「金閣寺」
今日はビッグイベントがありました。
三島由紀夫原作、宮本亜門演出、森田剛くん、高岡蒼甫、大東俊介主演の「金閣寺」観賞。
ブラボーブラボー!素晴らしかった!音楽を使うのが得意な宮本亜門さんらしいすごい工夫がありました。「金閣寺」ほどの文学史の金字塔の説明は書きません。もっと詳しい論評を書きます。金閣寺を擬人化した人物がおり、ホーミーという民族音楽を要所要所で歌い、森田剛くんを苦しめます。
金閣寺で修行する三人の少年が原作では哲学的な会話、宗教の考察をするのですが、そこは全面的にカットされ、三人の苦悩を抱えた少年が傷つくのを恐れながら愛を求めて叫んでいる。そのことが人間が演じているため、すごくひしひしと迫ってきて、開幕すぐ涙があふれ、最後まで止まりませんでした。
森田剛くん、大東俊介くんもカッコよくて素晴らしかったですが、悪役の高岡蒼甫は本当に演技と存在感は圧巻です。映画界でかねがね上手くて感心していたのですが、今日も素晴らしかった!
三島由紀夫は「金閣寺」をトーマス・マンの「トニオ・クレエゲル」を踏まえ、現実世界と美が調和するマン文学を反転させ、現実世界と美の対立、崩壊を描き国際的な評価を得ました。だから、マンを入り口にワーグナーの「ニーベルングの指輪」のクライマックスを連想させます。また細かい演出で「アンダルシアの犬」へのオマージュが捧げられていました。
素晴らしい舞台でした。愛知県芸術劇場にうちたてられた金字塔でした。