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記憶の彼方から ” あの人に逢うために ”  作者: 龍槍 椀
ビューネルト王立学院 一年生
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第13話 「世界の意思《シナリオ》」との相違点





 夜、ベッドに一人きりに成って……、


 仄かな光が窓から差し込む、天上を見ながら……、





 ……一生懸命に思い出していたの。





 『君と何時までも』の会話イベントログ と、エンディングロールの背景スチル。 あのゲーム、実際、二年分の話しか無いんだよ。 学園の高等部からの話だからね。 初等部、中等部での四年間は、会話イベントからの想像するか、エンディングあとの、スタッフロールの後ろのスチルに有る情報を読み解くしかなかったのよ。




 ゲーム、『君と何時までも』は、主要登場人物が、十七歳から十八歳なんだよ。




 何を必死に思い出していたかと言うと、今の世界……、ゲームシナリオの中の、「どの」ソフィアかっていう事。 つまり、『瑠璃色の幸せ』がどのエンドを迎えたかなのよ。 状況から考えて、今いるこの世界は、『瑠璃色の幸せ』の 【 Cエンド 】 後の世界とあたりを付けている。




 理由は、私のママ、ディジェーレ=エレクトア=マジェスタ公爵令嬢 が、娼館で働いて、私を生んだ事。 【 Aプラス、 A、 B エンド 】は、幽閉されて、そこで名も知れぬ、汚ねぇ男達に、無茶苦茶されて、妊娠して、ソフィアを生んで、それから、処刑……。 エンドロールでね、ほんと、これでもかっ! って言うエンドだった。 ディジェーレに思い入れの有った私には、マジで怒りのエンドだったよ。 


 【 D、E エンド 】は、同じ娼婦落ちだけど、もう少し、「マシ」な、その後だったような……。 【 Eエンド 】なんかは、娼館に来てた、『全てを知っている「お客」』と、手に手を取って出奔し、その後の足取りは判らない……、なんて書いてあった。


 【 Eマイナス エンド 】も、街に放り出されるんだけど、どこかの誰かに保護されて、市井の間で、それなりに、幸せに暮らせたかも、……ってね。 まぁ、どのエンドも、公爵令嬢の未来としては、碌な事に成ってないよね。 本当に『瑠璃色の幸せ』って奴は、ママを、”とことん” 悪役令嬢にしたかったみたいだ……。 



 う、鬱になりそうです。




 こんだけの状況証拠からね、この世界……。 ママは「管理の厳しい」「絶対に逃げられない」娼館に縛り付けられて、身体がボロボロに成るまで、働かされるだけ働かされて、ソフィアを生んだ後、三か月で、お空に帰った。 つまりは、【 Cエンド 】の世界線の中。  そう考えられるのよ。




 次に考えるのは…… 『君と何時までも』の中で、ソフィアがやった事。 



 エンドロールのスチルとか、ゲームの中の会話の端々に出て来る、過去話とかで、ソフィアのやって来た事を類推するしかないね。 「世界の意思シナリオ」が想定していた、『ソフィア』がこれから要求されている、「役割ロール」についてね。 




 もしさ、「世界の意思シナリオ」 通りだったら、……私が気が付かなかったら、ミャーとお使いに行った時に、”マジェスタ公爵家の家宝の短剣” を使って撃退して、それを、マジェスタ公爵家の人に見られてて、あそこに引き取られてたね。 



   五歳の時にね。 



 十二歳に成るまで、マジェスタ公爵家で 「いじめられ」倒して、復讐心を拗らせて行くんだ。 まぁ、「世界の意思シナリオ」が、彼女に要求したのは 【復讐者リベンジャー】の役割ロール……。  だから、徹底的に幼い彼女に 「恨み(復讐)」 を植え付けたんだよ。 



    反撃開始は、七歳くらいからかな?



