文藝賞と盗作
シリアスな話題はほとんど書いていない私だが、昨日、文学の世界に大激震が起こった。
河出書房新社の文藝賞が受賞作が盗作だったため、今回は該当作なしになったのである。
さらに印象的だったのは盗作の対象はインターネット上の内容で、受賞予定だった方は盗作をしたという意識もなかったらしい。
私は文学の方はともかくインターネット上のことはよく分からない点もあるが、この事件には強い印象(もちろん悪い意味でだが)を受けた。
河出書房新社の文藝賞は非常に意欲的な賞で、男女とも最年少の受賞記録は文藝賞が持っているはずだ。
また内容も斬新なものが多い。
だから受賞予定作も今までの常識的な文学作品からははみ出すものだったのだろう。
そういう作品を探す意欲は尊いが盗作を見抜けなかったのは惜しい。
とはいえインターネット上には膨大にテクストがあふれていて、盗作かそうでないかを見抜くのも、きっと難しいのだろう。
今の私は身辺のさりげないことを書いているだけだから、盗作のされようもないが、こういうことがあるとインターネット上には作品を出せないとちょっと恐ろしくも思う。
特に今回印象的だったのは受賞取り消しになった人が「インターネット上の作品に著作権があると知らず、盗作の意識がなかった」と言っていることである。
インターネット上の作品だって作品に決まっているだろう。新聞などの上品な報道では何をどれぐらい盗んだかよく分からず、もどかしい。週刊誌などが詳しく真相を追求することに、今回ばかりは期待している。
本当は文学に敬意を持ち、真面目にしていれば、盗作などするはずがない。
そういうことをする人はどこか人間的に歪なのだろう。
私は簡単にいろんな芸術観賞の記録をつけているがパンフやチラシを丸写ししたことはない。それでかえって拙い表現になっているかも知れないが、そういうのも含めて味、個性であり、私なりの誠実さを貫いている。