冒険者ギルド
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勇者召喚に巻き込まれてこの異世界にやって来た。まぁ、それで異世界を自由に見て回る事が出来るんだから選ばれなかった落胆なんかよりも今からの生活の方が楽しみだな。
「おい、そこのお前!」
城の門から出ようとした瞬間に後ろから兵士に呼び止められた。周りには誰も居ないから俺に言ってるんだよな? でも一体何なんだろう?
「お前が召喚された一般人だな?」
「まぁ、確かにそうだけど……」
「これは第一王女、リリス様からだ」
そう言って渡してくれたのは、何かが入っている袋を渡して来たけど……、中を確認してみると金銀財宝の金貨が入ってた。
「確かに渡したからな。リリス王女様に感謝しろ」
金貨袋を渡してくれた兵士は、城の中に戻って行った。確かに金はあって困る事はないけど、感謝しろって言われても複雑な気持ちだな。
「さて、金は貰ったからと言って使えば無くなるし働ける事に越した事はないからなぁ」
それにこの異世界を旅するには、やっぱり強くならなきゃ生きていけない。ステータスとかまるでゲームのような世界だけど、ゲームじゃない。強くなりながら異世界を楽しめるとしたら……。
「……やっぱり異世界って言ったらギルドだろ!」
強くもなれるし、クエストを完遂して報酬金が貰える! それに異世界の事も詳しく知る事も出来るからまさに一石二鳥ならぬ一石三鳥だな。さて、ギルドが何処にあるかは人に聞けばいいかな。……まさかとは思うけど冒険者ギルドが無いって事はないよね?
「お客様! 武器の取り扱いは、この店で決まり! 自由の矛にお任せ下さい! 今なら、特別に割引するよ!」
おぉ! 武器屋の看板娘が武器屋の宣伝をしている! これが前に居た世界と異世界の違いかぁ。前の世界でやったら確実に捕まるよな。けれど、今からギルド登録をするにしても丸腰は心許無いな……。丁度いいや。この店で情報と武器を見繕っていくか。
「客寄せ中にちょっといいかな。新しく武器を買いたいんだけど?」
「ほ、本当ですか! ありがとうございます! 開店初日で初のお客様になってくれて感謝ですよ!」
う~ん、となると品揃えはあまり期待は出来ないって事か。はっきり断言は出来ないけど、百聞は一見にしかず、見れば判る事か。
「さぁ、どうぞ、どうぞ! お好きな武器を選んでください!」
「それじゃあ、失礼しま…………おぉ!」
自由の矛の店内に入ればなかなかの品揃えがあるな。壁掛けの所には、ショートタガー、片手剣、大剣、斧、小盾、盾、そして杖なんておいてある。自由の矛か、見た感じじゃ、まだ奥床があるような気がしたんだけど、まさか鍛冶屋も営んでるのか?
