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新しい小説・古い小説
私は他人様の文学観に口出しするつもりはない。
ただ、最近、気づいたことをちょっと書き留めておく。
勉強の中で大江健三郎の「個人的な体験」を取り上げた。
ノーベル賞受賞作品である。
しかし、はっきり言って大江健三郎は古びてしまっていて、生徒の失笑をかっていた。
まず主人公が「鳥」という名前で、日常性を消そうとしたのが、今読むとすべっている。
またいろんな設定や比喩も今読むと古びているか、浮いている。
小説は難しい。
三島由紀夫や星新一は新しい言葉、流行語、固有名詞は入れないことで作品が古びないようにした。しかし、中井英夫のようにそういうものを駆使して時代そのものを記録した天才もいる。
結局は一人一人の作家の資質なのだろうか。
大江健三郎と同じ日に芥川龍之介の「煙管」もやった。
これは天保六歌仙の河内山宗俊を描いた作品だが、全然古びていなかった。すごく面白かった。
歴史や古典の中の普遍的なテーマを描くことが古びない秘訣なのだろうか。
私はいろいろこれからも試行錯誤して行きたいと思っている。