第18話 世界の意思《シナリオ》の躱しかた
状況による、強制的なお休み期間。 タウンハウスの自室で、ミャーとお茶したり、お父様のお手伝いで、領地の税収やら、開発の進捗状況やらの精査をしていたのよ。 実際、領地のアーノルド様からのお手紙が、山の様に積み上がっている。 もう、全部、開封済みだけどね。
まぁ、ね。 小さいと言えども、我がレーベンシュタイン領は、辺境侯爵領と、本領の中間地点。 軍事的に見れば、本領の防壁部分に当たるのよ。 寂れた場所だけど、要衝と言えるわね。 だけど……、 辺境侯爵との関係が良好なら、それだけじゃいけないのよ。
領地経営がうまく進まなければ、ご飯が食べられなくなる。 建国当初、五十二家あった、盾の男爵家が半数以下になっているのも、結局は、この「経済問題」が原因。 当初は、エルガンルース王国から、色々と補助金も出ていたんだけど、世代を経るごとに、縮小の一途。 最後は財務官すら配されることがなくなり、その辺の新興男爵様とかと、一緒の扱いになっまったんだよ。
そこで、困ったのが、領地経営。
元々、エルガンズの男達が賜った土地ってのが、遠く王都エルガムをぐるりと取り囲むような位置。 さらに、十二辺境侯爵様達が反旗を翻した場合の為の盾と成れる位置が、与えられたの。 ルース王国時代の辺境部分ね。 つまりはめっちゃ開発が遅れてたって訳。
更に領地の大きさ。
男爵領って事で、そんなに大きくは無いの。 伯爵領の半分かそれ以下。 つまり、最初から税収は厳しい場所ね。
ほんと、良いようにされたのね。 旧ルース王国の廷臣達に。 危険は押し付けられ、反抗しない様に、経済力が付きにくい土地に押し込められたって感じ。 世代を重ねて行っても、その事に変わりは無く……いや、もっと露骨になったかな。
”苦労はお前ら、統治の果実は自分達”
そんな、声ならぬ声が聞こえそうね。 国王陛下……というより、エルガン王家だって、旧ルース王国の廷臣たちに取り込まれちゃってるしね。 遺伝子ごと……。 もう、エルガンズの頭領だった男の意思なんか、どっかに行っちゃって、敬われ、操られるべく作られた、王家としてしか、機能してないよ。
だから、恋愛脳になっちまったんだ。
盾の男爵家の忠誠心は、宙ぶらりん。 ここ数代で、もう、どの盾の男爵家も、諦めたって、お父様がそう仰ってた。 だから、自分達に出来るのは、領地を富ませ、エルガンルース王国に頼らずに生きて行ける様にする事なんだって。
アーノルドさんみたいな人が、他家も居るらしいよ。 建国当初の、文字も読めない、お笑いなんちゃって男爵達は、世代を経て、したたかで思慮深い、有能な人達を数多く抱えるに至ったんだね。
もう、旧ルース王国の廷臣に一方的にやられる立場でもなくなったよ。 没落しちゃった、盾の男爵家の人達だって、ただ黙ってい亡くなった訳じゃ無いよ。
末裔たちは、残った「盾の男爵家」に ” 再就職 ” してさ、色々と協力し合ってきたんだ。 大元を辿れば、同じ釜の飯を喰った仲だしね。
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お休みの間、御父様の執務室とか、図書館に籠っていたの。 将来の展望とか、領地の開発予定とか、産業、観光の復興とか、色々とお話があったよ。
そん中、お客様が来た。
一人目は、近所のタウンハウスから、お忍びで見えられた。
ドロテア=マーマレード=テラノ男爵家令嬢。
物凄く心配してくれてた。 「武術大会」の一回戦で、倒れちゃったって事にしてあるから、それこそ、飛んできた。
