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私の王子様。  作者: 野うさぎ
4/4

夜会にて

レティシア視点です。

「叔父さま、アンリ殿下から直々にご招待をいただいたわ」


ジェイクから受け取った封書にはアンリ殿下の封蝋が押され上質の便箋に

”是非、ボーモント伯爵代理 エドワード殿もご一緒に”と書き添えてあった。

レティシアは招待状を胸に抱きバラ色に頬を染めた。


「叔父さま、私をエスコートしていただけるんでしょう?」


年頃の淑女らしくパーティーはどんな感じなのかとか

ミカモ王女殿下はどんな方なのかと思考を巡らせた。

意匠に翡翠色の大人びたシンプルなドレスをオーダーした。


叔父さまの瞳にはどんな風に映るのかしら??

一人で頬を染め、その日が来る日を指折りに待ち続けた。

「こんなに楽しみな夜会は初めてだわ。」とレティーは一人つぶやいた。


そして1ヶ月後

王宮ではアンリ殿下主催のミカモ王女歓迎パーティーが催された。


会場にはミカモ王女の年頃に近い貴族の令息、令嬢が集まっていた。

それぞれにパートナーを伴っている中、レティシアが連れているエドワードはご令嬢の注目の的だった。

なぜならオーリング男爵家の次男だが実質は王弟の息子、エルメンタル公爵家の出自であり

薄い金の髪と王家特有の翡翠の瞳は男女問わず目を奪われてしまう。

レティシアは自身の事よりもこの魅力的な叔父が注目の的というだけで大変満足した。


ほどなくして、楽隊のファンファーレと共に

アンリ殿下と来賓であるミカモ王女が入っていらした。

艶やかな闇色の黒髪と見る者の目をそらす事が出来ない藍色の瞳

その肌は陶磁器のようにすべらかで白く魅惑的な赤い唇が対照的な人だった。

深紅のドレスは何故か派手さが無く人形のように美しい彼女にピッタリだった。


エドワードは「挨拶に行こう」とレティシアの手をそっと握りふわりと笑みを浮かべた。

アンリ殿下の元へと歩を進めていく。アンリ殿下が叔父さまを見つけた一瞬、安堵のため息を小さく漏らす。

叔父の話によると「アンリ殿下はミカモ王女が苦手らしい、これは秘密だよ。」とレティシアにこっそりと耳打ちをしたのは先ほどの事だ。


「ボーモント伯爵代理エドワードとレティシア嬢だ。」


近くで見るとこの国の人々とは違う美しさと只人では近づけないオーラを持たれている。

思わず見とれてしまい目上に対する礼をとるようにエドワードにつつかれた。

真っ赤に頬を染めてあわてて腰を低く頭を下げエレガントに裾を広げた。


「お初にお目にかかります。ボーモント伯爵家息女 レティシア・ボーモント にございます。

 以後、お見知りお気下さいませ。」

「そのように堅苦しく無くともよろしくてよ、レティシア嬢。今夜は楽しんで。」


艶やかに微笑まれたミカモ王女はまるで大輪のバラのように美しい。


「王女殿下は深紅のバラのようにお美しいですね。」


ミカモ王女がエドワードに視線を向けると恭しく礼をとった。


「遅ればせながら、私はボーモント伯爵代理エドワードと申します。

 このレティシアとは縁戚でして・・本人が領地を治めるまでの間は後見人でございます。

 オーリング男爵家の末席に名を連ねておりますが、オーリング商会と申しますとご存知ではございませんか?」

「貴殿が次男のエドワード殿でしたか、 

 オーリング商会と言えばこの大陸広しと言えど知らぬ者などいないのではなくて?」

「ミカモ王女殿下にお見知りおきいただき光栄でございます。」


和やかな歓談の後、頃合いを見計らい王女殿下の元を辞した。

勿論アンリ殿下はそのままに・・。


「せっかくレティーがパーティーに参加をしたのだから、楽しまないとね。」


ワルツが始まり、それはごく自然にエドワードがレティーの手を引いていく当たり前のように


「僕の小さなお姫様は一緒にワルツを踊ってくれるよね。」

「ええ、勿論ですわ。」


レティシアにとっては今夜は楽しみにしていた通りの夢のような夜会

このまま・・ずっとこの時が永遠に続けば良いのに。

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