ファンキー雛忌
教科書に載る話はけっこう偏っている。古典もそうである。そして面白くない話が多いが、たまに当たり、面白い話がある。それを紹介したい。あ~、読んだことある、という方も多いと思う。
漢文では「論語」「史記」などがよく教科書に載るし、比較的、勇壮で面白い話がある。
しかし、今回、紹介したいのは中国史上サイアクのナルシスト雛忌のアネクドオトである。ちなみに私のおちょくったダイジェストではなく、本文を読みたい方は「戦国策」という作品に載っております。
春秋戦国時代、後世、正義がなかったという乱世であり、人々は生き残りをかけてしのぎを削っていた。
その中、斉という大国に雛忌という男がいた。その心のねじけぶりは狂人と言ってもよかった。
雛忌は自分はハンサムと思っていた。
(カズマみたいですね~、とつかみを入れる。)
しかし、徐公という男が雛忌よりハンサムだと噂を聞いた。雛忌は幾晩も寝苦しい思いをした。
ナルシス雛ちゃんは妻に尋ねた。
「俺と徐公はどっちがハンサムかな?」
妻は雛忌を痛々しいと思った。しかし、言った。
「あなたに決まっていますよ」
パーチクリンの雛忌は妻はえこひいきをしていると思い、愛人を呼び、尋ねた。
「俺と徐公はどっちがハンサムかな?」
愛人は雛忌を疎ましく思った。しかし、言った。
「あなたに決まっていますよ」
疑り深く、自己愛は弱さの裏返しの雛忌は愛人は媚びていると思った。
その翌日、地方から陳情にやってきた客がいた。雛忌は非常識にも尋ねた。
「俺と徐公はどっちがハンサムかな?」
客は心の中で腹をかかえた。しかし、陳情が大事だったので、言った。
「あなたに決まっていますよ」
雛忌は嘘つきで卑屈で醜い人間特有の鋭い勘で自分が馬鹿にされていることに気づいた。
雛忌は鏡に顔を映した。
(鏡に顔を映すのがまた気持ち悪いですね、というとドッカーンとウケる。)
そしてやっぱり自分はハンサムじゃないと絶望する。
実はこのアネクドオト(エピソオド)は中国語の比較を勉強するための単元なのだが雛忌の異常性が強く心に残ってしまう。
三人が雛忌に「あなたが美しい」と言った時、どういう気持ちでしたか?という問題がついており、答えは「媚び」「へつらい」なのだが、「痛い」「寒い」「ウザい」「カズマみたい」「いじめられそう」などと余白に書いて、丸をつける。
あなたの周りにもいませんか?こういう足りん子ちゃん。