「ソフィア様……」
元気にお庭で剣を振り回している私を見つけて、絶句。 息も絶え絶えにしてるって、宣伝しておいたからね。 そんな、こんなで、お庭で御茶会の真似事になった。 ミャーも一緒。
「なんで、そんなに元気なのですか?」
プンスカ怒っているけど、瞳の中には安堵の光があったよ。
「ええ、こうでもしなくては、彼方のメンツが本当に丸潰れに成りますので」
私の言葉に、深く頷いてくれた。 ビューネルト王立学院での話も、その線で落ち着いて来てるって。 無理矢理、色んな魔法を駆使して、魔力枯渇してぶっ倒れた事になってるらしい。 ほうほう、それ、良いね。 魔力枯渇ってあれ、ヘタすりゃ死んじゃうから、丁度いい理由になるもんね。
「それで……本当の所、どうなのです? 兄も心配しておりました。 さる情報筋から、ソフィア様の「異名」が流れて来て……。 まだ、王宮では大きな噂にはなって居りませんが、エルガンズの人達には、それとなく出回って居りますわよ」
「ドロテア様もご存知なんですか? わたくしの「異名」の事」
「ええ、 御父様に申し付かりました。 ”深い交流は慎重にな”と」
「……でしょうね。 エルガンルース王国の後ろ暗い「お仕事」が生業のレーベンシュタインですもの」
「そうでは無くて!!」
なんか、憤慨している。 えっ? どういう事?
「お嬢様。 お嬢様の御名……異名の方が、問題なのです」
ミャーがそっと助け船を出してくれた。 【銀髪紅眼鬼姫】は、そんなに忌避される名前なのか……? なんか、凹むね。
この頃、御家の人達が陰で私の事を呼ぶ時に、【《鬼姫様》が……。 】とか、言ってんの、聞こえてきたからねぇ……。 はぁ……。
「訓練と称して、「お仕事」を受けられ、完遂されました。 裏の世界では有名になって居ります。 曰く、王都エルガムに本拠を構える各ギルドに敵対する者には、【銀髪紅眼鬼姫】の鉄槌が下る、と。 ある意味、恐怖の対象となっております」
ドロテアが、深く頷く。 そんな噂に成ってたのか……。 真実とはかけ離れた噂だけど、抑止力にはなるか……。 ドロテアの話だと、【銀髪紅眼鬼姫】の正体が私、ソフィアだとは、まだ広まっては居ないけど、勘の良い人なんかは、気が付き始めてるって。
主にエルガンズの人達なんだけどね。 うちのお父様が、必要な人にはそれとなく伝えては居るし、秘匿情報として扱ってくれって、根回ししてるけどねぇ……。 そっか、ドロテアの所まで広がっているのか……。
「表の人達は……なんと?」
「その噂の事は、気も付いていらっしゃいませんわ、ソフィア様。 盾の男爵家の、小さな女の子が、無茶をしたって……。 そう言う話になっております。 ただ、……あの方は、信じて居られませんけれど」
「あの方?」
「多分、此方にもいらっしゃるかも…… マクレガー様ですわ。 いたく自尊心を傷つけられ、ソフィア様がお休みのこの頃、学園の中を熊の様にウロウロされております。 今まで、ダグラス王子にくっ付いて、辺りに睨みを効かせておられたのですが、あれ以来、単独で校内をウロウロされている様子が、よく見掛けられますのよ」
「何故ですの」
「決まって行かれるのが、放課後の運動場……。 こう言えば、お分かりになると思いますが?」
ニヤって感じで笑われた。 はぁ……やっぱ、そうだよね。 鼻っ柱へし折ったからね。 奴が探して居るのは、私。 「再戦」を挑まれるのか? 学園で出来なさそうだったら、このタウンハウスにまで来るかもね、って事だね。 いっそ、領地に帰ろうか?
