文学と映画
最近、映画のことばっかり書いていますが、文学と映画を観比べ、いろいろ考えています。
実は今日、文芸大作「東京島」も観たのですがかろうじて合格の出来で、ちょっとがっくし。
原作は村上春樹なんかより海外の大きい賞レースに絡む天才桐野夏生さんの傑作ですが、結論を言うと映画としては中途半端。
原作をカットした方なのでしょうが、それでもやや分かりにくいストーリー。二時間半ぐらいあるのですがしっかり描くにはもっと時間が必要だったかも。
無人島に一人の女性が流れつき、そこに日本人と中国人が流れつき、一人の女性をめぐる対立を描きながら、文明批評や現代社会の批判を描く意図は分かるのですが、映画は舌足らずになってしまいました。
主演の木村多江と、助演の窪塚洋介は頑張っているのですが。
窪塚洋介くんは何度もヌードになり、頑張るのですが、顔がハンサムすぎて、スタイルがきれいすぎるため、「ふん!私たちとは関係無い人!」みたいになって、生活に説得力を与えられないのです。
また漂流した人たちがブランド品などを着て、こぎれいなのも何か意図があるのかもしれませんが、読みとれませんでした。
すごく深いテーマを扱っているだけに残念な壮大な野望の残骸、失敗作でした。桐野夏生さんは本当の悪人なんだと思います。だから「柔らかな頬」「グロテスク」「残虐記」「アイムソーリー、ママ」といった暴力的な悪の作品は映画化しづらいかもしれませんが、挑戦して欲しいです。期待し続けます。粘り強く。