「どうでしょうかお客様。お目当ての物はありましたか?」
「そうだな……。このショートタガーと、動きやすい装備はある?」
「申し訳ありませんお客様。ショートタガーはすぐに用意は出来ますが、身を守る装備になるとあそこにある物しか……」
看板娘が手を向けた方に見ると店の片隅にコート二着、ローブ三着などの服が飾ってあった。コートも気にはなるが、ローブの方も気になる。どっちも正直に言って悪くない。けどやっぱり異世界に来て初の装備品になるんだ。ちょっと見た目を重視にしたい! ロープの一着に黒を特徴とした服で黒いマント付きがある。よし、これにしよう。
「それじゃ、……このローブを一着追加で」
「は、はい! ありがとうございまひゅ!」
あ、噛んだ……。あぁあぁ、顔が真っ赤になったな。まぁ、初めて建てたお店で初めての客で初めての売り上げになるんだ。そうなっても仕方がない……のか? このままじゃ話が進みそうもないから俺の方から促すか。
「ショートタガーとこのローブ全部で幾らなんだ?」
「は、はい! えっと……銀貨六枚と鉄貨五枚です!」
「あぁ~、非常に申し訳無いんだけど、 俺、遠くの国から来てこの国と違う金を使ってたから金の数え方が分からなくて出来れば教えて欲しいんだけど……」
「は、はい。それならえっと、お金の単位は……」
看板娘さんの話だと、前の世界の十円単位が石貨、百円単位が銅貨、千円単位が鉄貨、万円単位が銀貨、億円単位が金貨、その上に大金貨、白金貨、黒金貨があるけど普通に暮らすのなら手にする機会が無い物なので気にする程じゃないって事は分かった。そして今、俺の手持ち金額はざっと見て金貨十枚、銀貨十枚だから、日本円で十億、十万円がある事になるな。
「なるほど。ならこの銀貨七枚でお願いするよ。それともう一つ教えて貰いたいんだけど、この国にギルドってあるかな? あるのならその場所を教えて欲しいんだけど?」
「はい、それならこの店から左に行って次の曲がり角で右に曲がってそのまま歩いて行けば看板にも名前があるから分かると思います……」
「そうか……。教えてくれてありがとう。本当に色々と助かる」
看板娘さんにお礼を言ったら顔を朱に染めて顔をそらされてしまった。急に顔を赤くして如何したんだ? 体調でも悪いのか?
「い、いえ、これくらいは……。あっ! す、すみません。えっとこのショートタガー、ローブとそしてお釣りです」
「ありがとう。武器で困った時にまた来るよ」
「はい、またのご利用お持ちしております!」
さて、さっきの自由の矛で身の装備を整えたし次は、教えて貰った冒険者ギルドの所に行ってできれば今日中に冒険者登録してもらおう。そして歩く事、数分間歩いて一回り大きな建物が見えた。今、目の前にある建物は、三階建てで結構大きく出入り口の上にギルドの名が入った看板が付いていた。冒険者ギルド、【最果ての地】って名前なのか……。さて、早く中に入って受付でギルドカードを発行して貰おう。正門からギルドに入った。初めてのギルド、いったい中はどのような光景になっているのか楽しみだ。ギルドの中は外から見て結構広い事は分かっていたけど、入ってみて思う事はやっぱり予想違わず昼間から酒を飲む集団、ガラの悪そうな人達も居て入って来た俺を見ていた。けどすぐに興味を無くして仲の良い仲間とまた雑談してる。おっと、俺も早く用事を済ませてクエストを受けよう。えぇ~と、受付場は……あそこか。
「あの~、すみません。冒険者登録したいのですが?」
「はい、冒険者登録ですね。それではこちらの紙に記入してください。文字が書けないと言うなら代筆いたしますがどうしますか?」
「いや、大丈夫だよ」
こういう受付は、やっぱり美人な受付嬢だよね。金色の髪が腰まで伸びてる長髪、そして目元は柔らかく、口も小さい。そんな受付嬢から紙をもらいよく読みながら書いていくと、書く所に出身地も書く所があったけど流石に異世界と書ける訳が無いから無記入にしておこう。
「書き終わりました。これでいいですか?」
「はい。それでは拝啓させて貰います。……はい。確認しました。それでは、今からギルドカードを渡しますので血の一滴と魔力を注いで下さい」
……は? い、いや、ちょっと待て。ギルドカードを作るのに必要になるのか! だ、大丈夫だよな? いくら文字化けしてるからって魔力がないって訳じゃねぇよな? 少しぐらいなら絶対にあるはずだ! と、とにかく渡された針で指を刺して次が魔力かぁ……。できるかな?
「えっと……こうですか?」
「はい。そのギルドカードに名前が出れば登録完了です」
ソラ・クウサキ
ランク:G
種族:’(UG%>?`{ LV:1
HP:%TH#%$?
MP:?*+{$%&&RC=+*
ATK:#$A#(ORU
DEF:F*V`B&’
AGI:!”#$*+>GJ
HIT:#$%$*~=
INT:”#$*+P`=)
MND:%&’(*P~
属性魔法
??????