「ソフィアお嬢様、領地には帰れませんよ? 学園の授業期間中の領地への帰還は、許されておりませんから」
「なんで!? 要らない干渉を避ける為には、必要な事ですわよ!」
「規則です。 それに……もし、彼方が再度、お嬢様と試合がしたいと望まれれば、どうしようもありません。 公爵家の威光とは本来そう云う物です。 あちらはプライドを掛けて、再戦を望まれるでしょう」
「くそっ! なんてこった! 殺っとけば、よかった」
「言葉遣い! 内容!」
「……はい……」
ドロテアが眼を丸くしてる。 猫被ってるのは知ってるけど、本性は見せて無かったものね。 ゴメン。 殺気がダダ漏れになったよね。 この辺が、レーベンシュタインの御家の中でも、私が《鬼姫様》って、呼ばれる由縁なんだけろうね……。
色々と学園での噂話を伺っておいた。 概ね、予測の範囲内で、事は収まっているみたいね。 宮廷方面も、其処まで大事には成っていない感じ。 マクレガーの父ちゃんの動きだけが、ちょっと読めないけどね。 国防長官って職に就いてるから、大ぴらには動けない筈だし……。 二男様を国防長官に据えるって話も、公然の秘密状態だしね。
長男である、マクレガーの面子は、あの御家では、そんなに重くは無い筈。 筈。 筈なんだけどなぁ……。 貴族って、体面でモノ言って来るからなぁ……。
そして、やはり私の心配が、杞憂に終るほど、この世界は甘くは無かった。
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お客様、第二弾。
先触れにあった通り、無紋の馬車がタウンハウスの車寄せに止まった時に、厄介ごとが親子連れでやって来た。 出たよ、レクサス公爵閣下と、その御長男、マクレガー様。
目立たない様に、無紋の質素な馬車でのご訪問だった。 玄関ホールで、御父様、執事のビーンズさん、メイド長のマーレさん、私付きの侍女 ミャー、そして、私の五人が御出迎えしたのよ。
貴族の家としては、小さな我が家。 あんまり豪華でない応接室に、お二人を御通して、お話を伺う事になったの。
いや、なんか渋くなったね、セントリオ。 『瑠璃色の幸せ』で、泣き崩れるママを引き立てた時とは、大違いだ。 実際にこの国の政務に携わる様に成って、自分が踊らされていたって事、理解したのか? まぁ、どうでもいい。 ただ、私の顔を見て、絶句するのはやめて欲しい。
色々と、勘ぐってしまうよ。
「……エルグリッドに聞いてはいたが、これ程、似ておられるのか……」
ご挨拶のあと、うちの応接室に着座され、ティーセットを前に呟くセントリオ閣下。 まぁ、似てるよね、ママに。 ディジェーレ=エレクトア=マジェスタ公爵令嬢の小さい頃に生き写しだもの、私って。 魔力を含んだ銀髪。 底光りする紅い目。 ぽってりとしたバラ色の唇。 自分で云うのもなんだが、整った顔立ち。 見た目だけだと、ほんと、「ザ・御令嬢!」 なんだよね。
着ている服は、男爵家相応のモノだけど、いわゆる、ママの記憶から紡ぎ出される「気品」は、公爵家令嬢のそれと同じものだからね。 さぁ、何を言いに来たんだ? 聞かせて貰おうかな?
「閣下、この度の、【お忍びでの】ご訪問、どういったご用件で?」
「いや、すまない。 男爵、時間を取らせてしまった事、陳謝する。 実はな、先日行われた、学園の「武術大会」での事で、コイツが聴きたい事があると云う物でな」
顎をしゃくる様に、隣に座っている、マクレガーを見やった。 その瞳には、困った奴だと云うような色が浮かんでいる。 マクレガーは……、私がきちんとドレスを着こんでいるのを見て、これまた、絶句しとった。 そう言えば、コイツ、私の制服姿と、小汚い訓練着しか見た事ねぇからな。 ちゃんと「お嬢様」してる私を初めて見て、言葉を失ってやがる。
馬鹿か? その「阿保面」如何にかしろよ。 口開いてんぞ?
「どういった、お話なので御座いましょう、マクレガー子爵」
慇懃に御父様が口を開かれる。 その声にハッとして、現実に引き戻されやがった。 なにか、モゴモゴ口の中で云っているが、聞こえん! ええぃ、うっとおしい。 ハッキリ言えよ!
