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キミのボール

作者: 佐藤うみ子

わたし、恋をしていたのかな?

この心の中にある、まあるいボールはわたしのいろんな"きもち"が詰まっている大切なボール。

でも、このボールをどこか遠くへ投げ出してしまいたい。時々そんな"しょうどう"にかられる。


おわってしまった恋を追いかけるのはいけないことですか?

おわった恋を丸めてゴミ箱の中へえいっと投げ捨ててしまうこともやってはいけないことですか?


わたしは、恋をして目が覚めたのです。

目が覚めて、どこまでもどこまでも歩いて行けました。

それこそ嵐が吹き荒れて冷たい雨の降る荒野だって、あたり一面にたんぽぽやチューリップが咲き乱れるあたたかく美しい野原でも。

ひととおり歩いてそっと腰をおろすといつもそばにいたのは相変わらずイタズラっ子みたいに笑う"キミ"でした。

わたしはうれしくなって、即興でダンスを踊ったり、大すきなピアノを奏でたりもした。

そんな"キミ"はもうどこにもいないんだけれど……


流れ星、流れた。

ひとりぼっちになったわたしは心の中にあるまあるいボールをもてあそぶ。

時々おこるように壁にぶつける。

やわらかいボールは壁からはね返ってわたし目がけてバンっとぶつかってくる。

"キミ"の気持ちがぶつかってきたみたい。


途方に暮れるにも、暮れ方がわからない今です。

"キミ"の姿が視界の中に存在しないからです。

ザワザワとする。

大雨がやってくるそうだ。

しばらく降ったら虹が架かる。

曇り空が晴れたらうそみたいにピカピカな洗いたての世界。

ほろりと一滴の涙。

雨さん、雨さん、こんなところに一滴の粒を忘れんぼう。

"キミ"が遠くなる。

わたしはピカピカになった道をボールを抱えて歩いてゆく、歩いてゆく…

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