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黒き弾丸と白き学園の守り巫女  作者: 藤原ミヤビ
第1篇 私立桜林学園の新入生
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第9話 部活動勧誘週間、初の逮捕

 僕らが外に出ると、部活動のブースが多く出て人がごった返していた。


「野球部に入って一緒に野球しませんかー!?」

「軽音部でーす!一緒にバンドやりませんか!?」


 などなど。軽音部か。ちょっと気になるな。


「じゃあ雅、私は同好会ブースの方へ行くからな。気をつけろよ。」


 と言って委員長は同好会ブースへ走って行った。ふう。これでやっと一人になれる。


 ぶらぶらと歩いていると人だかりが出来ているのを発見した。

 人だかりに近づくと、そこには一人の女子生徒を何人もの人が囲んでいる姿だった。


「この子可愛い!ねぇ吹奏楽やってみない?」

「いやいや、バンドの方が向いてるよ。」

「演劇部で君の輝きを探してみないかい?」

「気持ち悪っ。」


 上から吹奏楽部、軽音部、演劇部、僕の言葉だ。どうやら部活の勧誘を受けているらしいが、勧誘の勢いに負けて断る事ができないらしい。もじもじしている。


『勧誘の圧に押されている奴は助けろ。それは行き過ぎた勧誘だ。』

 と会長に言われているので助ける事にした。


「そこにいる三つの部活の人達。生徒会です。それ以上の勧誘は行き過ぎた勧誘とみなしますよ。」


 腕章を見るとすぐに引き下がってくれた。すぐに引き下がってくれない所もあるらしいからね。引き下がってくれてよかった。その子はお礼を言って自分のお目当ての部のブースに入っていった。よく見たらうちのクラスメートだった。こんな偶然もあるんだね。


 僕は人がたくさん居るところが嫌いだ。こういう時はいつもそう思う。人がごった返しているところから逃げるように体育館に向かうと、ちょうど見回りをしていた美咲に会ったので一緒に回る事にした。体育館ではバレーボール部やバドミントン部が試合を行っていた。その奥では剣道部の模擬試合が行われていた。その演舞を見て美咲は大きなため息をついた。


「何か不満か?」

「不満も何もあったもんじゃないわ。あの剣舞明らかに演技よ。緊張感とかがまったくない。雅が佐奈さんと戦った時の方がよかった。」

「そりゃそーだ。これは模範。正しい型、方法で攻撃をする。緊張感とかがないのも無理はない。武道の真剣勝負は要するに殺し合いだ。しかしよくこれを演技と言えるなぁ。」


 素人の僕から見れば凄まじい戦いだ。緊張感がないと言われても信じることができない。


「私これでも剣道やってるんだからね。名門工藤の華の美咲って呼ばれたんだから。」


 意外だった。彼女が華の美咲と呼ばれてた事ではない。剣道をやっていたという事に驚いた。

 話していると剣道部が演舞をしていたところから大きな声が聞こえた。トラブルか?


「何を言っているの!?まだ剣術部の時間はまだ1時間も先よ。会議でそう決まったじゃない!」

「俺はそういう事を言ってるんじゃないんだよ。俺と模擬戦で手合わせしようって提案だ。譲れと言ったわけじゃない。」


 揉めている二つの部の部員二人。その後ろに何人かの部員が取り巻いている。見るところだとどうやら同じ、竹刀を使う部活らしい。


「面白いことになったわね。でも、それと同時にちょっとまずい。厄介なことになったわね。」


 そう呟いた美咲に僕は問い掛ける。

「美咲、あの二人は誰だ?」


「左側、女の方は剣道部主将の壬生谷紗耶香(みぶたにさやか)。剣道大会の全国の常連で去年の優勝者。右側、男の方は剣術部主将の桐原正治(きりはらせいじ)。剣術大会の全国チャンピオン。どちらも有名人よ。」


 その二人は剣道部と剣術部の時間帯の問題で揉めているようだった。はぁ。俺が行かにゃダメか?


「手合わせしようと言っている。ダメか?」

「お断りします。あなたみたいに真剣に剣を握ってない人と勝負したくはない。」


 どうやら桐原先輩はその言葉にキレたみたいだ。そして笑みを浮かべてこう言った。


「壬生谷、()()の勝負がしたいらしいな。だったらお望みどうりにしてやるよ!」


 と言って竹刀の刀身の部分を引き抜き、彼女に襲い掛かった。こいつ仕込み刀か!壬生谷先輩はそれをギリギリ回避したが胸の鎧に一本深い切り傷がついていた。もう使い物にならない程のものだ。彼女は鎧の傷を見て驚いた。桐原先輩は容赦なく彼女に斬りかかる。


「ちっ!行かなきゃダメか!」


 と舌打ち気味に言いながら僕は客席部分から飛び降りる。二階部分はそんなに高さがない。飛び降りても鍛えているためあまり痛くなかった。警棒を装備して桐原先輩の攻撃を止める。危機一髪だった。一足遅かったら彼女は斬られていただろう。そう思うと、こいつ!許さん!!


「誰だてめぇ!」


 と驚きながら叫ぶ桐原先輩の刀を警棒ではじき飛ばし、着物の衿を掴んで床へと押さえ付ける。うつ伏せにした桐原先輩の手を警棒で押さえる。そこで無線アプリを起動して玲に繋げる。委員長も同じ物を付けている。ただ委員長の物は僕から直接連絡することができない。そのため玲に中継ぎをしてもらっている。


「こちら体育館。逮捕者一名、負傷のため担架を要請する。送れ。」

「了解。委員長に送ります。罪状は?」

「武器の不適正使用、及び壬生谷先輩への暴力未遂容疑。」

「何だと!?だったら向こうも同じだろうが!」


 剣術部の部員が声を荒げるが、そんなことは知ったこっちゃない。


「武器の不適正使用と言ったのですが。その竹刀は桐原先輩専用とお見受けします。誰も触ってはいない。だったら仕込み刀にしてある事は本人しか知らない。そこまではまだ良いでしょう。問題はその竹刀を抜いて真剣を見せ、彼女に襲い掛かった事です。攻撃も抵抗も全く何もしていない彼女に。」

「こいつ!言わせておけば!!」


 と剣術部員五人が殴りかかったりして来るも全てを避ける。全員、僕に拘束された。


「はぁ。あまりここで活躍したくなかったんだがなぁ。」


 再び無線を開き、玲と繋げる。


「玲、五名追加だ。担架頼む。あと応援もな。」

「ラジャー。」


 止めようとした壬生谷を止めたのはある一人の男だった。


「つ、塚田部長!」


 剣道部部長塚田一。彼女を止めた彼はこう呟いた。


「試してやる、藤堂雅。お前がどういう人間なのかをな。」

ここまでお読みいただきありがとうございます。塚田部長が呟いた言葉にはどんな意味合いが込められているのか。それは今後明らかになるでしょう。最近は花粉症は辛いです…。皆様も花粉と同時に風邪にもお気を付けください。花粉症で気づかぬうちに風邪にかかっているかもしれません。予防はしっかりと。次回も読者の皆さんが元気に黒弾の次回を読んでくれることをお祈りします。長々となりました。次回もお楽しみに。


《桜林学園の部活動》

桜林学園の部活動は運動部が8部、文化部が6部、合計14の部活があり、日々練習などに励んでいる。

部活の入部の応か否かは個人の判断だが大抵の生徒は何かしらの部に所属している。ただし剣道部や剣術部など類似する部活が多々あるためどちらがどういう部なのか分からなくなることも度々ある。

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