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第五十五話 『大会二日目・試合準備』

マジでペース落ちるとは何だったのか(笑)

自分でもこのモチベの高さに驚いております(^^;

続くといいなぁ……


2017/04/28 微修正

 予選二日目。

 集合時間より少し早めに会場入りした俺は、そのまままっすぐ控え室へと向かう。

 ちなみに、早めに来たのは別に何かしたいことがあったわけではない。

 正確な時計というものを未だ見ないこの世界で、時間ギリギリに行動するというのが不安だっただけだ。


 控え室の扉を開けると、昨日と違って人はほとんどおらず、皆が緊張の面持ちで座っていた。

 ……どうやら、グライツさんはまだ来ていないみたいだな。

 特に知り合いもいない上に、空気もピリピリしていたので、ひとまず他の選手を避けて席につく俺。


 ……息苦しい空間だな。これならもうちょっとくらい遅く来るんだった。

 しかし、入ってきてすぐに出て行くのも不審がられそうだし、かといって自然に出ていけるまで待っていたら試合が始まってしまう。

 ここは大人しく耐えるしかなさそうだ……早く来てくれ、グライツさん!

 まさか昨日出会ったばかりのチャラおじさんを、ここまで待ち遠しく思うなんてっ……!!


 しかし、待てども待てどもくる気配はなく……

 彼がようやく姿を現したのは、控え室まで係の人が呼びに来て、会場へと向かおうという時になってからであった。


 「ひぃーひぃー……わりぃわりぃ。ちと遅れたわ。まだセーフだよな?」


 ここまで走ってきたのか、随分と息を切らしながら、それでも悪びれた様子もなく係の人に話しかけるグライツさんに、思わずジト目を向けてしまう俺。

 彼はそんな俺の視線に気が付いたのか、会場に向かう列に加わりながら俺の肩に腕を回してくる。


 「おいおいそんな目で見ないでくれよぅ。俺はそんな視線で興奮する趣味は無いんだ。綺麗なお姉さんのなら、別かもしれんがな!!」


 いや、そんなことを力強く宣言されましても……

 残念ながら、俺にはMな趣味は無いので、同意しかねる。

 それにそもそも、お姉さん系の女性は俺の好みとは違うしな。


 「なんでこんなギリギリに来たんです? 寝坊ですか?」


 「いや~そうじゃないんだよ。控え室、空気が重かったろ? 俺は経験上そうなるってわかってたから、それを避けるために始まる直前くらいに到着するつもりだったんだがな……ここへ来る途中に、えらく綺麗なお姉さんに声を掛けられちまってな。話してたらギリギリになっちまったってわけだ!」


 そう話すグライツさんは、お姉さんを思い出しているのか鼻の下が伸びきっており、非常に残念な顔になっている。

 その表情からして、お姉さんと話し続けていた理由は、人助けとか空気を読んでとか、そういうのではないのだろうな。


 「わけだ! じゃねえよ! アホか? アホなのか? 綺麗なお姉さんなんざ、大会でいいとこみせればいくらでも寄ってくるだろうが! 遅刻したらそれで試合終了だぞ? 不戦勝の理由が、綺麗なお姉さんに見とれていたからとか、ダサすぎるだろ!」


 もう遅刻の理由がアホ過ぎて、このオッサンに敬意を払うのも面倒になってきた俺は、ついつい敬語無しでツッコミを入れてしまう。

 しかしグライツさんは、そんなこと気にもしていないようで、むしろ目を見開いて、それだっ!! みたいな顔をしてやがる。


 「それだっ!! お前天才かよレイジ!!」


 と思ってたらマジで言って来やがったよ、このオッサンは。


 「ったく、それだっ!! じゃねーよ!! その綺麗なお姉さんが、実は他の出場選手の刺客とかの可能性もあんだからな。もうちょい危機感もってくれよ。嫌だぞ、俺は。良い感じにライバルっぽい感じの雰囲気醸し出してた相手が、女に見とれて不戦敗なんて」


 「あはは、確かに。しかし刺客か……ありえるかもな。大会のこと言っても、随分引き留められたし。ま、そのおかげで腕に当たるやわっこい胸の感触を楽しめたし、良しとするかな! 結果遅れてないわけだし!」


 ……うん、ダメだこのオッサン。早く何とかしないと。


 さて、俺たちがそんなアホな会話をしているうちに、舞台中央に到着したようだ。

 特殊ルールの説明もあるだろうし、このスケベおやじはもう放っておくとしよう。


 「さて、では選手の皆さんも到着したという事で、早速二日目の予選を始めていきたいと思います! 実況は昨日に引き続き、このマリアーナが務めさせていただきます! では、早速本日の試合について、説明させていただきます。試合は一対一のトーナメント戦。本戦へと勝ち上がれるのはそのうちの二名となります。ですので、試合は計三回となります! 武器の持ち込みはなんでもオーケーで、相手が参ったするか、戦闘不能となった時点で試合は終了となります。あ、もちろん殺すのはNGですよ。万が一相手を殺してしまった場合には、状況次第でペナルティーもありますので悪しからず」