 手始めに家の者達の弱みを握る。 家令、メイド達の弱みを掴む。 徐々に支配下に置く。 ほら、下町の娼館で五年暮らした結果、人の弱みを握るコツとか、手練手管なんかを十全に学んでいたからね。 次に彼らを使って、マジェスタ家の悪事の証拠を掴んでいく。 更には、マジェスタ家の女性陣を潰していく……。 色んな手を使ってね。 


 それを、止める人はいない。 唯一、止められそうだった、ミャーとは五歳でお別れしてたよ。 それからは、娼館の話も出てこないしね。 完全隔離、孤立無援のソフィア。 拗らせるよ。 性格歪んで育つの、当たり前だよ。


 ビューネルト王立学院に十二歳になって入学して……、 魔力検査もまずまずで……、 最初から一組に入ってたね。 そこで逢うのが、ダグラス第二王子と、その将来の側近になるべく、勉強している男の人達。


 一人目、 エルヴィン=ヨーゼフ=エルグラント子爵。

 財務担当の  アレスター=パウル=エルグランド公爵の御令息。 

    

 二人目、 マクレガー=エイダス=レクサス子爵。

 国防担当の  セントリオ=ゴーメス=レクサス公爵の御令息。

       

 三人目、 マーリン=アレクサス=アルファード子爵。

 宮廷魔術師の長  ハリーダンド=ボルガー=アルファード公爵の御子息。

       


 そして…… 【復讐者リベンジャー】にして、【悪の令嬢アンチヒロイン】 



      ソフィア=エレクトア=マジェスタ公爵令嬢。



 他は、「君と何時までも」の攻略対象者で……、高位貴族の御令嬢達。 何人いたっけかな? 五人? 六人だったかね? まぁ、そんな所だよね。 伯爵家、侯爵家のお嬢さんたちでね、その内の三人は、エルヴィン、マクレガー、マーリンの婚約者さん。



 「世界の意思シナリオ」はね、五年生になる前に、この側近候補の御三方を排除してしまう事。 それは、つまり、マジェスタ公爵の思惑と一致するのよ。


 まぁ、この男の人達が失態を犯した時点で、攻略対象のお嬢様たちとは、婚約関係が破棄されちゃってる。 女性陣が、全員フリー状態で始めないといけないからね。


 エルグリッド卿が、三人の取巻きを排除する為に用意した、切り札。 それが、彼等を嵌めた、ソフィア。 そりゃもう、悪辣にね。 エルグリッド卿からの命令も有ったはず。 その三人の排除は、他の公爵家の失態につながるからね。


 メンツを重んじる貴族には、嫡男の失態は御家の面目丸潰れになるもんね。 盛大にやらかした、公爵家の御曹司達は、その事で廃嫡、まがつは、御家にも及んだみたいね。 要は、ここで、エルグリッド卿……、 つまりマジェスタ公爵家一強の時代に入るって訳だ。


 さて、ソフィアが何をしたのかって言うと、彼女の最も得意とする、「女」を使った遣り口。 誘惑して、寸止めして、生殺し、【魅惑】の魔法を掛けて、襲わせたんだよ。 男達が、「もう我慢できません!」 って、校舎の裏側とか、研究室とか、準備室とかで襲い掛かる様にしむけたのよ。


 それを、下準備して「高位貴族の令嬢」に目撃させるのよ。 基本は、コレ。 誘導方法はそれぞれ違ってたけどね。 まぁ、中には、ギリギリ間に合いそうに無くて、 ”ソフィアの必死の抵抗 ” で、家宝の短剣で刺された方もいらっしゃった。 その直後に令嬢達が「ご登場」って訳。 問答無用の婦女暴行未遂現行犯なんだよ。


 「高位貴族の令嬢」って云うのが、彼等の御婚約者と、その仲間達。 ソフィアもその仲間達に入っていて、彼女達に、「嫌だ嫌だ」って言いながら、「馬鹿男共」を、うまく誘導してたんだよ。 基本「高位貴族の令嬢」さん達って、箱入りだからソフィアの手練手管を知らなくってね、見てる方がイライラする位、天然だったよ。


 実務派、脳筋、頭脳派の三人、笑っちゃうくらいチョロイのよ。 「世界の意思シナリオ」は、どこまでも、彼等に関しては無関心。 その彼等、こと、色恋沙汰に関して、無防備。 裏を考えろよ! って、なんども思ったからね。 丹念にエンドロールの後ろのスチル読込んだからね。 のたうち回ったよ。 


 あの人も、なんか、微妙な顔してた。




 「十二歳の女の子がこんな事するかね?」 って、呟いてたのが、とっても印象に残ってるの。




 同意したね。 ほんと、どうかと思うよ、将来最高位に着くのにね。 短絡的というか、何かに追い立てられるようにというか……。 でも、あれじゃぁ……ねぇ。 まぁ、お約束みたいなものだしねぇ……。 


 その三人を二年時、三年次、四年次で、次々と嵌め殺して行ったんだよ、「物語の中の」ソフィアは。 可笑しいのは、なんで、あれだけ嫌っていた、エルグリッド卿の云う事を聴いたのかって事だけど、ちゃんと打算があったよ。


 一人きりで、なんの庇護も無ければ、ママを嵌めた奴等全員に仕返し出来ないからね。 エルグリッド卿の命令を守る振りして、更にエグイ方法で、排除しちゃったわけだ。 「恨み」は、深く、彼女の心に刻み込まれていたんだ。 たとえ、ディジェーレさんの、「ママは信じているわ、ソフィアは決して良からぬ事にその力を使わないって」って言葉があっても……。 有ったからこそか?


