表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
238/300

震災記⑤

火曜日は何か原子力発電所を巡る報道などあり、月曜日のどん底の気持ちを引っ張っていました。



しかし、仕事をするため名古屋に行き、地下街のAL ALAVISでシェカラートとクロックムッシュの夕食をとっていると若い女の子が話していました。



「私たちは生まれてからずっと不幸じゃん。阪神大震災。オウム事件。同時多発テロ。今回の地震。ずっと不幸だったから強くなったの。ギャーハハ」


女の子たちは本当に元気で、笑って話しており、私は強い悲しみを感じて店を飛び出しました。



しかし、地下街から地上に上がると若者たちが募金活動をしていました。そのことをミクシィのつぶやきに書き込むとカズマたちが「それは俺の同級生です!」「俺も栄で募金しています!」など書き込みがありました。


またその日、私は戦国時代の英雄が好きという新入生のために「常山紀談」という戦国時代の説話を集めた古典を用意していました。


文学や古典など役に立たないことは理解しつつも、日本の歴史や文学に思いを馳せました。



応仁の乱の時の読み人知らず「なれや知る都は野辺の夕雲雀上がるを見ても落つるは涙」(お前は知っているか?都は焼き尽くされ野となり、夕方には雲雀が空に飛び上がるのだ。それを見ても落ちるのは涙だ。)


この歌を頭では分かっていたつもりでしたが、本当の悲しみ、怒り、慟哭が胸に染みて来ました。こういう破壊と再生を繰り返してきたのが日本の歴史だったのかもしれません。(;_;)



また本当は風流な歌も違う顔を見せて来ました。

八幡太郎義家「吹く風を勿来なこその関と思へども道もに散る山桜かな」(吹く風をやってくるなと思う勿来の関だが風が吹いてきて、道を所狭しと散る山桜だなあ)

勿来は東北の名所です。「なこそ」とは「くるな」という意味の古語で、桜が美事だから風よ吹くな吹くな、と歌っているのですが、何故か昨日から真冬のような気候で、被災地の人に冷たい風が吹きつけませんようにと祈らずにいられませんでした。(;_;)




あるいは与謝野晶子「漁り火は身も世も無げに瞬きぬ陸は海より悲しきものを」

この歌は親友であると同時に夫の不倫相手だった山川登美子を悼む歌で死後の世界≒海より生きている陸にいろんな悲しみはあるのに、という歌。しかし、この歌も海に消えてゆかれた方々と陸で悲しんでいる私たちのことのように響いて来ます。


私はこの歌を本歌どりして、こう歌いました。「海よりも悲しき陸に住み果てて空に向かってうたう悲歌〔えれぢい〕」(;_;)




でも昨日詠んだ愚詠(自作)を末尾に書いておきます。



「ガーベラを希望を込めて育ててる再び花が地を埋めるまで」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