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第二十六話 『クズは屑籠に』

活動報告やあらすじにも書きましたが、改めて告知をさせていただきます。

昨日、本作のタイトルを変更いたしました。

ここに長々と書くのもアレなので、詳しくは活動報告の方をご覧ください。

 「さて、では第二の理由だが、それはムルヴァよ。貴様がギルド『クリスタリア』に手を出したことだ。あそこにはちと世話になったことがあってな。貴様のような下郎に潰されるのはあまり好ましくない。故に貴様は我が敵となった。最初に貴様を敵視した理由もそれだな」


 俺の言葉にムルヴァの後ろの両親は、ムルヴァに非難めいた視線を送る。

 ……貴様らも同じようなことをしているというのに、よくそんな目で見れるものだ。バレなければ罪ではないとでも思っているのかね。


 「ただまあ、ここまでなら貴様らを潰さずとも、その二つに対して手出しをしないようにするだけでよかったのだ。ただまあ、なんだ。貴様らのことを調べていると、胸糞悪い情報ばかりが集まってな。それでまあ、端的に言うとだな……我は貴様らがのうのうと暮らしていること自体が許せなくなったのだよ。それが最後の理由だ。まあ、これは理由としては弱いし、おまけのようなものだがな」


 とはいえ、そのおまけのせいで家ごと潰されようとしている彼らにとっては、たまったものではないのかもしれないが。

 ま、自業自得だな。


 クレデルンブ一家はもはや言い返す気力も残っていないのか、肩を落としてその場で黙りこくってしまっている。


 「さて、では我は用も済んだことだし、元々招かれざる客でもあるが故、そろそろ退場するとしようか。最後にレティアの御両親よ。どうか、娘さんのことを大切にしてやってくれ。ではな」


 俺はそれだけ言うと、そのまま会場の出口に向かって歩いて行く。


 てっきりレティア辺りに引き留められるかと思っていたのだが、扉の近くまで来てもその様子はない。

 まあ、正直引き留められても帰るつもりだったから、別に良いのだが……なんかこう、少し寂しい気もしてしまうな……少しだけ。

 そんなわけで、扉を開けて出る直前にちらっとレティアの方を見ると、それはそれは綺麗なお辞儀をして俺を見送ってくれていた。


 その様子に少しばかり安堵した俺は、後のことはレティアやその周りの人間に任せて、屋敷を後にするのであった――――



♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢



 古魔晶龍様がご帰還なされた直後、会場内の張りつめた空気が一気に弛緩したかと思うと、辺りは喧騒に包まれ、パーティーどころではなくなってしまった。

 まあ、無理もありませんね。古龍の存在が明らかになったのですから。それも種族はあの魔晶龍。


 しかし……眷属、ですか。

 ふふふっ……思い出すだけで頬が緩んでしまいます。

 期待に応えられなかった私をお救い下さっただけでなく、二度目のチャンスまで下さるなんて、なんとお優しい方なのでしょう。

 私が幼き日に魔晶龍様の御姿に心惹かれたのも、それが高じて魔晶龍信者(クリスフェデーレ)となったのも、全てはこの出会いのためだったのではないでしょうか。

 とにかく、今は古魔晶龍様に託された仕事をこなすのが先決です。

 この喧騒に紛れて逃げられでもしたら目も当てられませんからね。


 そう考えた私は、さっそく警備の方に、クレデルンブ子爵家の皆様を別室までお連れ(連行)するよう命令するのでした――――



♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢



 一方そのころ、ジウスティア邸を後にしたレイジは、尾行を警戒しつつも、人目を避けながら予定されたポイントへと向かっていた。


 「さて、確かこの辺だったはずなのだが……」


 予定ポイント付近まで来た俺は、気配察知を使用し、フィルスの姿を探す。

 すると、裏路地の奥の方でこっそりこちらに手を振っている人影を発見した。




 「お疲れさまでした。レイジ様」


 フィルスがそう言って、俺に服を手渡してくる。

 そう、わざわざフィルスと合流したのは、ヒト族の姿に戻った際にすっぽんぽんになってしまう俺のために、服を持ってきてもらうためだったのだ。

 まあ、普通に隠しとけばいいんじゃね? と言われれば、確かにその通りなのだが……


 実は、古魔晶龍のことを公表することを覚悟した昨晩の段階で、フィルスには全てを話したのだ。

 異世界から転生したことから、俺が古魔晶龍であることまで全て。

 出会って間もないフィルスにすべてを話すなんて、ちょっと警戒心が足りてないんじゃないかと思われるかもしれないし、実際俺も不思議に思ってはいるのだが、何故かフィルスは信じても良いんじゃないかって思えてしまったのだ。

 もちろん口外しないようにときちんと言ってあるし、フィルスも死んでも話さないと言ってくれたのだが。

 まあ、死ぬくらいなら話してくれとはきちんと言っておいた。

 流石にこんな秘密よりはフィルスの方が大事だ。


 すべてを話した後のフィルスの態度はそれはもう凄かった。

 どうやらフィルスの母親は魔晶龍信者(クリスフェデーレ)だったらしく(獣人には多いらしい)、俺と出会うまでその母親としかまともに会話をしてこなかったフィルスにとって、魔晶龍を信仰することは当たり前のことであり、それはもう立派な魔晶龍信者(クリスフェデーレ)であった。

 まあそんなわけで、ただでさえ俺に依存して俺を敬っていた態度が、それはもう凄いことになってしまってな……レティアなんて比じゃないくらい。

 そんなフィルスを説得して、元の感じまで戻すのには、随分と時間がかかった。

 元は人間だからそんな敬われても困るとか、別に神様じゃないから加護とか与えられんとか、まああれこれ並べてごり押しで二時間くらいかかったかな。正直疲れた。


 まあその甲斐あって、こうして目の前に立つフィルスの態度は、少なくとも表面上は前と変わらない感じで…………まあ、よかった……のか?

