肉
名古屋は尾張徳川家の本拠地なので、京都などとも縁が深い。
生徒たちと京都のある古寺に合宿に行った。
私「ま~、いいところね~」
生徒はげんなりしていた。特に食事が最悪だと思っていた。
楽しいはずの夕食の時間。
食事は大根、にんじん、さつまいも、カボチャ、オクラ、筍、なすなどを薄い出汁で煮込んだもの。がんもどきを煮つけたもの。豆腐とワカメのおみそ汁。
「美味し~い!」と夢ちゃんは食べていた。
「この世で一番美味しいのはお葬式のおとき(精進料理のこと)ですよ!子供のころ、お葬式があるとワクワクしてね」
夢ちゃんはだいこくさん(お寺の家事をする人)ととてつもないことを話していた。
夢「あなたたち、もっとちゃんと食べなさい!男の子は頭と顔がよくなるし、女の子は美容と健康にいいから」
「すき焼きかしゃぶしゃぶ食べたい・・・」
「俺はカツ丼食べたい・・・」
その夜、生徒たちは寺を脱出した。
「あっ、コンビニとなか卯(食券制の店、関西風)あるよ!」
生徒たちはなか卯で牛丼やカツ丼、カツカレーを食べた。またコンビニでフランクフルトやフライドチキンを買って、食べた。
いつも食べてるのより、ずっと美味しかった。
古寺に戻ると住職と夢ちゃんがガルルーと怒っていたが、その夜の肉の味は忘れられないのだった。