ギッター・コレクション展
今日、久しぶりに美術館に行きました。松坂屋というデパートの中にある美術館でしたが、ギッター・コレクション展というのをやっていて、すごくよかったです。
〇〇コレクション展というのは大抵海外の富豪の美術コレクションで、ギッター・コレクションもギッターさんという人の江戸美術のコレクションです。とても素晴らしい展示でしたが先回りして書くと日本美術の素晴らしいコレクションは大抵、ガイジンさんにおさえられているのが残念です。
ギッター・コレクションは江戸と言えば有名な浮世絵ではなく、近年人気の高い伊藤若冲、曽我蕭白のような奇想の画家、また近年人気の禅画、そして琳派という流派の美術が中心です。
琳派が描く美しいカラフルな自然。禅画の素朴な線と、モノトーン。そして若冲ならではの不思議な絵。若冲の作風はすごく広いのですが、禅画に近いものが多くて、コレクターの好みがよく表れていました。
それにつけても残念に思うのが日本の美術界がおしなべて海外のブームの後追いになっていて、日本人が気づいた時は海外のコレクターに名品が買い占められていることが多いことです。だから若冲にしても琳派にしても禅画にしても素晴らしいコレクションはプライス・コレクションなど海外に多いです。余談ですがプライス・コレクションが日本に来た時は一日中観て、それでも足りずに翌日も観に行きました。
日本の美術館では東京の出光美術館と京都の細見美術館がいいコレクションを持っていますが、日本人が日本美術に疎く、海外の金持ちに作品を買い占められていることが残念。(ただ観ている立場からはあまり関係無いとも言えますが)
あと日本人が日本美術に疎いにも関わらず、けっこうボケた解説がつけてあることにショックを受けました。特に「アメリカ人のギッターさんが日本の美術の美しさに気づいたのはすごい」と書いてありましたが、その論理で言ったら、日本人はレンブラントやルノアールのよさは分からないことになってしまいます。文化によっていろんな影響は受けるけど、美しいものは国や民族を越えて伝わると思います。
また解説を読む時間の方が長い人が多いですが、なるべく美術そのものを観て、自由に感じて欲しいと願っています。
ギッター・コレクションは日本では無名だけど、いい作品をたくさん含んでいました。知識とかでなく本当に好みや感性で選んでいるからでしょう。
名古屋辺りの方はまだ会期があるので、おすすめです。