 物語の中のソフィアの、【 最終目標 】はダグラス第二王子。……つまりは、エルガン王家。 国王陛下、妃殿下に煮え湯を飲ませる為に、ダグラス第二王子に接近していくのよ。 その為に四年次までに、マジェスタ公爵家以外の、三公爵家にはメンツ丸潰れになる事態を完璧に造り上げたんだ。 三公爵家の内の一家なんか、爵位の返還寸前まで追い込まれてた。 かなりの仕返しが成功したんだ。彼女的にはね。


 最終的には、マジェスタ公爵家以外の公爵家が没落して市井に落ちちゃうんだもんね……。 ちょろっとだけど、会話の中にその話も出てたっけ……。 原因は、現国王陛下の言動。 あの人、潔癖だから、婦女暴行なんて、許さねぇし、そんなのが嫡男だったって事で、自分から、三公爵家を遠ざけちゃったんだ。


 よく調べもせずね。 結局、自分の手足を自分で切り離しちゃったって事だよ。 切捨てられた三公爵家は、マジェスタ公爵閣下の暗躍もあって、見事に没落。 その日の食べ物にも、困る様子が、エンドロール後ろのスチルに載ってたよ。





  やっぱ、俯瞰する目を持ってない奴は、どうしようも無いね。 国王陛下……、 あんた、本当に馬鹿。





 一部の公爵家の者は、喰うに困って、家人を娼館に差し出したとかなんとか……。 はぁ……、 なんかねぇ……。 やるせねぇなぁ……。


 物語の中のソフィアが学園での最後の標的である、ダグラス第二王子に粉かけ始めた位からが、丁度『君と何時までも』のゲームスタート時期、五年生の始まりなんだよね。 自身の側近が、御家共々、次々落剝していく中、やっと、おかしいと思ったのが、ダグラス第二王子。 


 側近三人の元婚約者さん達と、あと三人くらいだっけ、の、伯爵家、侯爵家のお嬢さんたちと一緒に、側近達の堕落していった経緯を調べ始めたってのが、『君と何時までも』のシナリオの骨子。


 でね、物語の中のソフィアは、エルグリッド卿の「計画」に則り、マジェスタ大公家による王家簒奪まで見届けた後、エルグリッド卿を家宝の短剣で ブスリって……、 そんな事考えてたようね。 エンドロールの彼女の日記に其れらしい記載があったの、やっと思い出したよ。 ほんと、拗らせてるよね! 



     思い出してみて……気づいた。



 ……つまりは、”ソフィア=エレクトア=マジェスタ公爵令嬢” が居ないと、『君と何時までも』の前提条件が、完全にひっくり返るのよ。 「世界の意思シナリオ」的には、その【復讐者リベンジャー】の役割に誰を持ってくるのか。 




     それが問題なのよね。




 私は今、マジェスタ公爵家の令嬢じゃ無いし、それに、学園では「一組」にも居ないから、接点が無いのよ。 あの三人と。 だから、「世界の意思シナリオ」的には、焦っている筈なんだよね。


 居もしない【復讐者】。 影の力(暗殺者ギルド)を、持てなかった マジェスタ公爵閣下。 順調に何事も無く進む学園生活。 「世界の意思シナリオ」的には、これから開始する筈の「物語」は、破綻しているよね。 でも、絶対になんかある。 あれだけ往生際の悪い 「世界の意思シナリオ」だもの、誰かを絶対に「ぶっこん」で来るよ。 



 絶対にね。



 誰だろう…… この『君と何時までも』の世界の中で、恨みを募らせやすい人物…… で、影響力があって、マジェスタ公爵が操れそうな人…… マジェスタ公爵家以外の公爵家を排除できそうな人…… 居たっけ?



 私?



 無理っしょ。 今じゃ、立ち位置不明だしね。 一介の男爵令嬢に、そんな力は無いっしょ。 どう考えても無理っしょ……。 



 だよね?