 少し前までは、時間をかけてもっと砕けた感じになるようにと……いや、もういいか。

 本人が良いのなら、もうそれで良いことにしよう。



 そうしてヒトの姿に戻りフィルスから受け取った服を着た俺は、なるべく目立たぬように宿へと帰るのであった。





 ――――翌日の朝。

 フィルスと俺はクリスタリアのギルドへと向かっていた。


 ムルヴァの件はもう大丈夫だろうが、ギルドの信頼が回復したわけではないため、ギルドへ行ってもまだろくな仕事はないだろう。

 故に、今日は別に仕事を求めてギルドへ行くわけではない。

 だがそれでもあれだけのことがあった(しでかした)のだ。

 昨日の件について、マスターの反応や今後どうしていくかの確認しておこうと考え、今日はまずはギルドへと顔を出してみることにしたのだ。

 流石にギルドマスターともなれば、ムルヴァの件も含めて情報はもう入ってきているだろうしな。


 ちなみにこの後は簡単な仕事がてら、ステータスの確認や、あとちょっと試してみたいこともあるので、そのまま外へ出るつもりだ。

 本当ならステータスチェックは昨日のうちに済ませているはずだったのだが、ちょっと最近は調査で疲れてて、日課のスキルトレーニングをサボりがちだったからな。

 実はもう三日ほど確認できていない。

 それから外へ行くのは、もちろんフィルスも一緒にだ。

 最近はずっと別行動だったからな。今日はなるべく一緒にいられたらと思う。

 甘やかすわけではないのだが、彼女はついこの間までずっと一人で孤独と闘っていたのだ。

 また長いこと一人でいれば、不安になることもあるだろう。

 だからまあ、仲間のメンタルケアみたいなものだ。




 「おはようございます、マスター」


 気配察知で既にマスターの存在を確認していた俺は、扉を開けてすぐに、マスターへと挨拶をする。


 「おお、おはようレイジ君。フィルスちゃんもおはよう」


 フィルスは俺の後ろに隠れるように歩いていたのだが、自分にも声がかけられたことにびくりと体を震わせつつも、小さな声ではあったが、きちんと挨拶を返す。


 マスターはフィルスのそんな様子を気にしていないのか、随分と陽気な感じででこちらへと歩み寄ってくる。

 ……やはり情報はもう届いているようだ。


 「レイジ君聞いてくれ! 昨日のうちに朗報がなんと二つも届いての! まずはムルヴァの件じゃが、もう大丈夫じゃ。昨日のレティア様の誕生日パーティーで色々あったようでの。グレデルンブ子爵家には、今日にも王国からの調査が入るそうじゃ。既に王国側へと渡された証拠だけでもお取り潰しは確定とのことじゃし、奴らはもう終わりじゃの」


 どうやらレティアは上手くやってくれたようで、ムルヴァは完全に終わりらしい。

 これで一安心だな。ようやく元の穏やかな日常に戻れそうだ。


 「それから、そのパーティーでのことなのじゃが……なんと、古龍様が姿を現したらしいんじゃよ! それも言葉を話したとか。そしてなんと、その古龍様は、魔晶龍様であったらしいのじゃ! いやはやこれほど嬉しい知らせは一生に一度あるかないかじゃ! 儂はこの時代に生まれたことを心から感謝しておるぞ!」


 そう話すマスターの表情は、昨日までの疲れ切った表情とのギャップもあってか、凄く輝いているように感じられ、なんだかこっちまで嬉しくなってくる。

 秘密を明かしてまで解決した甲斐があったというものだ。


 その後10分ほどマスターと話していた俺たちだが、今後の方針はこれから決めるとのことだったので、ギルドを一旦後にして、王都から少し離れた森まで行くことにした。

 ギルドへはまた夜にでも来ればいいだろう。


 さて、森への移動手段だが、魔晶龍のことをフィルスに明かした今なら、移動は龍の姿でよい。

 さらに言えば、古魔晶龍のことはもう世間にバレているので、万が一姿を目撃されたとしてもさほど問題は無い。

 もちろん共に居るフィルスや、変身シーンを見られるのはマズいが。

 まあそれでも、それらの理由から日帰りでもかなり行動範囲が広がった。

 これなら人目を気にしながらの実験も、フィルスを連れて気軽に行うことができる。


 そんなわけで、いつも通り森の奥の方の人目につかないところまで移動した俺は、フィルスを背に乗せ、目的の森まで大空を駆けて行くのだった――――

今回は切りが良かったので少し短いですがここまでとさせていただきます。

前回1000字くらい多かったし、これでチャラってことで(笑)

嘘ですごめんなさい。


ギルドのいざこざの話は、もう少しだけ続きます。

それから、前話までは数字を全てアラビア数字表記にしていたのですが、特に意味があったわけではないので、今回は漢数字も使いました。

……どうするのが正しいのでしょうか。誰か私に教えてください(´;ω;`)

そんなわけでまだまだ右往左往の四苦八苦といった感じではありますが、どうか生暖かく見守っていただければと思います(笑)


それから最後に、本作をハーレム系にするか否かという話なのですが、ハーレム系にするという事で正式に決定いたしました!

タグにもハーレムを追加しておこうと思います。

そんなわけですので、今後ともよろしくお願いします。

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