこに現れたのは大和撫子のような女子生徒だった。流れるような長い髪、モデルのような歩き方、スタイルもいい。モテるだろうな。そのかわり男勝りで物事をズバッと言いそうなタイプだ。


「えっと、どちら様ですか?」

「人に名前を聞くときは、先にお前が名乗るのが筋だと思うのだが。」


 やっぱりな。僕の予想どうりだ。


「これは、失礼しました。新入生の藤堂雅です。初めまして。」

「生徒会長の九条明日香だ。初めまして。よろしく藤堂君。」

「せっ、生徒会長!?入学式で話してた!?」


 僕は驚きのあまり立ち上がった。先程見た堂々として凛々しい全生徒の憧れの生徒会長が今、目の前にいるのだ。驚くなと言われる方が無茶だ。それだけにあのスピーチは洗練されていたのだから。


「ほぉ~。驚いたか。そうだ、私が生徒会長だ。」


僕の反応が余程面白かったか、生徒会長の九条先輩はドヤ顔している。


「でも生徒会長が何でここに?」

「まあまあ、そのことも含めて話をするから。あなたも座ってくれる?」

「分かりました。」


 僕はもう一度座り直した。


「では、改めてようこそ桜林高校へ。私達は貴方を歓迎します。さて藤堂君。なぜ私達があなたに助けを求めたか。分かりますか?」

「いえ。全くわからないです。僕は、あまり取り柄という取り柄がない。勉強も平凡だし、運動もあまりできない。」

「本当にそう思ってる?」

「え?」

「その辺は置いといて。私達は現在敵の侵略を受けています。敵は人工知能搭載型対人戦闘ロボット、ZONE Doll。分かりやすいように()()()と呼んでいます。」


 いやドール取っただけじゃん、ゾーン要素どっからでてきたんだよ。そんなことを思った。明日香先輩が口を開いた。


「そいつらは学校に侵入し、生徒達に恐怖を植え付けた。幸い最初の襲来の時は生徒に被害はなかったが、五ヶ月前、2回目の襲来で一人の生徒が重傷を負った。一時意識不明になったこともある。他にも何人かが傷を負った。精神的な恐怖で学園に来れない者もいる。我々は対抗手段がない。このままでは…」

「そこで、藤堂君に助けを求めたわけ。あなたには不思議な力が備わっている。それがどういうものかはまだ私達にはわからない。でも、私達にとって、あなたにしか希望がないの。」

「頼む。引き受けてくれないだろうか?このままでは生徒達がまた犠牲になるかも知れない。私達だけではどうにもならないんだ…!」


 生徒達が犠牲になる。というのは自らも犠牲になるかも知れない。まさに命懸け。しかし僕の決意は決して、揺らぐことはなかった。


「…引き受けましょう。そのためにここに来たんです。覚悟はできてます。」

「ありがとう。本当にありがとう。」


 理事長は何度も頭を下げ、僕にお礼を言っていた。その姿を見て僕は改めて固く決意した。生徒達を守る。そして敵を全て倒し日常を守る。それが自分にできることだから全力でやり通す。そしてそれと同時にこの学園は僕にとって居心地いい所になると思った。


「では、あなたにお知らせというか決定事項なんだけど。あっちゃんお願い。」

「…その呼び方は止めてくださいって何回言ったら分かるんですか。」

「いいじゃない。もっとフレンドリーにいきましょ?」


 理事長の言葉に僕は首を傾げる。ん?お知らせというより決定事項?何だろう?あっちゃんと呼ばれた会長はため息をついて話し出す。


「では、藤堂雅君。君を生徒会副会長に任命する。」

「・・・・・・・・・え?」

「君は生徒会の一員。生徒会長である私の右腕、副会長。これは決定事項だ。戦力になり得る。」

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

「そうそう、この学園は寮生活です。あなたは生徒会なので個室ですよ。」


 驚く僕に追い打ちをかけるように理事長が口を開いた。りょ、寮生活?その言葉に僕は困惑するしかなかった。

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