紙一重は紙一枚程度の隔たり
僕の視線の先には一人の少女がいた。その少女の名前は岬瑞穂。同じクラスの同級生である。
犯す犯す犯す……
彼女はクラスで目立つようなタイプの生徒ではなく、どちらかというと教室の隅でおとなしく本を読んでいる事が多いような生徒だ。けれど僕はそんな彼女に惹かれていた。あれは……そう、放課後の教室で本を読む彼女を見たときからだ。窓から吹く風でなびく長い髪に透き通るような白い肌。そして儚げなその表情……。瞬く間に僕彼女に一目ぼれしてしまった。
犯す犯す犯す……
それから彼女の事をずっと見ている。真剣に教師の言うことを聞く姿や美味しそうに弁当を食べる姿。彼女のあらゆる日常生活は僕にとって最高の癒しとなっていたのだ。いや、誰だってこんな経験はしたこと有るに違いない。ほら、好きな女の子を見かけるとつい目で追っちゃうことがあるだろ?
犯す犯す犯す……
また、僕は彼女に心を奪われた時にある思いを抱いていた。それは……
「犯す」
そう。彼女を犯すことだ。言うまでもないが犯すというのはあの「犯す」だ。要するに言ってしまえば強姦だ。いや、誰だってあるだろ?好きな女の子を犯したいって思ったことが。
チラリと僕は教師の目を盗んで制服のポケットから携帯を取り出して画面を起動させる。
7月24日。無機質なデジタル文字でそう表示されていた。彼女に心を奪われたのが4月で既に3カ月もの月日が過ぎていた。正直言うともう限界なのだ。一刻も早く彼女を犯したい。
決行は今日の放課後だ。段取りは既に考えてある。放課後一人で帰る彼女をつけて人気のないところで犯すのだ。彼女の帰宅ルートは既にリサーチ済みで、人気のない場所も把握している。それに彼女を縛る縄や口を黙らせるためのタオルも準備済みだ。ああ楽しみだ……。
「えー、それでは風紀委員から。話があります」
とりあえず彼女を縄で縛りつけた後はやっぱり胸を揉みしだこう。結構彼女は胸あるんだ。着やせするタイプなんだと思う。胸のあとは……やっぱり唇だな。舌を思いっきり入れてやる。ついでに唾液もたくさん注ぎ込んでやろう、ははは、きっと彼女もその時には濡れてるだろうな。
「生徒の遅刻が目立つと風紀委員の議題で挙がりました」
そうだな……それからパンツの中に手を入れて秘所を弄ろう。今の季節は夏だからきっと蒸れてるだろうな。けどそれが逆に興奮するんだ。秘所の花弁をひとしきりいじった後はそこから上あたりにある突起に手を掛ける。ああ、彼女の乱れる姿思い浮かぶ。
「また、トイレの利用態度も問題になっています」
上部の突起と下部の突起を同時に弄ろう。それからズボンとパンツをおろして竿を出して……そうだな、まだ入れるには早いからしゃぶってもらおうかな。けどそんな都合よく上手くいくかな。和姦ならまだしも強姦だからな。けど悔しそうな目でしゃぶってもらうのって興奮するよな。
「最後に電車通学の生徒の乗車マナーです。鉄道各社や利用客からの苦情が本校に届いています」
頃合いを見て挿入だな。ゴム?いや、今日はいらないんだ。どうしてかって?答えは簡単だ。なぜなら今日は彼女の安全日だからだ。僕は彼女の生理周期についても把握しているからね。彼女が何やらポーチを持ってトイレに行くタイミングや体育を休む時期をカレンダーに当てはめて大凡だが正確性の高い周期を導き出したのだ。だからどれだけ中に出しても大丈夫なはず。今日のために貯めてきたんだ。尽きるまで注いでやる。妊娠したらどうしような。はは、その時はその時だ。
「それでは僕から以上です」
そうして僕の風紀委員としての仕事を終え、席へと戻った。席に戻る途中に彼女をチラりと見やる。相変わらずつまらなさそうにどこかを見ている。まあでもあと少ししたら楽しませてあげるからさ。待っててよ。
目論見通り彼女は一人で下校していた。このこともリサーチ済みだった。なぜなら彼女を追うのは今回が初めてではないからだ。さて、いま歩いている通りは人気が多い場所である。この通りを少し行ってからしばらくすると、周りが田んぼで囲まれた場所に出る。その場所を少し行くと彼女の家のある住宅街へとつながるのである。
僕はこの田んぼだらけの場所で彼女を犯すと決めていた。ここは人気が少ない上に近くに林があるからだ。彼女を背後から襲い、林に連れ込み事に及ぶ。それが僕の計画だ。チラリと彼女を見る。彼女の背中は汗で下着のラインが浮かんでいた。はは、まるで犯してくれと言ってるようなもんだ。さっきから自己主張している僕のアレも膨らみを増してしまう。
「絶対に孕ます」
いや、孕ませちゃだめなんだけどね。
そうこうしているうちに彼女は例の場所へと入った。さて、そろそろ行くか。
僕はスッと物陰から身を出しなるべく音をたてないようにして彼女の背後へと駆け寄る。
シめた。彼女が僕に気づく素振りはない。
トン。
僕の皮靴がそんな乾いた音を響かせた。その音に彼女は気づき後ろのほうへ顔を向ける。
けどもう遅い。僕は右手の掌で彼女の口を押さえつけ左手で腹を抑える。
「~~~~~!?」
彼女はモゴモゴと何か喚いているが気にしない。僕はそのままの体勢で近くの茂みへと彼女を連れ込む。意外とあっさり行くもんだな。周りを見渡してみるが僕ら以外に誰もいるような気配は無い。そのことを確認するや否や僕は茂みを超えてその奥の林へと抱え込んだまま入っていく。
「っ……林田くん……何してるの…!??」
どうやら彼女はパニックになっているらしい。けれど知ったこっちゃない。僕はそのままの体勢で押し倒してズボンのポケットから縄を取り出した。腕と足。どちらも縛るために二つほど持ってきた。
「ちょ、やめてよお……」
彼女が相変わらず何か言っている。はは、今までに見たこと無いような顔だな。ああ、これからどんな表情になるんだろう。
愉しみだ。
ひぐらしが鳴く夏の夕暮れ。僕は心を奪われた相手の処女を奪うのであった。
……
…
「えー、夏休みが終わりましたが岬さんが登校していません。誰か理由を知っていますか」
僕は風紀委員として相変わらず壇上に立っていた。あの夏の1件以降、彼女は学校に来なくなっていた。その事で風紀委員の僕から彼女について何か知っていることをクラスメイトから聞いてほしいと教師から頼まれたのだ。
……よく知ってるけどね。
クラスメイトの反応はおおむね予想通りだった。夏休みがいまだ恋しいだの不登校だのと話している。
「分かりました。では僕が今日岬さんのお家に伺って調子を見てきます」
そんな調子でホームルームは終わり、放課後となった。僕は適当に彼女の家に行くと言ったが教師を含め誰からも意見を言われることは無かった。彼女は彼らにとってそんな程度でしかなかったのか。
僕はあの人気のない道を歩いていた。手には途中にあった洋菓子店で買ったケーキの箱がある。そして背中にはあの日と同じリュック。中には……
「ロープに●●。それに●●●●●と●●●●●●。ちょっとハードかな」
僕は唇を舌で舐め、顔を歪ませるのであった。
カナカナカナカナカナ
あの日と同じようにひぐらしが鳴いている。