「瞳の奥の秘密」
新年一発めにして年間ベストワン最有力なり。昨年のアカデミー賞受賞作「瞳の奥の秘密」観ました。
とにかくおすすめ。絶対観てという感じです。
予告編もちょっとネタバレ気味なので、絶対損しないから観てという感じです。
改行して少しだけ論評します。
アルゼンチンで一人の主婦が殺される事件が起きて、主人公は捜査をします。
そして約30年後ぐらい、それを小説にする老いた主人公。
二つの時間が交錯して描かれます。
途中、「ああ、これは南米文学のマジックリアリズムだな!」と思いました。時間や場所の変化がくるくる起こり、幻想的な世界を描く。それは私たちの記憶や想像力が時間や場所にとらわれないことを上手く再現しています。
世界的に有名なスターは出ていませんが、サスペンス、ミステリとして素晴らしい出来です。
さて、この後、核心のネタを割りたいので、観る前に絶対読まないで下さい。
半分以上進んだところで、ミステリとしての犯人探しは終わるのですが、そこからが本当に素晴らしかった。
アルゼンチン(南米)という設定が生きてくるのです。
軍事独裁、恐怖政治が行われている非民主社会で主婦をレイプして殺害した犯人は反政府の活動家を殺すテロリストとして国家の保護下に入り、追っていた刑事たちが逆に抹殺されていく骨太の政治ドラマになり、その中での主人公とヒロインのラブストーリーとストーリーが激しく展開しながら緊張が途切れることはありません。最後がハッピーエンドなのか否かは是非劇場で観届けて下さい。アルゼンチン恐怖政治をテーマにし、やはりアカデミー賞を制覇したマヌエル・プイグの「蜘蛛女のキス」以来の出色の感動作、傑作です。
「南米なめんなよ!」というぬるま湯の中にいる日本人には衝撃の力作でした。(-_-;)