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文学と世襲

最近、文学をめぐる問題はいろいろゴタゴタしている。

そういう中で見逃されていることがある。



年間の最も優れた作品に贈られる文学賞の一つドゥマゴ文学賞が朝吹真理子さんに決まった。というニュースを聞いて、私はビビビと反応した。



朝吹なんてありふれた名前じゃない。


記事を見たら、やっぱりフランス文学者朝吹登水子の親戚だった。(朝吹登水子の弟の孫、甥の娘という関係である。)


朝吹登水子はフランスの大人気作家フランソワーズ・サガンの翻訳を独占的にやっていた。「悲しみよこんにちは」「ブラームスはお好き」などを手掛けてきた。戦後文学界の大スターである。



その子孫の女の子はやはり朝吹登水子の弟子筋に当たる詩人か学者のパーティーに出ている時に新潮社の偉いさんに「何か書いていただけないでせうか?」と丁重に頼まれ、作品を執筆。そして出版。年間最高の賞を受賞という順調な歩みを見せている。




水嶋ヒロさんの比でない。あからさまに新潮社が売り出そうとしている。

ところがこちらにかみつく、批判する人はほとんどいない。いや、一人もいないと言ってもよいだろう。


実は私もこの扱いは難しいと思っている。


家族・親戚が一流の作家や学者で出版社の人が積極的に出してくれるという人は昔から多かった。斎藤茂吉の息子が北杜夫。吉行エイスケの息子が吉行淳之介。佐藤紅緑の娘が佐藤愛子である。


しかし、こういう世襲作家が一定以上の活躍をしたことも認めない訳にはいかない。

子供の時から文学的にいい環境に恵まれてきたことはアドバンテージ、プレスティージだろう。


最近だと金原ひとみ、三浦しをん、井上荒野がそういう世襲作家である。




私が不思議に思うのは水嶋ヒロさんをしきりにバッシングする人がこういう世襲作家が堂々と出てくることに何も意見を言わないことである。そういう問題があることも全く知らない気配すらある。

ちょっと気の毒に思う。そんな一時のニュースに反応しているだけでは話題作りに協力しているだけで、出版社や編集者にもなめられるだろう。



日本人は怒りパワーすら奪われた白痴化状態になっているのかも知れない。


おそろしやおそろしや。

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