 ふむ。まあそれだけだと、普通に実戦寄りの試合って感じだな。


 「とまあ、例年であればこれでルールの説明は終わりなのですが……そう! 今年の予選は皆さん既にご存知の通り、特殊ルールがあるんですね~。では早速、その特殊ルールの説明をさせていただきます! 今回、この予選で選手の皆さんには、試合の前にクジを引いていただきます。そしてその紙に書いてあった内容が、その試合中のみ、ルールに追加されるというわけです。ちなみにルールは全部で五種類。どれも結構厳しいものですので、頑張ってください! では続いて、試合順についての説明に移らせていただきます」


 彼女がそう言うと、奥から係の人間が大きなパネルを運んでくる。

 そこには名前の所が空欄になっているトーナメント表が描かれていた。


 「はい、というわけでこちらがトーナメント表になります。あ、観客席の皆様には見えないと思いますが、こちらでその都度発表いたしますのでご心配なく。それでは、試合の順番なのですが、恨みっこ無しという事で、選手の皆様にはクジを引いていただきます。そこに書かれた記号で対戦相手が決まるというわけですね~」


 ふむ、くじ引きか。ま、定番だわな。

 魔法で透視とかの不正ができないのかとも思ってしまうが、彼女は"数字"ではなく"記号"と言った。

 おそらく、クジを見ただけでは、それでどこになるのか分からないようになっているのだろう。


 「では早速、フォルマルト選手からクジを引いて行ってください! その後は――――」


 そうして皆が、順々にクジを引いて行ったのだが……


 「あれま、レイジとは別のブロックになっちまったな。ま、それじゃあ戦いは本戦に持ち越しってことで、負けんなよ?」


 どうやらグライツさんとは本戦まで戦えないようだ。


 「これでも一応、ジウスティア家の推薦で来てるんでね。どっちにしても、予選敗退なんてするつもりはないですよ」


 「あ、そうなの? ジウスティア家って言ったら、侯爵家じゃねぇかよ。あーでも、例の騒動で関わり合いになったんだっけか。その縁でってことか?」


 「まあ、だいたいそんなところです」


 「そっか……あ! ところで、せっかくいい感じに砕けてくれたと思ってたのに、結局その口調なのか?」


 「へ? ……いいのか? 一応、年功序列は気にするべきかなと思ったのだが」


 さっきのは、思わず呆れて素で話してしまっただけだからな。

 精神年齢的にはそう離れていないというのも理由ではあるが。


 「いいんだよ。男の友情に年齢もクソもあるかってんだ。お前さんと話してるのは楽しい。それだけだ、大事なことは」


 「そっか。なら俺もこっちのが楽だし、そうさせてもらうわ。改めてよろしく」


 「おう、よろしくな! 俺も今は王都で仕事してるし、良かったら今度遊びに来てくれ。大会が終わっても仲良くしようや。もちろんこっちから遊びに行っても良いぜ? 共同での仕事の誘いも全然オーケーだ」


 お、おおう……

 仲良くしてくれるのは嬉しいのだが、怒涛のラッシュに思わずたじろいでしまう。


 「っと、わりぃな。気の合う奴が見つかると、ついついグイグイ行きすぎちまってな。仲間からもよく注意はされるんだが……」


 「いや、いいよ。共同での仕事ってのはよくわからないけど、今後も付き合いを持とうっていうのには大いに賛成だ。俺は都会に出てきたばかりで、知り合いも少ないし、色々教えてもらえると助かる。グライツはランクも高そうだしな」


 「おいおいそんな理由かよ。ま、いいけどな! ちなみに俺はAランクだ。まだなり立てだからAでも下の方だが、それなりに実力はあるもんだと思ってるぜ?」


 「俺が期待しているのはむしろ情報の方だけどな。しかしAとは凄いな。俺なんてまだランクDだよ」


 事件後の忙しい中でDまではランクアップしたものの、Cへ上がるにはもう少しポイントが必要だ。


 「は? D? 嘘だろ? お前絶対もっと強いだろ」


 「どうだろうな。でもまあ、まだ冒険者になって一月も経っていないんだし、そんなもんだろ」


 「あ、なんだそういう事か。なり立てじゃあしゃーないわな」



 「では、これにて予選二日目の開会式を終わりにします! 第一回戦で戦う選手は、準備をしてください それ以外の選手は、各々のブロック用の控え室にて、待機をお願いします」


 俺たちがクジを終えて雑談をしているうちに、色々運営側の準備も終わったらしく、司会のマリアーナさんが退場を促すアナウンスをする。

 俺は二回戦目だから、一旦控え室だな。


 「ありゃ、ブロックで控え室分けられるのかよ。それじゃあお前さんとはここでお別れだな。また本戦で会おうや」


 「おう。そんじゃ、また明日」


 そうして本戦での再会を約束した俺たちは、それぞれの控え室へと向かうのであった――――

本日、感想をいただきましてですね……色々と指摘していただけて、とても嬉しかったです。

やっぱりこう、感想とかレビューとかをいただけると、読んでくれたんだなぁっていうのがわかるので嬉しいものですね。

私、文トレのために書いてるところがあるので、指摘していただけるのはありがたいことです(^^)


まあそんなわけで、これからも頑張っていきたいと思います! (^^ゞ

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