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デッドハーレム  作者: fumo
第1章 願いと狂いと迷いと呪い
54/118

とーま君と、私

 終わりの間際。

 全てを諦めた私。

 その脳裏に最後に浮かんだのは、老神父の姿だ。教会の老神父。

 彼を看取ったのは私だ。その死の原因となったのも。


 信号を無視して突っ込んできた、大型の車に轢かれそうになった私を、老神父は押し出す形で救った。激突音に振り返ると、体を投げ出した彼が転がっていた。立派に蓄えた白髭が真っ赤に染まっていた。


「やあ……無事だったかね?」


 消え入りそうな声で、彼は無理くり笑顔を作ってそう言った。

 私は救急車を呼ばなければと思いながらも、どうしていいかわからずオロオロとするだけだった。車はとうに走り去っていた。


「いいんだ、わかっていたことなんだ……だから頼む、少しだけ私と話をしよう」

 

 赤い塊を老神父は吐き出した。その命の灯火が消えかかっているのが、私にはわかった。


「私にはね、ほんの少しだけ、人の未来が見える力があるんだ。前に話しただろう? これは紛うことなき、神に授かった祝福だ」


 残り僅かな時間を、全て費やして。

 彼は私に、何かを伝えようとしている。


「だから、私にはわかっていたんだ。今日私が天に召されること。そして君が、その幼い命を散らしてしまうことが。

 ずいぶん迷ったよ。君を救っていいものか。ああ、別に私の命が惜しかったわけではないよ。君の生死とは別に、私のことはすでに決まっていたんだ。それはいい。本当はよくないけどいい。昔はわからなかったが、今ならわかる。これが、これこそが私の役割だったのだと、理解できる。

 ただね、君は今日を生き永らえたとしても、この先悍ましいほどの苦難に苛まれることになる。もしかしたら、今日ここで君の短い人生を終わらせることこそが、救いになるのかもしれないと。そう思ってしまった。

 でも思い出したんだ。そもそもが、私は君みたいな無辜の少女を救いたいがために、この力を手にしたんだと」


 老神父の言っていることがなんなのか、私にはまったくわからなかった。でも、文字どおり命を賭して私を救ってくれた彼の言葉を、私は聞かなければならないと思った。


「いいかい、よく聞いておくれ。今はまだわからないだろう。だから記憶の奥底でいい、覚えておいておくれ。君はこう思うだろう。神が本当にいるなら、どうして全てを救ってくれないのかと。皆を幸せにしてくれないのかと。こんなに救いを求めているのに、何故答えてくれないのかと。私も何度も疑ったよ。それでいい。いつか君にもわかる日が来る。その道は険しい。目を瞑りたくなる。諦めてしまいそうになる。

 それでも、願うんだ。祈るんだ。君の、君だけの願いを。本当の、純粋な、たったひとつの願いを。正しくある必要なんてない。怒りでもいい。憎しみでもいい。最後の最後、絶望が君の身を覆い尽くした時。私の言葉を思い出してほしい。

 その先はわからない。君が幸せになれるかどうかは。もしかしたら、さらなる困難が待ち受けているのかもしれない。あの時終わっていればと、後悔するかもしれない。それは正に、神のみぞ知ることだ。

 だが、私にもひとつだけわかることがある。大事なことだ。いいかい、君はね」


 老神父が、最後の力を振り絞るように、笑顔を作る。それは聖職者の、万人に向けた優しげな笑みというよりは。

 むしろ俗っぽい、彼の個人としての思いが込められた、悪戯っ子のようなほくそ笑みで。


「君は将来、絶対にいい女になる。誰もが羨むような、誰をも惹きつけるような魅力を携えた、ね。それだけは、ただそれだけは、約束された未来として、この私が保証しよう」


 そう言って。

 彼はゆっくりと、静かに息を引き取った。















 願い。

 私の、私だけの願い。

 呪う名前。

 私を縛る呪い。

 神様なんていない。

 でも。


 神様じゃなくたっていい。

 正しくなくたっていい。

 私は祈る。

 神父様の信じた誰か。

 神様じゃない誰か。

 縛られてなぞなるものか。

 私を、この私を縛れるのは。



 () () () () () ()!!









 光が満ちる。

 それは願いが、祈りが届いた証。

 収束、そして収斂。

 理解する。私の得た力。

 私が、どういう存在となったのかを。


「たま、き……?」


「あなた、もしかして――!?」


 どよめく二人の声。

 それを無視して、私は立ち上がる。

 私の体。裸の肌に、無数に突き刺さった異物。

 それらをまとめて、縛り上げて、引き抜く。

 鮮血が舞う。痛みとともに。これで。


 これで、私の枷は外れた。

 もう誰にも、縛られたりはしない。


「おお……覚醒したのか、環! やはり俺の子だ! 俺の目に狂いはなかった!」


「ああ、あなた! やっぱり私たちは間違っていなかったのね!」


 歓喜に打ち震え、涙すら流す二人を見て。

 私は自分の心が、急速に冷えていくのを感じた。どす黒い感情が溢れんばかりに全身に満ち満ちる。

 私の体を、心を、こんなにして。縛り上げて。嬲り尽くして。

 掌を返すように喜んで。今さら今さら今さら。

 どうしてそれで――自分たちが無事でいられると思っているの?

