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第四十一話 『魔導具製作体験学習』

~忘れてしまった方の為に~

この世界での暦は、1年は豊穣,運命,闘争,時空,生命,輪廻の6ヶ月。

各月61日の、計366日となっています。


2017/04/01 微修正

 俺が目を覚ましてから数日が過ぎ、今日は運命の43日。

 あれから俺たちは、色々と忙しい日々を過ごしていた。


 ちょっかいをかけてきていた奴らが一掃できたからといって、全てが解決するわけではない。

 低下してしまったギルドの信頼を取り戻したり、方々に事情説明をしに行ったり、その一方で、ギルドの月毎の活動成果が減少し過ぎてしまわぬように仕事をこなしたりと、今日までマスター含め、王都にいるクリスタリアのメンバーは皆、仕事と食事と睡眠だけの日々を過ごしていた。

 あ、ちなみに月毎の成果というのは、ギルドが月終わりに冒険者協会に報告するもので、これが急激に低下してしまうと色々と評価がよろしくないことになりかねない。


 だがしかし! 見よ! このギルドの掲示板を!

 仕事が事件の前に比べ、二倍は来ている!

 今回の事件の真相やそれをウチが解決したことが、美談っぽく世間に広まったことで、仕事が来るわ来るわ。

 いやはや、嬉しい悲鳴とはまさにこのこと。

 まあ、他との交渉やらなんやらの営業系には俺は一切関わっていないのだが、マスターやマーガスさんが尽力した上に、レティアを中心にジウスティア侯爵家が力を貸してくれたおかげで、ここまで早く信頼が回復したらしい。


 ちなみに、俺の書いた古魔晶龍からの手紙が、レティアに協力をお願いするきっかけになったとかで、凄く助かったとマスターから礼を言われた。

 まあ、古魔晶龍様とどのような関係なのかとか、会う事は出来ないのかとか色々聞かれたが……申し訳ないがそこははぐらかしてスルーさせてもらった。

 本当のことを言うわけにもいかないからな……


 さて、まあそんなわけで仕事漬けの毎日だったが、ようやくクリスタリア自体は落ち着きを取り戻しつつあり、一息つく時間くらいはとれるようになったというわけだ。

 そうそう、例の虐殺と仕事漬けで戦闘を多くこなしていたおかげか、俺のレベルも13から22まで上昇した。

 ただ、前よりレベルの上がり方が遅いように感じるのは、俺がレベルアップのシステムを理解していないのか、はたまた暴走やらの影響で不調なのか……

 あの後から、MPの最大値も安定してないし……

 例の暴走の後、俺の体の外側にある魔素はなぜか不安定になっており、制御を離れたり制御下に入ったりを繰り返している。

 魂が肉体に耐えられていないことが影響しているのだろうか。あるいは、レベルの足りない魂では力を御しきれなくなってきているのか?

  そういえばあの女神も、力を使いこなしたいならレベル上げろ的なこと言ってたしな……

 まあそんなわけで、今の俺は前に比べると結構弱体化している。


 と、いうわけでだ。

 今日はクレアさんの魔導具店へ行こうかと思っている。

 ことが片付いたら、魔導具製作を教えてもらう約束をしていたのに、今日まで忙しくて全然そんな時間とれなかったからな……

 ん? 仕事が沢山来ているのによくそんな暇があるなって? ある訳ないだろう!

 だがな、今日は雑事から解放された他のメンバーも通常業務に戻っているし、何でもかんでも仕事をとってきていたマスターも、手が空いたことで受ける仕事の選別ができるようになり、俺達の元に舞い込んでくる仕事の数も落ち着くらしい。

 更にはフィルスが、仕事は私が頑張りますので行ってきてはどうですか、なんて言ってくれてな……

 皆に相談したところ、一日くらいなら大丈夫だろうという事になったのだ!


 そんなわけで皆の協力のおかげで、俺は今日一日だけだが、自由に過ごすことができるようになったのだ!

 一日でどれだけ技術を身につけられるかはわからないが、力を貸してくれた皆のためにも、俺は是が非でも何らかの成果を持ち帰らなければならない!




