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ラブコメ・恋愛

好きな幼馴染にあげた宝くじが当選していて、好きと言いづらくなった


 幼馴染の誕生日プレゼント、そろそろあげるものも尽きてきていたし、なにをあげたらいいのかわからなかったら、夢をプレゼントすることにした。


『3000円分の宝くじ』


宝くじって未成年も買えるんだな。さすがに制服だと止められたけど。


 もっと、形の残るものをあげるべきだろうという意見も分かるけど、あんまりそういうものばかりだと置き場所にも困るだろうし。たまには、こういう思い出にでも残りそうなプレゼントも悪くないだろう。


「センスないよ」


 そう言われたけど、常にセンスのいいプレゼントができると思うなよ。こっちも、必死に考えているんだ。見てろよ、結婚とかしたら、すごいランジェリーとかコスプレ服を、どこかで送ってやるからな。


「一週間後かぁ」


「わくわくするだろう」


「誕プレって、その場で喜べるものであるべきじゃない。外れていたら、なにも残らないよ」


「当たるっ!!アタルさ、きっと。6億あたったら、半分ぐらいお恵みください」


「うわぁ、クズだ。こういうので、宝くじって、幸福度がさがるんだね。当たれば当たったで」


 まぁ、僕たちは、どうせ当たらないと思いながら、じゃれあっていた。

 

 しかし――――。


 宝くじの発表当日。

 僕も一応、あげた宝くじの番号ぐらいは把握していた。だって、一億円当たりました、ってドッキリをされる可能性があるから。そういうことに対して、対策をしておくのは、男子高校生の常識だ。からかわれないために。もしくは、上手くだまされてあげるために。ノリというもの。


「これ、一等じゃないけど、二等だよな。えっ、3000万。はっ!?えッ・・・・・・」


 ネットのパソコンで確認した賞金額は、高校生のみからすると、ありえない金額だった。新作ゲーム機を買って、すべてのカセットを買っても、まだ余裕であまりそうな金額。マンションとか買える値段だよな。すげぇ。


 でも、どうしよう。

 これ、今更、好きとか付き合ってくださいとか言っても、金目当てとしか思われないんじゃあ・・・・・・。

 男も成功してから、近づいてくる女は信用できないとか訊くし。女の子もそうだろう。

 オレ、もしかしてアプローチできなくなった。




「ど、どうするの。これ」


「え、とにかく換金してくれば」


「高額すぎて、きっと親の同意がいるよね。てか、どうするの、この大金。新居の資金?夢のマイホーム?ローンなし、一括」


それって、いや、まさか――、二人の――。


「宝くじをめぐる愛憎の戦いは?」


「えっ。さすがに、それは億とかの一等ぐらいでしょう」


 3000万もすさまじい額だと思うけど。高校生の友人関係なんて崩壊しそうな。幼馴染だからオッケー?逆に、金銭の心配がなくなって、さらに関係が進みやすくなったり。


「とりあえず、貯金しとくね」


「うん、それがいい。それがいいです」


 とにかく、当選とその換金は、つつがなく終えた。お互い心の中で、どう思っているのか。

 でも、それでも、こんなもので、幼馴染の関係に終わりなんてくるわけないんだ。

 



 当然、僕は、高校生の間に、幼馴染に、付き合ってくださいと、正式に告白をするつもりだった。

 けど――。

 僕は、3000万の重みに、負けていた。

 プレゼントを選ぶときも、こんな金額のものなんて、べつに幼馴染は、簡単に買えるんだって思えてきて。

 まぁ、そういう使い方をするわけないけど。

 堅実な、やつだから。


「金銭感覚バグってるなぁ。こっちの方が――」


 どうしたら、いいんだよ。ちょっとしたことが喜べなくなっている。パパ活とかで、感覚が間違ってしまった高校生の気分だ。まぁ、どんな想定か意味不明だけど。男だし。


 いっそ、プレゼントは、わたしって。

 確実にいらねー。

 

 無駄に悩んで、何もできず。少し幼馴染と距離を取っていた。

 てか、勉強しよう。いい会社はいって、年収1000万ぐらいまでいけば、全然気にならなくなるはず。




「なに、遠慮してるの」


「え、だって・・・・・・」


「あれは、臨時資金。わたしのライフサイクル仮説の中には入ってないの。わたしの生涯の中で、想定すべきものじゃないの。わたしが、わたしの将来のために、今、やらないといけないことがあるの」


「えっと」


「付き合いなさい。制服デートは今しかできないんだよ。コスプレでデートとかごめんだから。だいたい、宝くじの確率なんて、わたしたち二人が幼馴染としている確率より、低いでしょ。計算なんてしないけど。70億人。ううん、時代も考えると、もっと小さい確率なんだよ」


 幼馴染の今までない明確なアプローチだった。僕が足踏みしている間に――。

 僕も――。


「幸福度あげる努力するよ。幸運なんて関係ないぐらい」


「センス、ない言葉」


「センスがあれば、もっとモテてるよ」


「ふむ。まあ、素材は悪くないよ」

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