 こんなモノに、私は縛られていたというの?

 なんて――なんて。


 愚かな人たちなんだろう。


〈束縛〉せよ(バインド)


「――っ!」


「何を――っ!」


 ねぇ、神父様。

 私、きっといい女になります。

 神父様の見立てのとおりの、誰もが羨むような女に。

 だから。

 だから、今だけは。


 この感情を振れるままにしても、いいですよね?


「や、やめ――」


「あ、うあああ――っ!」


 そうして。

 私は、二人の望みどおりの存在。卓越者、超越者、ギフテッドとして。 

 ここに生まれ変わったのだった。


















 御門の家は、私の行いを黙認した。むしろ擦り寄るように、私の機嫌を窺ってきた。身より実を取ったのだ。

 あの二人の所業はある程度は周知のようであったが、どうやら細部までは誰にも伝わっていないらしかった。実績を作るのを急いだ二人の暴走、というのが事の真相である。

 だからといって全てを許せるわけなどないが、私は感情を飲み込んだ。御門家の持つ力は大きい。対立よりも友好を選んだ方が、どちらにとっても有用なのは明らかだった。


 あの二人だが、別に殺したりはしていない。極限まで締め上げてから色々と()()()ので、似たような状態にはなっているが。人を虐めるのって楽しい。少し癖になってしまいそうだ。

 徹底的に心の根底を圧し折っておいたので、私に限らず、二度と誰かを害しようなどとは思わないだろう。


 新しい保護者としては、叔父さん――御門学園の理事長が手を挙げてくれた。厳格な教育者たる叔父さんは、私に過度に接するでもなく、されど必要ならば手を貸すという、私にとって好ましいスタンスを示してくれた。ありがたいことである。


 私の出自については、特に聞かなかった。興味がないわけではないが、躍起になって知ろうと思うほどのことでもない。それに少しぐらい謎がある方が、なんとなくいい女であるように思えた。いずれ知る機会があれば、その時にわかればいい。


 そうして地盤を固めた私は、目的に向かって邁進していく。自由になった私が見定める先は、皮肉にもあの二人が求めていた道、ギフトに関する研究の分野だった。

 私を救ってくれた老神父。彼の献身に(むく)いる意味も込めて、私の思考はギフトに向けられていた。

 ギフトとはいったいなんなのか。何故、どうしてそんなものが存在するのか。少女の願いに反応するのか。その詳細な条件は。

 興味は尽きなかった。調べ、明らかにしたいことがたくさんあった。以降、御門家の伝手を惜しげなく使い、私は研究を進めていく。


 私のような青二才がこの界隈で最先端に立てたのは、偏に人材が極端に不足しているからに他ならない。

 ギフトの研究をするには当然ながら自身がギフテッドである必要があり、そして大方の場合、ギフトが発現した時点ですでにその者は満たされている。何しろ、渇望した願いが叶ったのだ。不思議には思えど、それ以上の追求をしようという者は少なかった。私のようなケースは稀なのだ。


 数少ない物好きが祝福省の研究部門の所属となり、国の意向に従って研究を行う。それが一番スタンダードな道で、あとは大きな企業のお抱えとなるか、個人で細々と研究を進めるか。

 国や企業に属すれば自由な研究などさせてもらえず、逆に個人では資金や人脈が足りず。現代におけるギフト研究の成果とは、実のところ継ぎ接ぎの積み重ねなのであった。


 だからこそ、私という存在はギフト研究界において正に風雲児となった。御門家という強大な後ろ盾を構えた上で、思想を縛られることもない私は、自由な発想で研究を進められたのだ。

 一部、そんな私を目の敵にする、業界の重鎮とでも呼べる古参の研究者たちもいたにはいたが。

 なに、急ぐ必要はない。私は若く、まだまだ時間はたっぷりとある。私が大成するころには、彼らは老いて自ずと退場していることだろう。


 中等部、高等部と表向きの学年は上がっていったが、私はほとんど授業には顔を出さなかった。必要な知識は書物で得られたし、実体験が入用であるならば、実際にその道に詳しい人物に会いに行けばよかった。それができる環境が私には整っていた。