 「こんにちは~」


 店に到着した俺は、さっそく中に入って挨拶をするが……どういうわけか、返事もなければ人影もない。

 休みが取れるとわかった時点で、今日行くことは伝えてあったはずなのだが……

 不審に思った俺は、最近は流石に疲れるので常時発動を封印していた気配察知を使用する。

 すると、店の地下に人の気配を察知することができた。

 気配の感じからして、おそらくクレアさんだとは思うのだが……地下室なんてあったんだなぁ

 外観だけ見ると、店舗部分を除いたら大してスペースがなさそうだったからどうしているのだろうなんて思ってはいたが、そういう事だったのか。

 てっきり、いっぱいしまえる魔導具なんかにものをしまっているのかと思っていた。

 この世界に来てから、地下室なんて見たことなかったからな……


 それからしばらく店の商品を眺めながら待っていると、クレアさんが店へと戻ってきた。


 「おや、もう来てたのかい。待たせちゃったかねぇ」


 まあ待ったと言えば待ったが、せいぜい15分程だ。

 最近のクソ忙しい中での貴重な時間と考えると長くも思えるが、普通に考えれば大した時間じゃない。


 「いえ、大して待ってないですよ。それに、今回は完全にこちらがお願いする立場ですから。そちらの都合を優先していただいて構いませんよ」


 「そうかい? そう言ってもらえると助かるけどね。ああ、そうそう……今ちょうど、レイジ君に教えるための道具を持ってきたところだったんだよ。さっそく、始めるかい?」


 そう言ってクレアさんが取り出したのは……見たこともないような小道具類や液体、謎の粉末に金属板といった、なんとも俺の好奇心をくすぐる品の数々であった。


 「おお! それは嬉しいですね。さっそく、さっそく始めましょう!」


 「はっはっは! そんなに目を輝かせて食いついてくれると、こっちも教え甲斐があるってもんだ。今日が過ぎればまた忙しいってことだし、取れる時間も限られているけれど、レイジ君ならきっと、私の予想以上の成果を見せてくれると信じているよ。まあそれに、満足できなきゃまた来ればいいさね。あたしはいつでも歓迎するよ」


 「ありがとうございます! 今日はよろしくお願いします、先生!」


 俺はそう言って、冗談交じりに敬礼をする。


 「よしとくれ、あたしは先生なんて柄じゃないよ。いつも通りに呼んどくれ」


 「あはは……はい、クレアさん」




 それから俺は、時間の許される限り、魔導具の製作を教えてもらった。

 まず初めは、金属板に魔粉で火の初級魔法陣を描くことから始まった。

 描く魔法陣の効果は、金属板を熱すること、ただそれだけ。

 だが、意図したとおりの適切な温度を維持するように、魔法陣を正確に描くというのは、予想していたよりずっと難しいことで……やっとこさ成功させるまでに3時間もかかってしまった。

 クレアさんに言わせれば、驚異的な速さらしいが……今日一日しか時間の無い俺としては、焦らずにはいられない。


 ちなみに魔粉とは、魔獣の核である魔石を特殊な加工法で粉末にしたもので、魔導具に魔法陣を描くのに使用される触媒の中では、もっとも一般的なものだ。

 より高度なものになってくると、液体に加工された魔液や、それに他の物を混ぜた魔溶液などという触媒が使用されることもあるらしいが、普段目にする魔導具の9割以上には、この魔粉が用いられているのだそうだ。


 「お疲れ様、そろそろ休憩にしたらどうだい? あんまり根を詰め過ぎても、かえって効率が悪くなるだけさね」


 俺が次のステップである、初級火属性魔法用の杖型魔導具の製作を行っていると、クレアさんがお茶を片手に声をかけてくれた。

 そういえば、作業を始めてから随分と時間が経っているような気もする。


 「……そうですね。どれくらい作業してましたかね、俺」


 「そうだねぇ……杖の製作に入ってから、かれこれ2刻くらいかねぇ」


 2刻というと、4時間か。そりゃまた随分集中していたもんだな、俺も。

 休めというクレアさんの言葉にも納得だ。


 「それで、どうだい? 作業は順調かい?」


 「ええまぁ……おかげさまで、杖の方はもう完成間近ってところですかね。流石に今回は、大丈夫だと思うんですけどね」


 「そうかい。やっぱりレイジ君は才能があるねぇ……たった三十二本目でそこまで言えるようになるなんて」


 「ははは……たった三十二本目って……十分失敗しまくってると思うのですがね……」


 「いやいや、魔導具製作をなめちゃいけないよ。普通は何百本もダメにして、ようやくそこにたどり着けるものさ。それも、何ヶ月もかけてだ。それを一日で、それもたった三十二本でそこまで言えるまでになるっていうのは、異常とも言えるほどの成長速度だよ……どうやらレイジ君は"魔"を感じる才能に長けているみたいだね。だから魔導具の機嫌をすぐに感じ取って、間違いを正せる。それは魔導技師にとって、もっとも重要な資質だ」


 魔を感じる、か……確かに俺は、魔法陣の内部を流れる魔素の様子を敏感に感じ取ることができている。

 そしてそれは、この感覚無しに同じことをしろと言われたら、ふざけるなと言って投げ出すのではないかと思う程に役立っている。

 そういう意味では、俺に素質があるというのは、全く以ってその通りなのかもしれないな……


 そのまましばらくクレアさんと他愛のない話しをしながら少し休憩した俺は、再び腕を磨くべく、作業に没頭するのであった――――


前書きの説明……作者の私が間違ってたらとんだ赤っ恥なんですけど、合ってますよね?(;´・ω・)

まあ、設定書いてあるノート見たんだし、大丈夫なはず、うん。

前にノートに書いてあった設定ガン無視して、その場のノリで書いちゃったこととかあったけど、きっと大丈夫。

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