試写会「ヒアアフター」
クリント・イーストウッドの新しい作品「ヒアアフター」試写会で拝見しました。メ~テレさんのご招待です。
すごいいい作品だったのにエンドロールと同時に「分からなかった」と帰っていく観客が圧倒的に多くて、残念でした。(ToT)
このサイトもそうかもしれませんが「分かりやすく」表現したものしか最近の日本人は分からなくなっているようですが、本当に素晴らしい作品は観る人も相当集中力や理解力がないと楽しめない場合があります。
その辺りで媚びたり、妥協したりしないクリント・イーストウッドはすごいと思いました。
そんなにどんでん返しとかある作品ではないのですが、少し内容に触れながら論評していきます。ネタバレ御免の方はここまでで。
作品は実は3つの映画を作れる3つのストーリーを美事に絡めながら展開します。
舞台もアメリカ、イギリス、フランスと3つに分かれています。
アメリカ;ある霊能力のある青年の苦悩を描きながら、マイノリティの苦しみや差別、人間の弱さなどが描かれるパート。
マット・デイモンはジミー大西にそっくり。(-.-;)
それなのにマット・デイモンはアメリカでは絶大な人気を誇っています。ルックスより才能重視のアメリカ人。(-.-;)
イギリス;ある双子の兄弟の片方が事故で亡くなってしまい、生き残った方の孤独と家族愛が描かれます。このパートには流石イーストウッドとうならされる大仕掛けがあるので、特に注意して観て欲しいです。
煽るような撮り方じゃないところが素晴らしい。
しかしそこで素人はふるい落とされてしまうので、残念です。
しかし映画をある程度観慣れている人ならイギリスのパートの大仕掛けで作品の意図が理解出来て、感動の涙があふれて止まらなくなるでしょう。
フランス;私が一番好きなパート。
傑作「チェンジリング」で女性を主人公にするのに成功したイーストウッドはフランスのパートであるフランス人女性ジャーナリストの女としての苦悩を描きます。
恋と仕事。そして彼女は歴史的大事件に巻き込まれ、人生が変わっていきます。
この3つのパートがくるくる入れ替わって描かれ、あっ!と思う手法で交錯します。
その時、いろんな伏線が一気につながり、涙があふれて止まらなくなります。
3つのパートの主人公たちはもちろんもう一つのテーマ、現代の世界という隠しテーマが見えてきます。
もしご覧になる方がおいででしたら3つのパートに気をつけてご覧下さい。
今年もイーストウッドが年間ベストワン争いの中心になりそうです。