 ギフト関連に限らず、あらゆる知識や経験を私は吸収していった。研究畑一筋の凝り固まった人間になるつもりはない。私はいい女になるのだ。


 ただ、客観的にその目標に近づけているのかどうかはわからなかった。私と直接的な関わりがあるのは、大人たちを除けば研究対象となるギフテッドたちだけであり。そしてギフテッドはその性質上、ほとんどが女性であった。

 異性から見て、私は魅力ある存在として映っているのだろうか。鏡の中の小さく薄っぺらな体を見て、私はそこはかとなく不安に駆られた。いっそのこと、誰か適当な男を捕まえて試しに「お付き合い」とやらをしてみるべきか。いやでも、どうでもいい男に私の時間を奪われるのも……。


 そんなことを考えていた、高等部二年の初夏のことだった。

 彼に――とーま君に出会ったのは。

















 変な転校生がいる、という噂が発端だった。

 下級生の知人たる前澤君曰く、転校してきて僅か数日で、三人もの美少女たちに迫られている羨まけしからん野郎がいると。

 それはまた、どれほどのイケメンなのかと少しだけ興味を持った私は、前澤君に彼を呼び出してもらった。


 そのころにはもう、学園内には教師陣を含め、私に逆らおうとする者は誰ひとりとしていなかった。研究の傍ら、生徒たちを都合よく使うために色々と策謀を巡らせた結果、図らずも学園の支配者としての地位に納まってしまったのだ。

 そういう意味では、刺激に飢えていたとも言える。以前は古めかしい教育理論を掲げた教師が、論戦を仕掛けてきたりもしていたのだが。そういった輩を悉く返り討ちにし、場合によっては精神崩壊の一歩手前まで追い込んで遊んでいたりしている内に、誰も私には近寄らなくなってしまった。イベントの枯渇であった。


 遠慮がちなノックの音に入室を許可すると、現れた転校生はさほどイケメンというわけでもなかった。

 四条冬馬君。確かに身長は高く、どちらかといえば整った部類に入る容姿をしているが、間違っても一目惚れを誘発するような出で立ちではない。何処にでもいそうな凡人、それが私の彼に対する第一印象であった。

 だのに。


「あー、御門先輩、でしたか? 俺になんか用ですかね?」


「――っ!」


 彼と目が合った、その瞬間。

 揺さぶられ、()()()()()感覚に、私は思わず立ち上がって後退った。


 大前提として。

 私は自由になったあの日から、自身に対してギフトをかけ続けている。それは私が私であるための、礎となった願い。

 もう二度と誰にも縛られたりしないよう、私は予め自分自身を〈束縛〉している。他者の洗脳や支配を受けないよう、確固たる自己を繋ぎ止めておくイメージ。心の防波堤。

 それが、崩されようとしていた。

 

「……えっと。大丈夫ですか?」


 急に飛び退った私を心配するような、彼の声。低い声。

 体の奥底まで浸透するような、うっとりしてしまうほどのいい声だった。

 よく見ればほら、その顔も凛々しさと愛嬌の入り混じった、いじめがいのある私好みの顔で――ってこらこら。

 呑まれるな、私!


 ぱんぱんと両頬を強めに張ると、もやもやと浮き上がっていた感情がぱっ、と霧散する。危ない危ない。


「キミは――」


「あれ、なんか間違いました? 前澤の奴に「いいから行ってこい。あのロリ会長には逆らうな」って言われたんですけど」


 ふむ。前澤君は後で実験台にする(いじめる)として、だ。

 空惚けている風でもない。どうやら自覚はないようだ。

 ただ確かに今、私の〈束縛〉は干渉を受けた。ギフトに対抗できるのはギフトだけ。即ち、彼はギフテッドである。無意識の内に、ギフトが効果を発揮した。それは間違いない。


「ああ、すまないね。私が御門環だ。来てくれてありがとう、キミと話がしたかったんだ」


 疑問点が、すでにいくつかあるが。まずは事実を仮定してから、残りを詰めていく。やることは変わらない。いつもの仮説の検証だ。なんにせよ。


 四条冬馬君。非常に興味深い研究対象が、その日私の前に現れたのであった。
















 話を聞けば聞くほど、彼の存在は面白いものだということがわかっていった。

 死に関する思いを抱えた異性を対象に、並々ならぬ執着を抱かせるギフト。そんな事例は未だかつて聞いたことがなかったし、何より条件が複雑すぎる。おそらくその本質は別のところにあるのだろうが、今ある情報だけではなんとも判別が付け難い。

 加えて致命的なことに、本人にギフトを発現した覚えが一切ないのだ。久方ぶりのお手上げというやつであった。


 そのころはまだ、彼のことはただの研究対象としてしか見ていなかったが――いや、正直に言おう。

 最初から、彼と話すのはとても楽しかった。研究や知識の探求に時間を割いていた私が、あまり同世代の異性と関わってこなかったというのもあるが。彼との会話は、遅まきながらも私に青春を感じさせるものであった。