 ――――――




 そうそう、そういえば、もう一人、立ち位置不明な人居たね。


 第一王子。


 彼は、なんでも、側腹で、王宮内で邪険に扱われてて、物語の中のソフィアが自分と同じ匂いがするから、排除対象にはしなかったらしい。 そんな事が、エンドロールの後ろのスチルに描かれていたっけ……。 


 おい、 アーレバースト=エルガン国王陛下! あんた、アンネテーナ=ボキシー子爵令嬢を娶る為に、ママを、ディジェーレ=エレクトア=マジェスタ公爵令嬢を、故なき罪で排除したんだろ? 側腹って、どういう事だ!! 正妃はアンネテーナ様だろ? 


 何年も、お世継ぎが生まれなかったからか? そりゃストレスだよ! そんで、手近な侍女おんなあたりを孕ませたのか? なんて奴だ!! その二年後に、アンネテーナ様の妊娠が発覚って事だろ? 頭、おかしいのか? で、やっぱり、アンネテーナ様が大事って事で、その侍女(お手付き)どっかにやって、第一王子は…… 後宮の片隅に追いやったのか? 




 国王陛下おまえ……、 碌でもねぇな! コレだから、王族って奴は……。 




 えっと、なんつったけな? 第一王子……。 名前、出てきたっけ? 


 ちょっと、思い出せないよ。


 そのくらい、影が薄かった。 




 ゲームの中じゃ、宮廷でも第二王子が王位を受け継ぐと、確実視されていて、第一王子は「その内」廃嫡された筈。 あぁ……、 たしか、エンドロールで、エルグリッド卿が暗殺した人物リストに載ってた様な気がする……。 違ったかな? ……行方不明だったけかな?



 『君と何時までも』の中には、出てこなかったよなぁ…… ムービー、スチル、100%開けて、その後の、隠しイベントも全クリして、「エクセレント!」 なんて、トロフィー獲得しちゃったらから、本当にない筈。 第一王子の欠片すらなかったよ。 第二王子が王太子に立太子する事は、既定路線だったみたいだし……。



 でも、現実には、この世界で、立ち位置不明なのは、私と第一王子くらいだよね。 「世界の意思シナリオ」がどう干渉して来るか……。 状況は要観察だね。 しっかりと見とかないと! 巻き込まれるって、可能性もあるしね……。 うん、気を付けよう。


 今度ある、新入生歓迎会で、ソフィアがする筈だった「役目」を、果たす人が居る筈だから、遠くから見て置く事が必要だよね。 「世界の意思シナリオ」が、何処まで修復しているかを見てみないと。 安穏な暮らしがおくれ無ければ、人探しするのも一苦労だし……。



 って、無理矢理、自分を納得させようとしてるね、これって。 つらつら考えていたら、深夜になった。 ミャーが心配してくれたよ。




「ソフィア……眠れないの? ホットミルク持ってこようか?」


「ミャーが飲むんならね」


「うん……。 一緒に飲もう!」




 用意をしてくれる ミャーの後姿を見ながら、私はホッと胸を撫でおろしていたのよ。 ベッドの上でね。 彼女がいる限り、私は「世界の意思シナリオ」には、抗える。 なぜか 「確信」 していた。 ソフィアの暴走も、寂しさも、復讐心も、何もかも、彼女のお陰で霧散している。 いつも、何時だって側にいてくれる。



 だから、私は安心して居られる。



 本当に有難う。




「入ったよ…… どうしたの?」


「ううん。 ミャーが居てくれて、本当に良かったって、そう思って」


「なんも、出ないよ?」


「出さなくていいよ。 其処に居るだけで」


「それは、良かった。 何時までも居るよ、私は、ソフィアの横に」


「嬉しいよ」




 ホットミルクの味は、甘くて丸かった。





**************************************





 ついに、来てしまった、新入生歓迎舞踏会当日……。 乗合馬車で登校している人達、下級貴族の微妙な立場に居るお家の子弟は、みんな制服組に成っちゃったよ。 ほら、一昨年、甚大な被害をもたらした災害(スタンピート)の復興が、まだまだだったし、乗合馬車組は、その災害があった地方に領地があったお家も多かったのよ。


 当然、そんな彼等とも、近所づきあいしてるから、足りない分は、何かしらの融通をお願いされてたのよ。 そんで、その地方に領地を持たない、下級貴族の御家も、「持ちつ持たれつ」だからって、なけなしの備蓄を分けてあげてたの。


