九死に一生・・・・・・
やっとメインヒロイン登場です。
※ヒロイン目線も含まれます。
「くっくっく、もう抵抗しなくていいのか?」
「くぅ、黙れ!」
もう抵抗をしないのか、ですって。やれるものならとっくに抵抗してる! けど体が自由に動かせない。この感じは、麻痺させられた時に似てる。まさか、毒を盛られた……! それに後ろから不意打ちをして来た癖によく言えたわね! それにいつ毒を仕込んだの……。
「ふっ、その顔は、毒を盛られた事に気づいた顔だな。だがやはりさすがっと言うべきか。効果が遅く出る物を選んだのあるがやっと効果が出てくれたか。それと毒は、酒に仕込ませてもらった」
「おいおい、あまり傷つけるんじゃねよ。もしその所為で高く売れなかったらどうするつもりだぁ。あぁ?」
「待てよ。ただ売るだけじゃつまらねぇよ。まず俺達が楽しもうぜ。上玉な女だし俺達専用にしようぜ!」
その上に待ち伏せまでして、人の風上にも置けない人ですね!
「やれる者ならやってみなさい。返り討ちにしてやる!」
こいつ等の会話を聞いただけでもこの後、どうなるのか目に見えてる。なら……一撃でも一矢報いて死んでやる!
「貴様……自分の立場がまだ分からないらしいな……」
「っ!」
背後から殺気が! 後ろを見ると柄におさめた剣を片手で振り上げていた。目の前の男に意識を向けてて気づかなかった。間に合わ――。
「うおっ!」
「……え?」
今……、何が起こったの? 振り上げていた所を見た時、避ける事も防ぐ事も出来なかった。だから諦めた。これから起こる事に、これから屈辱を受ける事に、けれど振り上げた賊が一人でに後ろに飛ばされた。そのまま木の幹にぶつかり崩れ落ちたかと思えば、ぶつかった木の枝から何者かがその賊にめがけて落ちて行くのが見えた。
「はっ!」
「ぐっ! ……がっ!」
呆然と見る事しか出来なかった。賊の頭上から落ちて来た何者かがショートタガーで的確に喉を突き刺していた。私……助かったの……?
「君達、可憐な女性を男三人で囲むだなんてみっとも無いと思わないの?」
もし、未来の私がこの光景を見ていたらきっと何としてでも気を引かせる事とこの出会いを感謝するかもしれない。これが私が大好きで命よりも大切で何よりも愛しい人の運命の出会いだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇
ステータスを確認していた時に女性の悲鳴が聞こえた方向に走ってるんだけど。
「悲鳴が聞こえたのは、こっちの方向で合ってるのか?」
しばらく走っていると誰かとの会話が途切れ途切れに聞こえてきた。
「……………?」
「……っ! …………っ!」
「近いな……」
走るのをやめて息を殺しながら近づく。近づくにつれて声が鮮明に聞こえてくる。
「さて、如何する? 近くでどうなってるか確認はしたいけど、これ以上近付くとばれる。足音を消す事が出来る訳……あっ」
そうだ。あるじゃん。足音や物音を発てずに近づく方法が! やるなら今の居場所から魔法を使って、移動すればいい。やっと分かって使える魔法は、重力、つまり距離が離れてる今なら、魔法で重力を操って近い木の上まで浮かべば音を立てずに隠れる事が出来る。
「よし、そうと決まれば!」
俺が唯一分かっている重力魔法を使い体を浮かせた。おぉ、凄い。本当に浮いてる! っと今は、感心してる場合じゃない。話してる場所付近の木の上に移動してっと……よし。ばれて無さそうだな。
「やれる者ならやってみなさい。返り討ちにしてやる!」
ふむ、後姿でも見て分かる女性が男……しかも三人に囲まれてるという事は、現在進行形であの女性は、襲われてる事になるな。
「貴様……自分の立場がまだ分かって無いようだな」
「っ!」
襲われてる女性は、前に居る男に気を向けていた為、背後に近づかれたスキンヘッドのチンピラが剣を柄におさめたまま片手に持って振り上げていた。女性は、背後に居た男に気づいたけど間に合いそうにないな。
「なら重力をうまく使って……」
チンピラが受けている重力の力を真後ろ方向に変えてさらに重くさせる。丁度いい事に俺が隠れてる木の前に居たから偶然に出来た地の利を利用してやる。
「うおっ!」
「……え?」
自分で操作したとはいえ、わざわざ仕留めきれる距離にまで近付いてくれた後は、チンピラにめがけて飛び降り……。
「はっ!」
「ぐっ! ……がっ!」
ショートタガーで喉を刺す。これで悪党一人排除っと。
「君達、可憐な女性を男三人で囲むだなんてみっとも無いと思わないの?」
さて、いきなり挑発と啖呵を張ってみたけど、手負いの女性とチンピラ二人最優先は、女性の逃亡、できる事なら残りチンピラ二人の無力化、如何しようか?
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