 取り留めのない会話。彼をからかい、返ってくる反応。二人してただ本のページを手繰る時間、その静寂の心地良さ。

 ギフトとは関係なく、私はだんだんと彼に惹かれていった。


 それをはっきりと認識できたのは、彼と名前についての話をした時のことだ。

 

「名前がその存在を固定する、ですか?」


「ああ。あの男に対して私はもうなんら感慨を抱いてはいないが、そのことについてだけは、なるほどと感心してしまっているよ。環、即ち円環。巡り巡る果てのない輪。それは確かに、私を呪い、縛り付けるのに適した名前だった。よく考えたものだよ」


 少しの自虐を含ませて、私は笑う。あんな取るに足らない存在でも、ひとつぐらいは取り柄というか、見どころがあったということだ。


「はぁ、よくわかんないですけど。とにかくその名前が、御門先輩にとっては呪いのような効果を発揮していたってことですか?」


「まぁ、そういうことだね」


「んー、そっか……じゃあ」


 そこで彼は、少しだけ考える素振りをして。

 にかっと、悪戯っ子のような笑顔を向けてきた。

 それは、在りし日の。

 あの老神父が見せた、最後の笑顔に、どこか重なるような柔らかな笑みで。


「俺が、名前を付けてあげますよ――たま先輩」


 その言葉に。

 私の中に、ほんの少しだけ燻っていた――私も気づいていなかった、欠片が如き呪いの残滓が。

 綺麗さっぱりと消えてなくなっていくのを、私は感じた。


 同時に気づく。ああ、と。

 この感情。

 愛おしい気持ち。大切にしたい気持ち。

 これこそが、名前を付けるのならば。

――恋と呼ぶのだろう、と。


「うわ、すいません、なんか変なこと言いましたか、俺?」


 いつの間にか、ほろりと涙が流れていた。


「ああ、いや、ごめんよ。違うんだ」


 慌てたように私を心配する彼。冬馬君――いや。

 そうだ。

 私も。

 私も彼に、名前を付けよう。

 私の、私だけの、呼び名。


「大丈夫だよ。ありがとう――とーま君」


 そして。


「ねぇ、とーま君。私はね」


 この思いを、伝えよう。


「キミのことが、大好きだよ」









◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆












「まぁ、そんな感じですかね」


 語り終え、ふぅ、と息を吐く環ちゃん。

 晴れやかな顔をしていた。その辿ってきた、凄惨な道のりが嘘のように。


「だから私は、諦めるつもりはありません。今はちょっと、分が悪いかもしれませんが」


「ああ、よくわかったよ」


 彼女のそれは、紛れもない純真だ。元よりそこに、俺が手を加えるつもりはない。

 まったくうちの息子は、とんだ果報者である。


「それで、あとひとつだけ聞いておきたいんだがな」


「わかっています。学園側の意思ですね」


 流れるように、阿吽の呼吸で返してくれる環ちゃん。

 俺が依頼に託けて彼女との接触を図ったように、おそらく彼女も依頼は建前で、俺にそのことを伝えようとしてくれていたのだろう。


「叔父さんとしては、無理にとーま君を手元に置こうとまでは思っていないようです。あわよくば、私を通じて関係を持てたらと、それぐらいのレベルですね」


「そうか、それならいいんだ」


 とすると、やはり胴元はうちの上層部だな。学園側は環境を用意して、見返りにいくらかその恩恵に(あずか)れれば、といったところか。

 これでだいたいの筋ははっきりとした。

 あとは。


「環ちゃんは、これからどうするつもりなんだ?」


「もちろん、最後まで争奪戦に参加します――と言いたいところですがね」


 掌を空に向け、お手上げの動作を示す環ちゃん。


「しばらく雲隠れすることにします。流石にあの子だけは、私でも手に負えませんので」


 賢明な判断である。冬馬に課せられた残る試練、最後のあの子だけは、何人たりとも対処はできないであろう。


「でも、大丈夫ですよ。とーま君は、きっと彼女だって救ってくれます」


「だといいんだがなぁ」


 そう。結局のところ、最後は冬馬に任せるしかない。あいつもそれを望んでいる。

 だから最後の最後までは、俺も手は出さない。例えその結果、あいつが終わってしまうとしても。


「では、私はこれで。また会えるといいですね、お義父様」


「ああ――っと、ちょい待った」


 立ち去ろうとする環ちゃんを押し止める。

 もう少しぐらいはいいだろう。


「アップルパイを食べる時間ぐらいは、まだあるだろ?」


 道の先を親指で示し、そう言ってやると。

 きょとんとした顔で、環ちゃんはこちらを見据え。


「ええ。ご馳走になります」


 可愛らしい笑顔で、そう返してくれるのだった。


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