「…あの、「武術大会」で……俺……私は負けました……。 理由が……、 ソフィアが何をしたのか……、 それが……、 知りたくて……、 父上にお願いいたしました」
ほう、理由か。 そりゃ、お前が弱かったからじゃね? ほんと、期待外れだったよ。 もうちょっと、骨があるかと思ったら、掌底一発で吹き飛ぶってな……。 想像もして無かったよ。 どうしよう……。 何て言えばいい? ミャー、本当の事を言ったら、また、こじれそうだよね……?
「宜しいでしょうか? お嬢様は、人見知りが激しい為、私が御答え致しましても」
ミャーが、御父様にそう言ってくれた。 ほら、私、結構、傍若無人に話ちゃうから、相手を知らない間に傷つけちゃう可能性もあるんだ。 それに、「貴族の会話」 って、奴もあんまり得意じゃないしね。 回りくどく、それとなく、察する事が出来る様に……って、無理っす! 結局、何が言いたいのよ!って、叫びたくなるのよ。
ミャーは、こう見えて、そっちの会話はとてもお上手なの。 御父様も知ってるし、要らない言質を与えなくて済むって、対外的にはよく「ソフィア様の意向」って事で、ミャーがお話をしてくれて居る。 今回も、御父様に許可を貰って、ミャーがお話する事になった。
「では、ミャー……。 何が起こったかをお伝えしてくれ」
「はい。 卑賎なるわたくしが、直接お言葉を差し上げる事、お許しください。 セントリオ=ゴーメス=レクサス公爵閣下、マクレガー=エイダス=レクサス子爵閣下」
「うむ、許す」 「応」
「有り難き幸せ。 では……。 マクレガー様に置かれましては、御言動から分かる通り、お嬢様の事は歯牙にもお掛けに成られておられませんでした。 間違いございませんね?」
渋い顔のセントリオの横で、私の顔を見ながら頷くマクレガー。 穴が開くほど、見詰めんな。 お前の目の中には、「あの人の」欠片すらない。 非常に不愉快だ。 知らず知らずのうちに、能面の様な顔つきになり始めてるらしい。 ミャーがそっと、肩に手を載せてくれた。
「御油断があったのでは? お嬢様は、対戦相手に失礼の無いようにと、運動場にて毎日、鍛錬されて居られました。 また、初戦のお相手がマクレガー様とされた時から、お嬢様の鍛錬は更に激しく苛烈になりました。 ひとえに、無様な試合をしない様にとの、思し召しで御座いました」
淡々と語る、ミャーの声が届いているのかいないのか……。 マクレガーの阿保面は、変わりなく、私を見詰めている。
「振り返って、マクレガー様は、有り余る才能と、優れた体躯をお持ちでは御座いますが、鍛錬の方は……あまりお好きでは無いご様子。 運動場でついぞ、あなた様の御姿をお見受けする事は、御座いませんでした。 つまりは、男爵家の子女であらせられる、ソフィアお嬢様の事など最初から眼中になかった……。 と、言う事で御座いましょう。 才ある方の陥る陥穽でございますね」
「……まったくもって、その通りだな。 お前の悪い所が出たのだ」
静かに諭すように、セントリオ閣下がマクレガー様にお伝えに成った。 見る間に顔を赤く染め上げるマクレガー様。 なにかが、琴線に触れたみたいね。
「父上! わたくしは!」
「言うな。 この侍女の云う通り、お前は彼女を舐めていたんだ。 たかが、男爵家令嬢だとな。 聞く所によると、ソフィアさんは、誰が相手になってもいいように、全力を出せるようにと、日々鍛錬を重ねていた……。 お前はどうだ、才能が有る事は皆が認めている。 しかし、その才能に胡坐をかいては居らんかったか? お前が、意識を取り戻してからの一言、「何故だ」の答えが、そこにあるのではないか? よく考えろ」
叱責に近い、セントリオ閣下の言葉に、マクレガーは言葉を失ったよ。 ミャーが一歩下がって、頭を下げる。 いいね、ほんとに、いい。 こりゃ、私、なにも喋んなくても良いよね。 でも、なんか、雲行きが怪しい……。 マクレガー様、私をジッと見詰めたまま、言い放ちやがった。
「お、俺は……鍛錬が出来て無かったのか? 皆に……認められているのにか?」
私は、眼を瞑ってしまった。 ダメだ。 こいつ。 まだ、判っていない。 仕方ねぇな……。
「マクレガー様。 貴方の力は誰に捧げるモノなのでしょうか? ご自身? ダグラス第二王子? それとも……」
私の言葉に、考え込む。 おい、考える場所じゃねぇだろ。 お前の家の成り立ちを考えろ! お前の家は、何をもって仕えているんだ。 国防だろ!
