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オッフェンバック「ホフマン物語」

本当にすごい映画やコンサート、舞台などを観た後は虚脱してしまう。今がそういう状態です。




今年、名古屋は街が出来て、400周年。奈良の1300周年のかげに隠れていますが、メモリアルイヤーに合わせるように愛知トリエンナーレという芸術の祭典が街中で行われています。その目玉として土曜日と今日、本格的オペラ「ホフマン物語」が日本のクラシック音楽界、さらには海外の一流演奏家も交えて上演されました。


200年ぐらい前の文豪ホフマンの小説を基にオッフェンバック(「天国と地獄」の人、「カステラ一番電話は二番♪」の人)が作曲した作品。

ただし、未完成だったため(オッフェンバックが亡くなった)演出家や演奏家がいろんなアレンジをする余地があるのですが、今日の公演は自分が今までに観てきた、聴いてきたオペラの中でも一、二を争う屈指の出来でした。最後、初めてこの作品の意味、含みが理解出来て、涙が溢れて止まりませんでした。




作品は全5部構成でホフマンが主人公になり3つの恋を語り出します。(プロローグ)真実の愛を探してヨーロッパをさすらうホフマンはまるで光源氏のようですが、一つ一つの恋物語は奇想天外。しかし不思議と現代を生きる私たちをハッとさせるのです。


最初の恋人はオランピア。人ではなく、ロボットです。この第1幕はSFコメディの趣です。オランピアの役の方の歌と演技がすごく上手かった。コロラトゥーラという歌唱を美事にこなしていました。その上手さがまた人工的な感じを非常に強めていました。



ロボットが壊れてしまい、ホフマンはミュンヘンへ。

そこで天使のようなアントニアに出逢います。アントニアは汚れない純粋な存在です。しかし体が弱く、全力でアリアを歌えば死んでしまうのですが、ホフマンと結婚して生きるのではなく、命を燃やし尽くして歌を歌う芸術家の宿命を選びとる!そこで観客の感動と衝撃が絶頂に達します。

第1幕に比べて派手な舞台セットや仕掛けはないのですが、一番まともなラブストーリーで緊張は途切れません。




そして第3幕は一転、やけになったホフマンがヴェネツィアにいます。実は一貫してホフマンを破滅させるためつきまとっている悪魔が悪女ジュリエッタに「ホフマンを騙せたらダイヤモンドをあげる」と言い、ジュリエッタは愛を求めるホフマンを巧みに騙し、かわいそうなホフマンは身も心もボロボロになり、全てを失います。



しかし、エピローグ、みんなが去っていった中、ひそかにホフマンを見守っていた芸術の神・ミューズがホフマンを励まします。この悲劇に耐え、この経験を小説やオペラにするのがホフマンの運命と。ここが芸術の哀しみと喜びと偉大さを非常によく表現していて、涙が溢れて溢れて。最後、ホフマンとミューズがアリアを歌います。

「人は愛があるから素晴らしい。人は涙があるからいっそう素晴らしい」

そのリフレインの中、舞台はグランドフィナーレを迎え、涙、涙の中、カーテンコール。

拍手は10分ぐらい鳴り止みませんでした。



私も感動でフラフラになって愛知県芸術劇場を出ました。



今日の公演を作り上げた全てのキャストとスタッフの皆様、ありがとうございました。

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