殴り書き
この物語には、終わりがない。始まりもないかもしれない。
どのような物語かと聞かれても、わからないとしか言いようがない。
何も考えず、筆に任せて物語を書いているだけなのだから。
筆に任せるといっても、実際にはパソコンの液晶に向かってキーボードを叩いている。
行く先もわからぬまま書いている物語だが、どうか最後までお付き合い願いたい。
こんな話がある。
タバコと金魚と古本の話。
1匹の金魚がいた。
その金魚はたいそうなヘビースモーカーらしい。
ただ、金魚は陸では暮らせない。
水中こそが金魚の生きる場所だ。
タバコに火をつけようにも水の中では火がつけられない。
だから金魚はいつも、「ニコチンが足りねえ」と文句をたれている。
その金魚は読書が趣味らしい。
ただ、金魚は陸では暮らせない。
水中こそが金魚の生きる場所だ。
本を読もうにも紙がふやけて、すぐに読めなくなってしまう。
だから金魚はいつも、「星新一のショートショートがこの世で一番面白い、長編物なんか読めたもんじゃねえ」と怒りながらほめる。
1本のタバコがいた。
そのタバコは昔、金魚に恋をしていた。
一度だけ金魚と唇を重ねたことがあった。お尻まで真っ赤になってしまうほどの興奮だったらしい。
なんでも、燃えるような恋だったとか。
そのタバコは読書が好きだった。
一番好きだった物語はシェークスピアの『ロミオとジュリエット』だとか。
「叶わない恋だから燃えるのよ」とのことだ。
湿気た躰は生臭かった。
感想待ってます。