腕と襞
掲載日:2026/07/19
「かいなとひだ」。
単性生殖の産みの苦しみ
あたしの肚を裂いておいでませい
ウミガメのように塩分濃度の高い涙を
両の目からこぼして歓迎さしあげるから
うつろになった子宮を擁いて
達成感と喪失感の狭間に悦びを覚えるのです
青白い腕をゆりかごにしても
墓場までは寄り添ってやれないことを悔しく思う
生命を切りわけた分身と
たがいの生涯はやがてはぐれてしまうだなんて
非情のひとことですませるにはあまりにも
同調圧力に溺れそうだわ
あたしの肚は潰れ わたを吐いた
ヒキガエルみたくアスファルトのベッドにあおむけで
両の目までこぼれた死に顔 ご覧なさいと
たわわであった乳房もしぼみ
肯定感と焦燥感に追われた若き日は遠のいてゆく
赤黒い襞ごとめくりあげたまま
幼少期をそばに居てやれただけでも嬉しく思え
生命で繋がれた宿縁を
なにものであろうと 決して滅することはできない
摂理と一律に記しちゃえばどうかとも




