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思い出の宝物を、一つだけください。

作者: アンドーナツ

結婚10年目で、家族で異世界に迷い込んだ。周りを見ると 人族は居ない世界。夫婦は何も知らないまま、この世界を生き抜こうとする。最後に子供だけが残される。子供は番のこともこの世界のことも。何も知らず、大人になる。宝物を持って・・・かの方が気がついたときには・・・

かの方を待っていると、「すまない・・・・」男はそう言うと部屋を出て行った。ああ。捨てられたんだ・・仕方ないな。かの方は、王都から来られている。王都から戻れの命令が来てるのは、知っていた。でも、どこかで私も行けるのでは・・と思っていた。本当は 私なんかを相手にするのも嫌だったんだろう。仕方ない・・・




いつまでも世話になる訳も行かないので、この家を出て行く準備をする。かの方の真名すら教えて貰っていない、自分には、何の資格も無い。




すると、部屋のドアがまた開いた。フードをかぶり顔を隠してる人が、重い革袋を渡してきた。革袋の中身は、金貨で一杯だった。ああ・・過ごした時間さえも、お金に換えたんだ。「この部屋にある物を、一ついただいても良いですか?その者を、後で返せ・・など、干渉を一切しないように魔法契約をしたいです。」その事を話すと、フードをかぶった人物は、部屋から出て行った。




皮の袋は重くかなりの額があったが、それを無視して部屋の自分の物だけを片付ける。かの方に貰った者は全て、置いていこう。たった、一つの者以外は・・・・それが何かさえも聞かない。かの方にも、何も言わずに・・・・




フードの男が戻ってきた、サインの名前は 分からないが、かの方が書いたのであろう。印も押してあった、その契約書に目を通す。


部屋の物や家も好きにしたら良い。その事についてこの先 未来永劫、何も問わぬ。*********とあった。




それにサインし、魔法の契約書?合意書にサインをし、それぞれ契約書を持つ。この魔法契約でしたことは、双方が合意しないと破棄できない 後で何かを書き足すことも出来ない。それをすると、魔法契約での法に触れ何らかの処罰がある。それは、身分など関係ない。相手はその契約書を見て納得したのだろう。部屋を後にした。





私も、この部屋を出ると同時に、革袋の金貨は置いていく。部屋にお辞儀をし、今からどこかに行く馬車に滑り込む。ここも、居場所は無かったよ。(お父さん お母さん。ごめんなさい。)馬車の揺れをゆりかごに、私は眠りに落ちる。




その時、過去の夢を見た。まだ幸せだった頃の夢を・・・・・・・・・・




「おかあさん。お父さん。早く。早く。遅れちゃうよ。」玄関で靴を履いてる私。後ろには正装をしてる父と母が、ああ・・入学式の私だ、ああ。幸せだった。家族で、家の前で記念撮影したりしてたんだ。そして 家族で玄関を開けるとそこは、もう知らない世界だった。私達家族は、その日を境にこの世界に来た。この世界を初めて見たとき、父も母も戸惑いがあったが、私が居たのですぐに町に溶け込むように努力した。




両親は魔法を使え 持ちし者で、私は持たざる物だった。




この世界では、誰かしら何かの魔法を持っているが、私はその魔法を持たざる者だ。




嫌々。元々この世界のじゃ無いので、それが当たり前だったが、この世界では持たざる者は珍しい。




しかも、両親には、人であると絶対に話すなと言われていた。この世界に、人は居ないから、なぜかそれは調べられなかった。


調べて、自分たち家族が危なくなるのを、父が危惧したからだ。そのまま、私達家族は人であることに蓋をした。家族間でも言わないようにと・・・・




この世界には、魔法がある。




器があり中身が無い状態が、持たざる者の特徴である。そして大体は、持ちし者が多い者の番に選ばれる。




持ちし者、魔法の特性を持つ。時には持ちし者の中には、その魔力が多い者達 魔法適性が多く持つ者達などを指す。番は伴侶。両親は驚いたが、母は持ち前の明るさで、町の人達に溶け込み。父は 知識で、魔法すらも使いこなした。裕福では無いが、そこそこ生活できていた。




町にダンダン私も溶け込んできたときに、町に魔物が襲った。その時に、両親が巻き込まれた。町の人達と共に、出来るだけ魔物をくいとめたのだが・・・・魔物が強く町は孤立化した。その時に、両親だけが結界を紡げるので、町の人達が逃げる時間を稼いだのだ。町の人に私を托し・・・・でも食い止められず・・・ある日、強い魔物が攻めて来たが、もう残った者達は、逃げ惑うしか無かった。




その時王都から彼らが派遣され、あっという間に災害級も、残りの魔物も倒された。近くに 魔物が産まれた、迷宮がありそこから魔物が出たのだろうとの報告だった。




もっと早く来てくれたら、町は・・・・両親は助かったのに・・・・




その時に、かの方に出会った。その迷宮を、調べ 壊すかの指示を出す方だった。周りよりも位が高いのが分かっていた。その方が両親を亡くした私に優しく、そして一年あまり一緒に居た。その頃には、かの方も・・・と、思っていたが、現地妻だったのだろう。一言で全て終わった。




1年前、魔物に家を壊されたから、家は無い。私達家族は、持ってきた鞄だけが、無限バックになっていた。それは、今になっては、贈り物だったかは、わからない。無限バックはこちらの世界では、とても高価な鞄だ。鞄は、家族限定で使用出来たため。父が何かのためにと、いつも家の全てを父のリュックに入れていた。魔物に家を壊されていても、鞄に家財道具なども入っていたために、私は、生活に困ることは無かった。




その鞄を持ち、この町からも出て行く。かの方も、私のことを、探さないだろう。たった、一言で全てが終わった。でもね、好きだったんだよ。ちゃんと、恋していた。いつか、家族にと言われたのにね・・・

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