「ふたたび」感動した!
年間ランキングを決めたのですが、あれは全くの自分の都合で20日が映画雑誌のランキング投票の締め切りだったので、そこまでを2010年としたのですが、今日、「ふたたび」という作品を観ました。これが2010年ランキングに間に合っていたら、かなりたくさんの部門にノミネートできた傑作でした。号泣号泣。
意外と重い作品です。
テーマはらい病です。
これまでに「砂の器」(野村芳太郎監督)、「愛する」(熊井啓監督)などらい病をテーマにした作品はたくさんあるのですが、この作品は未来への希望を感じさせる明るい作品でした。
神戸のある一家のところにらい病のため隔離されて60年を過ごしたじぃちゃん(財津一郎さん)が帰って来ます。じぃちゃんはらい病になって隔離されるまで、ジャズバンドをやっていて、それを再結成するため孫(鈴木亮平)と旅に出ます。
いい味のじぃちゃんたちと再会し、ジャズライブハウスで演奏へ。
メンバーはおひょいさん(藤村俊二さん)、犬塚弘さん、佐川満男さん、そしてジャズライブハウスをやっているじぃちゃんの役で渡辺貞夫さんが出ています。
後先がちょっと逆になってしまいますがらい病は昔は偏見があり、不治の病と思われていました。
純粋な孫はじぃちゃんと旅をしながら差別など人間世界の不気味な面をちらっと目撃しますが天真爛漫ではつらつとした子で、新しい時代を切り開いていく希望を感じました。
アメリカの国民的文豪マーク・トゥェインも「本当の笑いは本当の悲しみから生まれる」と言っていますが、現代っ子の孫と頑固ジジイの旅は笑いを巻き起こしながら、時折、観る者をハッとさせる。例えば、現代社会に帰ってきて、コンビニのおにぎりを開けないじぃちゃんを笑いながら助ける孫の姿に笑いながらもじぃちゃんが奪われた60年の時間を気づかされるのです。
この作品の笑いには哀しみが一滴したたらせてありました。
そういう意味では戦後屈指のコメディアン財津一郎さんの演技は素晴らしかった!ブラヴォー!
楽しいから笑うんじゃなく、笑うから楽しいんだと涙の中で気づかされます。
ちょっと脱線してしまうけど、じぃちゃんの息子と嫁の役は陣内孝則と古手川祐子さんで、自分が若い時は主役ばっかりやっていた大スターがだんだん親の役になっていくのは自分も年になっていくということか・・・(-_-;)
本当に脱線してしまうけど、古手川祐子さんはじぃちゃんを差別して追い出そうとし、国からの賠償金は横取りしようとする鬼ばばあの役で、ちょっと路線変更が急過ぎて勇み足じゃないかと思う。そういうカテゴリーには泉ピン子とか高畑淳子とかすでにいるんだから、もうちょっと穏健な路線がいいと思う。
ジャズも素晴らしいし、年末年始の私の一押しです!(o~-')b