「綺譚・桜姫」
こんな時に不謹慎のそしりは免れませんが、読売新聞さんのご招待で御園座のお芝居「綺譚・桜姫」の千秋楽の公演を拝見しました。
四世鶴屋南北の代表作で歌舞伎のスタンダードである「桜姫」をミュージカル仕立てにして、セリフは現代語、女形がやる桜姫は宝塚の男役のトップスター大和悠河さんがやっていました。私、いろいろ劇場に行っているわりに宝塚の男役の人の生の声を聞いて、あまりに力強いので、びっくりしてしまいました。(-.-;)
もう一つびっくりしたのが「桜姫」って、あまり明るい話ではないのです。桜姫という貴族の令嬢が呪われた運命を生きる話で、シェイクスピアの「タイタス・アンドロニカス」も真っ青の残酷劇なのです。(-_-;)
その辺りは全部カットして、現代風にハッピーエンドに改変してあるんだろうと甘い気持ちで観ていたら、全然改変してなかった。(=_=)
でもだからこそ徹底的に張り巡らされた伏線が一気にクライマックスを盛り上げ、華麗に作品世界の破滅を描くのがスケール感たっぷりで、感動しました。負というのも徹底するとカタルシスがあります。(-_-;)
作品終演後、大和悠河さんが千秋楽を終えた挨拶と大震災のためのチャリティー募金を呼びかけていました。カーテンコールの後、大和悠河さんがロビーで募金活動をしていました。
作品はあまり事前に予習せず行ったのですが、素晴らしかったです。
ところで今日は京大出身の数学の先生、靡けこの山先生とご一緒したのですが、先生はさすがに文学にも造詣が深くていらっしゃるので、感想を話しあって面白かったです。
私は四世鶴屋南北は何らかの形で(オランダ人に聞いたりして)「王女メディア」を知り、日本版を書いたのでは?と思ったのですが、靡けこの山先生は、ある貧しく不幸な女性が死ぬ時に見た幻想だったんじゃないか?というご意見でした。それも悲しくも美しい。(;_;)