スキル
<*`+?>{!”#’&%
称号
巻き込まれた者、異世界人
おぉ、確かに名前と一緒に俺のステータスが出て来たぞ! これは便利だなぁ。やっぱり冒険者登録しておいて正解だったな。
「はい、出来ました。……にしてもすごいね。このギルドカード」
「自分の名前が表示できたのですね。ならこのギルドカード、冒険者ギルド、ランクについてご説明いたしますが……お聞きになりますか?」
「はい。お願いします」
「分かりました。コホン、えぇ~それでは、まず最初に冒険者ギルドの主な活動について説明します。まず冒険者は、掲示板にランク付けで張られてある依頼表の内容を見てそのクエストを受けるか受けないかを決められます。採取、討伐、護衛、調査等がありますが、護衛、調査は、Cランクからになります。最初の新人の方は、Eランクの依頼から選んでこの受付場まで持って来て下さい」
確かに、掲示板のある所には、紙が至る所に貼ってあるな。その場から自分が受けたい依頼の紙を持ってくればいいって訳か。
「そして次は、ランクの説明になります。これは、冒険者が依頼を達成するに連れて一つ上のランクに上がる事が出来ます。ただし、ラングが上がるにつれて依頼内容が難しくなって行きます。ランクは、G、E、D、C、B、A、S、SS、SSSとランクが上がって行きます」
つまり、ランクが上になればなる程に自分の力が認められてるって事になるんだな。そうだな……。俺は、そこまでランクを上げようとは思えないし、ランク一気上げはちょっとしてみたいとは思うけどそれをしたら歯止めが利かなくなりそうだしそうならないように気を付けよう。
「そして最後にギルドカードの説明になりますが、これは、ギルドカードの破壊、紛失になった場合、再発行する事は出来ますが、その時には、お金がかかる事になるので無くさない様に気を付けてください」
つまりこのギルドカードを無くさなければいいって事だな。
「ありがとう。大体の事は分かったよ。それじゃあ、早速クエストを選んでくる」
さて、俺の初、依頼クエストは何にしようかな? 今は、そんなに混んでないからゆっくり選べる事が出来るな。えっと、何があるんだ?
ランク:E
薬草を一束:銅貨1枚
ランク:E
ファイアロウの森でゴブリン・スライム討伐:十体で鉄貨1枚
う~ん、大体比較的で安全なのが薬草のクエストだな。もしレベル上げを考えると討伐クエストを受けるのが合理的だな。う~ん……。よし、これにしよう。
「すいません。早速このクエストを受けます」
俺が受ける依頼は、採取クエスト。初クエストでいきなり魔物討伐はさすがにリスクが高すぎる。
「はい、承りました。所で薬草がどんな特徴があるのかご存知でしょうか?」
「いや、分からないよ」
「分かりました。それならこの植物図鑑に載っております。持って行くのなら汚さない様丁重に扱って下さい」
「はい、気を付けます。後それともう一つあるんだけど薬草が多く取れる場所って何処かな?」
「ここからは、南門の近くにファイアロウの森があります。森の中に大量にある筈です」
「ありがとう。それじゃ行ってきます」
出かける前に薬草がある場所を聞いてきた。討伐系のクエストで書いてあった森の中が豊富にある。余り奥に行かなくても取れる。さて、初クエストだ。絶対に成し遂げたい!
