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第三十九話 『尊き夢のフロマージュ』

軽い気持ちでつけた三七話のサブタイトルのせいで、サブタイトルつけるのに苦戦してる……くそぅ……


※本日二話目の投稿となります。ご注意ください。

 俺が意識を取り戻したとき、辺りは血の海と化していた。

 その場で生きているのは、グジャシュニクのマスターのクソジジイとフィルスのみ。

 そして俺は、倒れているフィルスの前に拳を握って立って――――


 (……なぜ? なぜ俺は拳を握っている? 俺は今、何をした? 俺が、俺がやったのか? 俺がフィルスを? 他の奴らも、皆俺が―――)


 俺が思考できたのは、そこまでだった。

 完全に正気に戻った瞬間、俺の体は途端にいう事を聞かなくなり、口から大量の血を吐き出す。


 (な……んだよ、これ……)


 体を構成する魔素を操作しようとしても、欠片もいう事を聞いてくれず、体の中がぐちゃぐちゃにかき乱されていく。

 体中に激痛が走り、皮膚は裂け、血が吹き出る。

 そしてその状況に自らの死を悟った俺は、そのまま意識を手放した――――






 次に目を覚ますと、俺は真っ白な空間に寝っ転がっていて、目の前にはちょっと前に見たばかりの女神様が立っていた。


 (俺は――――死んだのか?)


 確かこの女神様は……マドレーヌが好きで……お肌が最近気になってて……ああだめだ、思考がまだうまくまとまらない。どうでもいいことばかり思い出してしまう。


 「お目覚めですか? レイジさん」


 俺が寝起きで状況を掴みかねていると、目の前の女神さまが話しかけてきた。

 それに対し、いまだお寝ぼけモードな俺は、イマイチまともに回らない頭のままテキトーに返事をする。


 「あー、あぁ……あんたは確か、俺を転生させてくれた女神様でしたっけ」


 「はい。輪廻を司る女神、ルナトメリスと申します。そういえば、前回は自己紹介をしそびれていましたね」


 「ええ、まったく……好きな食べ物とか最近の悩みとか、そんなどうでもいい話は散々聞いたのに、名前を聞いてませんでしたね」


 「そ、その話は……できれば忘れて下さい。あの時は、私も少々テンションが……こほん! ま、まあ、今はあまり時間もありませんので、さっそく本題に移らせていただきますね」


 む? 本題とな……そうだ、俺は今どういう状況なんだ?

 真面目な雰囲気に、ようやくきちんと目を覚ました俺は、まず今の状況に疑問をおぼえた。


 「今の状況が気になっているとは思いますが、簡単に言えば、貴方は倒れて、夢の中に私が干渉しているような感じです。死んだわけではありませんのでご安心を」


 俺が疑問をぶつける前に、目の前の女神様は早口でまくし立てる。

 そしてその様子からは、かなり本気で急いでいるのがヒシヒシと伝わってきた。

 これは、下手に口を挟まず黙って聞いているのがよさそうだな……


 なんとなく事態の重大さを察した俺は、視線で意図を理解した旨を女神様に訴え、彼女と向かい合う形で立ち上がる。

 流石に地面(?)に転がったまま大事な話を聞くわけにはいかないからな。

 女神様には俺の言いたいことが伝わったようで、彼女は満足げな笑みを浮かべてから話を続ける。


 「理解していただけたようで何よりです。さて、それでは早速ですが、貴方は先ほど、倒れる前にご自身に起きたことをどの程度把握していますか?」


 「……それは、あの不自然なまでの殺人衝動のことか?」


 最初はフィルスがやられたことによる怒りのせいかと思っていたが、それにしたってあれはあまりに過剰なものであった。

 まるで、別の何かに突き動かされているような……


 「ええ、その通りです。まあ、あれはより正確に言えば殺人というよりも殺戮衝動といった方が正確でしょうが……まあ、そんなことはどうでもいいですね。では、今のあなたの状況について、私から説明させていただきます。とはいえ、何から行ったらいいか……そうですね……まず、あの殺戮衝動の正体ですが、あれはあなたの魂が、本能的に強く成長を望んだことが、最も大きな原因となっています」


