「ブライト・スター」
イギリスの三大文豪。戯曲はシェイクスピア。小説はディケンズ。詩はキーツである。
そのキーツの生涯を描いた映画「ブライト・スター」を観ました。
キーツは貧しさと無理解の中、25才で結核で亡くなります。今から200年ぐらい前。
しかし、その晩年にファニー・ブローンというフィアンセと短く哀しく、でも満たされた愛の日々を送ります。
その二人の出逢いからキーツの死までの時間をキーツの詩をたっぷり織り込みながら、濃密に描いています。
ブライト・スターというタイトルはキーツがファニーに捧げた詩のファニーの瞳を表す言葉です。
私は不勉強で、映画ではキーツの弟の死がきっかけで二人が出逢い、短い日々で世界で最も美しい詩集「エンディミオン」「ヒュペリオン」などが編まれていくのですが、時系列が史実とは少し違うかもしれません。
でも映画としてはまとまっていました。
キーツの描く妖精のお姫様と、洋裁が得意なファニーのイメージは重ね合わされ、イギリスの美しい四季と二人の恋は幻想的に描かれます。ラベンダー畑のファニーや、二人の愛を象徴する蝶に囲まれるファニーの美しさは必見です。(木村カエラさんのバタフライみたい!)
最近、「〇〇は読んでおくべき」という言い回しが流行っているそうですが、キーツの幻想美はその後のヨーロッパの芸者家に絶大な影響を与えたので、この映画なんか観るのはおすすめです。どうせ観たり読んだりするなら、本家本元を。
またキーツとファニーを苦しめる周りの人間と、二人を守る家族の描き方も秀逸でした。
特にファニーが無知であると古典のことをしつこく訊いてきて、いじめる俗物。
それが本当にいやなやつなんですが、そいつからファニーを守ろうとキーツの愛が燃えるのです。
醜いキューピッドだな。(-_-;)
監督はカンヌ映画祭グランプリ監督ジェーン・カンピオン。
美しい映画でした!