サメの子メガの深海さんぽ ②
〜巨大な影〜
ちょうちんの光を見せてもらって、
メガはますます元気になった。
「深海ってすごい!まだまだ見たい!」
そのとき――
どおん……
水が、ゆっくりと揺れた。
「ん?」
暗い海の向こうに、
ながーい、ながーい影。
ぬるり。
一本の大きな腕が、
すうっと横を通りすぎた。
「えっ……なにあれ?」
次の瞬間。
ぐわっ、と広がる巨大な体。
それは――
ダイオウイカ。
長い腕には、ずらりと並んだ吸盤。
大きな目が、暗闇の中でじっと光っている。
メガはごくり。
「おっきい……!」
ダイオウイカは、ゆっくりとメガを見た。
「小さなサメよ。こんな深いところまで来るとは、めずらしいな。」
声は低く、でもどこか落ち着いている。
「ボク、メガ!伝説のサメの子なんだ!」
「ほう……。」
ダイオウイカは腕をふわりと動かした。
「ここは静かな世界だ。
大きな声や、あわてた動きは禁物だぞ。」
メガははっとして、しっぽをぴたりと止めた。
たしかに――
深海は、とても静かだった。
光は少なく、
音もほとんどない。
でもその静けさの中で、
たくさんの命が、ゆっくりと生きている。
メガは、少しだけ背筋をのばした。
「……深海って、強いだけじゃダメなんだね。」
ダイオウイカはゆっくりうなずく。
「そうだ。ここでは“しずかさ”が力になる。」
メガの冒険は、
少しずつ“学び”に変わっていった。




