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詩集:女性シンガーの3

腕と襞

作者: 歌川 詩季
掲載日:2026/07/19

「かいなとひだ」。

 単性生殖の産みの苦しみ

 あたしの(はら)を裂いておいでませい

 ウミガメのように塩分濃度の高い涙を

 両の目からこぼして歓迎さしあげるから


 うつろになった子宮を()いて

 達成感と喪失感の狭間に(よろこ)びを覚えるのです


 青白い(かいな)をゆりかごにしても

 墓場までは寄り添ってやれないことを悔しく思う

 生命を切りわけた分身と

 たがいの生涯はやがてはぐれてしまうだなんて

 非情のひとことですませるにはあまりにも



 同調圧力に溺れそうだわ

 あたしの(はら)(つぶ)れ わたを吐いた

 ヒキガエルみたくアスファルトのベッドにあおむけで

 両の目までこぼれた死に顔 ご覧なさいと


 たわわであった乳房(ちぶさ)もしぼみ

 肯定感と焦燥感に追われた若き日は遠のいてゆく


 赤黒い(ひだ)ごとめくりあげたまま

 幼少期をそばに居てやれただけでも嬉しく思え

 生命で(つな)がれた宿縁を

 なにものであろうと 決して滅することはできない

 摂理と一律に記しちゃえばどうかとも

 メタファーですけどね。


挿絵(By みてみん)

制作:ひだまりのねこ先生

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