 そんなことしてたらか、私達が住んでいる、郊外のタウンハウスが集まっている場所は、いまちょっと貧乏こじらせているんだ。 王国からの援助金は、大きな御家が掻っ攫っていくから、弱小の領地には回ってこないんだよ……。


 新入生歓迎会……。 いや、舞踏会か。 会場は学園の一番広い部屋なんだ。 なんでも、こういった「社交」の練習に作られたっていう、ボールルーム。 私は思うのよ、無駄なんじゃないかとね……。 下級貴族が、本チャンでも上級貴族ともお付き合いが出来る様にって配慮らしいんだけど。


 でも、本チャンの舞踏会では、殆どの上位貴族の皆さん、下位貴族とは交わらないって、聞いてるよ? 上位貴族の中で、パワーゲームしてるらしいんだ。 吹けば飛ぶような、下位貴族はその中には絶対に入れないよ……。


 ほんと、この世界、無駄が多いのよ。 そのくせ、国家運営に必須な部署は削っちゃうしね……。 国王陛下含めて、この国の上層部に一回、「ヨーロッパ戦線異状なし」辺りの、戦略級シミュレーションゲームさせてみたいよ。 きっと、三年以内に、国がが無くなるね!


 さて、私は、授業が終わった後、またもや食堂で時間を潰してたんだ。 ミャーと一緒にね。 準備は、簡単だった。 髪を梳かして、ミャーに編み込んでもらった。 それだけ。 お化粧も、しなくていいよ。 まだ、十二歳だしね。 本気出して化粧するんじゃねぇよ、ミャー!




 アンタの化粧の腕は、お店の ”お姐さん達 ” にも、一目置かれてたんだ。 私が別人に成っちまうからな!!




 二人で、窓際の席に座って、オトナシクお茶を飲んでたの。 あぁ、これは私が入れた奴。 しばらくぶりだったけど、ちゃんと入れられたよ。 お茶請けは…… 食堂のお菓子。 デザートとか、茶会用に作って常備してあるんだよ、この学園の食堂にはね。


 私も学園の生徒だから、思う存分使わせてもらってる。




「一便……出てしまいましたね」


「お嬢様、往生際が悪いです」


「出席したくありませんから……」


「この期に及んで、無理言わないでください」


「ミャーも、御一緒しません事?」


「規則上無理です。 いつも通り、控室にてお待ちしております」




 ニヤリと笑う、ミャー。 いつも通りなら、影に入って護衛してるって事じゃん。 判ったよ……。 存分にやって下さい。 ため息交じりで、お茶を戴いていたの。 そしたらさ、三々五々、乗合馬車の仲間達が集まって来た。 みんな制服姿なんだよね。 


 お嬢様方は、綺麗な髪飾りを付けてたり、小粒だけど、綺麗な石がくっ付いたネックレスを付けてたりしてたけどね。 男性諸氏はね…… これまたキッチリかっちりと着込んだ、「冬服」なんだよね。 そっちの方が、いかにも 「ザ・制服」って感じで、十分に正装と言えるからね。


 髪を撫でつけてた子もいた。 みんな、見違えるほど、大人びて見えたよ。 十二歳の割にはね。 




「ルーク、素敵に見えますわよ」


「ありがとう。 まぁ、俺に出来る精一杯だな。 ソフィアも……、 んん……普通だな」


「ええ、普通ですわよ? なにか?」


「ソフィア様も、素敵ですわよ! 凛とされて居て! 何を仰るの、ルーク様!」


「ドミニク様、有難う。 貴女の髪飾り、美しいわね。 それが、仰っていた、御婆様の?」


「ええ、そうなのです。 私の一番大切なモノなんです!」




 そっと、髪飾りに手を当て、にこやかに微笑んだドミニク。 ほんと、誇らしげね。 いいいね、その笑顔! それに、その髪飾り、とっても素敵だよ。 良く似合ってるし。 なんか、愛情感じるよ。 ニコニコ、極上の笑顔を向けて彼女達を見ていたの。






 ゴーン ゴーン ゴーン






 集合時間だね。 



 じゃぁ、行くか!



 暫しの間、じっと観察するんだっ



 私の役割ロールを、引継いだのが誰かってのをね。



 絶対に、危険には、近寄らない様にする為にね!



 さぁ、行くか







 新入生歓迎舞踏会(戦場)に!







読んで頂いて、誠に有難うございます。

ブックマーク、評価、とても嬉しいです!


頑張ります!



また、明晩、お逢いしましょう!!

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