 魂が本能的に? なぜだ? まさか奴らを倒したいからとか、そんなくだらない理由ではないだろうし……


 「そして肝心の、その魂が成長したがっている理由ですが……それを説明するためにはまず、古龍というものがどういった存在であるかから説明しなければなりません」


 「へ? 古龍? それが何か関係あるのか?」


 正直、ここでそのワードが出て来るとは予想していなかった。


 「はい。古龍とはこの世の全ての生物の頂点に立つ、絶大な力をその身に宿した龍で、その発生は数千から数万年に一度。これは、貴方ももうご存知のことと思います」


 その話なら、確か前にマスターに聞いたな……


 「そしてその古龍の正体とは……我々この世界の神が、下界に干渉するための器なのです」


 ……は? 神の器? ならなんで俺がそんなもんに転生してんだよ。訳が分からん。


 「あなたの疑問はもっともです。あなたがその体に転生した理由は、下界で製作中だった古龍と、たまたま波長が合ってしまったからでしょう。こちらの人間なら絶対にありえないのですが、異世界からの転生は、私も初めての試みだったので……まさかこんなことになるとは思わず……」


 そう言って女神様――――ルナトメリス様は申し訳なさそうな顔をする。

 確かに今の状況はそのイレギュラーが引き起こしたのかもしれないが、俺としては死んだはずだったのに第二の人生を送れているだけでもありがたいことなのだ。

 多少体に問題があろうが、それくらいは受け入れるさ。


 「俺としては、転生させてもらっただけで十分感謝してますから、気にしないでください。それより、今俺に起きている問題を解決するには、俺は何をしたら?」


 俺がフォローしつつ話を進めると、ルナトメリス様は、顔を上げて表情を引き締め直した。


 「そうでしたね、申し訳ございません。目下の問題を解消する方法はたった一つ……レベルを、上げてください」


 ……は? レベル上げ? そんなんでいいの? それならどっちにしろやることだし、全然問題ないけど……


 「そんなんでいいんですか? あ、それとももしかして、何百レベも上げなきゃいけないとか?」


 確かに、数百レベルも必要となれば、それまでの間、人里離れた場所で過ごすことを余儀なくされるだろう。

 俺自身が暴走して、災厄となるなんて御免だからな。

 この世界を救うために転生させられたっていうのに、そんな結果となってしまっては皮肉にもならん。


 「いえ、暴走が起きない程度にとどめるだけなら、50レベルにもなれば問題なくなるでしょう。今の暴走は、貴方の魂が神の器に耐え切れず、消滅を免れるために生存本能を働かせており、何らかのきっかけでそれに対する抑えが効かなくなることで起きているものですから。古龍の力を余さず使いこなすとなれば、もっとレベルを上げる必要もあるでしょうが、魂の消滅を避け、暴走を防ぐだけなら、そこまでレベルを上げる必要はありません」


 しかし俺の予想とは裏腹に、ルナトメリス様の提示した条件は、思いのほか易しいものであった。

 いやまあ、50レベでも十分大変ではあるのだが。


 「えっと……つまり、俺の魂は体について行けてなくて消えそうになっている。そんでもってそれを避けようと生存本能全開になってるもんだから、ちょっとしたことで暴走しかねない。それを防ぐためにはとりあえずレベルを50くらいまで上げろと、そういうわけですね」


 「ええ、その通りです。理解が早くて助かりますね。それに比べて、貴方の前に転移してきた異世界人ときたら……ああいえ、何でもありません」


 ……前に何かあったのだろうか。

 もしかして、俺に神代言語をあらかじめ与えておいたのも、そのことが関係してたりするのか?

 今度はなるべく面倒のないようにみたいな。


 「……そろそろ、時間のようですね。ああそうでした、最後にもう一つだけ。レベルが上がって状態が安定するまでは、なるべく固有スキルの使用は控えて下さい。特に、龍寄りの姿は、あなたの魂に負荷が大きい上に、いらぬ刺激を与えかねませんから」


 む? それは結構大事なことなのではないか?

 しかし、そうなるとヒトの姿でレベル上げをしなければならないという事か……これは、ますます魔法を使いこなす必要がありそうだな。

 目が覚めたら、さっさとクレアさんに弟子入りしなければ。


 そんなことを考えていると、だんだんと視界がぼやけてきて、ルナトメリス様の姿が見えなくなっていく。


 「では、またの機会を楽しみにしています。今度は、もっとゆっくりお話しできると良いのですがね」


 その女神様の言葉を最後に、俺の意識は再び深い闇の底へと沈んでいくのであった――――

気の利いた小話でも後書きに書こうかなどと考えつつも、継続するのが面倒そうで結局何もできていない……

まあ、そもそもそんなトークスキルは私にはないのですがね(笑)

……はい。どうでもいいですね、ごめんなさい(;´・ω・)


次話かその次くらいで、今の話は完結まで持って行けるかな? と思ってます。

その後の話は、一応ざっくりとは考えてあるのですが、色々細かくつめなければならない設定などもあるので、一旦更新の期間が空くかもしれません。

自ら定めた期限である一週間を超えることはないとは思いますが、よろしくお願いします。

まあ、その時になればまたいうので、ひとまずそうなるっぽいくらいに思っておいてください。

ではでは

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