表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小さな奇跡の童話箱  作者: ムーンキャット


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/33

ぼくにだけ見える空④

「風が止まらない」

最近、スカイは疲れていた。

学校では友達の曇り空。

帰れば、母の重たい雲。

そしてミオの、言えない雨。

誰も気づかないけれど、

スカイは毎日、空を見ている。

見て、考えて、

どうにかしようとして。

その日の昼休み。

ユウタがまた笑っていた。

でも空の奥で、雷が光る。

別の友達は曇り。

誰かは強い向かい風。

スカイの胸がざわつく。

(まただ。)

放っておけばいいのに、

気づいてしまう。

声をかける。

話を聞く。

考える。

帰るころには、頭が重かった。

家のドアを開ける。

「おかえり。」

母の声はやさしい。

でも空は、今日も分厚い雲。

ミオの空も、まだ不安定。

スカイの中で、何かがきしむ。

(ぼくがちゃんとしなきゃ。)

(ぼくが見てるんだから。)

その瞬間だった。

胸の奥で、強い風が巻き起こる。

スカイは思わずしゃがみ込む。

視界がぐらりと揺れた。

鏡の前に立つ。

恐る恐る、見上げる。

自分の頭の上。

そこには――

大きな雲の柱が、渦を巻いていた。

空をえぐるような、黒い竜巻。

風がうなり、雲を巻き込み、

雷が中で光っている。

(……なに、これ。)

竜巻は、外じゃない。

自分の中から、伸びている。

怒りでもない。

悲しみでもない。

言えなかった言葉。

踏み出せなかった夜。

分かったつもりだった悔しさ。

全部が混ざって、

暴れている。

「スカイ?」

母の声が遠くで聞こえる。

でもスカイは動けない。

今まで、人の空ばかり見てきた。

晴れにしてあげようとしてきた。

でも――

自分の空は、ずっと後回しだった。

竜巻がさらに強くなる。

(ぼく、こんなに荒れてたのか。)

初めて、気づく。

誰かを守る前に、

自分の空を知らなきゃいけなかった。

風の中で、スカイは目を閉じる。

逃げない。

見ないふりをしない。

ごまかさない。

荒れているのは、自分だ。

竜巻はすぐには消えない。

でも、スカイは初めて、

自分の空から目をそらさなかった。

――つづく――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