「マクレガー様、世界は広う御座います。 貴方の目指すべきモノは、この国、エルガンルース王国の安寧。 武を持って、国民を安んじ、外敵を退け、国家の安寧を守るべき力。 さすれば、他人の評価なぞ、意味を為さぬ物と、お分かり頂けると存じます。 一つに、己を高め、この国に住まう者の剣となり、盾と成るべきかと、愚考いたします。 負ける事は、恥ずべき事では有りません。 しかし、反省も無く、自棄に落ちいる事、徒に恨みを募らせることは、大義の前に恥ずべき心構えと、そう思います」
ふぅ……。 言っちゃったよ。 こいつ、馬鹿だけど、素直な所もあるんだ。 だから、指針を示してやれば、多分……。
「……そうだったな。 なにか……勘違いしていたようだ。 俺は……弱い。 そう、弱いんだ。 ちやほやされていたからこそ、判らなくなっていたのかもしれない。 ……ソフィア、頼みがある」
「はい……何でございましょうか?」
「いずれ、また、試合をしてくれないか? お前の強さは、身に染みて理解している。 身体強化魔法だけしか使わぬお前に……、 あそこまでやられたという事は……、 納得いかない。 鍛え直すとする。 その時は、いずれ。頼む」
「……」
あ、あのね……、 馬鹿じゃないの? 男爵令嬢たる私に頼む事じゃ無いでしょ? もっと、有益な人に頼みなよ。 私の技術は、暗殺技術。 試合とか、正々堂々とかとの対極にあるもんだよ。 なんで、判って呉れないのかなぁ……。
「頼む……」
なんだ、この、子犬みたいな目は! い、嫌だって言えないじゃないか!! くそっ!!
「……いずれ……また……」
満面の笑みを浮かべやがった。 お前、何なんだ? その日は、それで、レクサス閣下達はお帰りになったよ。 なにやら、セントリオ閣下、嬉しそうにしていたな。
マクレガー様が、大きくなるにつれ、素行があまり宜しくなくなった。 そんな、マクレガー様の事をかなり心配されていたんだよね、セントリオ閣下は。 親の愛情って奴だよ……。 これで、正道に戻れるかもって……。 御父様に、そう仰っていたわ。
なんなのよ!
結局、また、何時か、奴と試合をしなくちゃならなくなっちゃったじゃ無いの!! もう!! 関わりたくなかったのに!!!
無紋の馬車が、街の中心部に向かって走り出し、その後ろ姿を見送っている時に、ミャーに言われた。
「お嬢様…… 墓穴を掘りましたね」
「埋葬済みよ」
「あれほど、ご注意くださいって、言ったのに……」
「ゴメン……」
「仕方ありません。 鍛錬のお付き合いは、今後とも致しますので」
「ありがと……」
馬車が小さくなって、街に消えていくまで、見送っていたのよ。 はぁ……。 外の世界の強者達が、相手してくれたら、奴はもっと強くなるんだけどなぁ……。
でもさぁ
これで、奴……、
他に気を取られる事も無く、
必死に、王宮騎士への道を、
貫いて、行ってくれそうだよなぁ……。
「世界の意思」
躱せたかなぁ……。
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段々と、ソフィアが絡めとられて行きます。
読んで下さって、本当に有難いです!
また、明晩、お逢いしましょう!!