~ファイアロウの森~
王国の南門から近い森が薬草が豊富にあると教えてもらい討伐クエストの場所でもあった。それも図鑑もある為、森の中に入った後にすぐ見つける事が出来た。薬草が豊富にあるとは聞いてたけど、木の根元や雑草の中に紛れ込んでる。
「やっぱり薬草採取は、簡単ですぐに終わりそうだな」
薬草は結構集めたけど、自分の為にも少しは持っておきたい。何度も言うがゲームのような現実なんだ。クエストと自分用の袋に分ければいいかな? でもそうなると今手持ちの薬草が足りるか不安だな。……もう少し集めておくか。
「う~ん、もう少し集めて……っ!」
おいおい、まだ魔物と戦う覚悟が無いから採取クエストにしたって言うのに……。
「いきなり魔物かよ。しかも2匹同時ですか……」
草陰から音がしてその方に見てみるとゴブリンと頭の上に乗ってるスライムかよ。二匹共、お友達ですか? だけど群れを引き連れて来てないという事が唯一の救いだな。初戦闘は出来れば一体ずつ倒したかったな。
「うおっ! あっぶねぇな!」
ゴブリンの頭の上に乗りながら出てきたスライムが下りてへこんだ後は、俺に向かって速い体当たりをして来たけどそれを何とか避けた。そして避けた俺をゴブリンが追撃してきた。手に持ってる棍棒で叩きに来てきたけどすぐに懐からショートタガーを抜いて受け止めた。
「重っ!」
とにかく何とかして受け止めたショートタガーで押し返し横に飛んで距離を取る。その後に俺が居た場所に何かの物体が通り過ぎたが、スライムがまた体当たりをしてきたようだ。そして俺が避けた事でゴブリンに当たって倒れてくれた。
「そこだっ!」
倒れたゴブリンに近づき首元を刺してまたスライムが体当たりをする前に刺したショートタガーを抜いてそのままスライムを切り込んで倒した。
「はぁ、はぁ、はあぁ~、疲れたぁ~。少し休みたい」
ん? 何だ? 頭の中で力が抜けるような音が聞こえた。もしかして今の戦闘でレベルが上がったのか? あのステータスがどう変わるのか分からないけど一応確認しないと。……うん?
「おいおい……、今の戦闘に気づいて集まって来たのか」
流石異世界だ。初戦闘後の連戦とか辛すぎる。だけど、しばらくはこの異世界で生き延びるためには弱音を吐く前に生きる努力をしないと!
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、かはぁぁ~」
ふぅ、一息ついた。周りは、……誰も居ないな。それにしても何とかさっきの群れを倒したけど……。
「もう……無理……。採取クエストの筈なのに何でこんなに疲れてるんだろ俺……」
木の上で何とか休憩は出来たけど、結構奥に入ってきちまったな。囲まれた時は、如何にか抜け出して走り出した俺を追ってくる先頭の群れの魔物と戦ってまた囲まれそうになれば逃げる。そしてまた先頭の魔物と戦っては、また逃げる。その繰り返しで群れが減って後は、その場で戦い何とか勝てた。
「これでようやく休める。今の内にステータスを確認しないと」
でも俺のステータス文字化けだらけでもう見れるようになったのか? まぁ、見なきゃ判らないか。ステータス!
ソラ・クウサキ
種族:’(UG%>?`{ LV:5
HP:%TH#%$?
MP:?*+{$%&&RC=+*
ATK:#$A#(ORU
DEF:F*V`B&’
AGI:!”#$*+>GJ
HIT:#$%$*~=
INT:”#$*+P`=)
MND:%&’(*P~
属性魔法
?重力空?魔法
スキル
完`+?>{!”対#’&%
称号
巻き込まれた者、異世界人
何だ? 属性魔法の所に不明表示が少し残ったけど、表示されるようになれたのか。
「読んで分かる所はあるけど、この空の後は一体なんだ?」
属性魔法もそうだけどスキルの所も読める文字は出て来たけど、まだ文字化けが酷い。二文字が読める様になっただけだ。一体どんなスキルなのか予想が出来ないな。
「一体どういう理由で読めるようになるんだ? 何か必要条件を満たす必要があるのか?」
う~ん、分からない。まだ調べるには、時間が必要だな。さて、今はもう調べる所はな……。
「いやぁぁぁあああぁぁぁあああ!」
悲鳴! 一体何処から……向こうの方か!