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私の王子様。  作者: 野うさぎ
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エドワード 2

叔父エドワード視点です

「義姉さん、賭けはあなたの勝ちのようだ。」


レティシアが退室して、叔父のエドワードは苦笑しながらつぶやいた

手紙をしたためて執事のジェイクを呼び出し

ブレイソン伯爵に届けるように指示をする


山のように積み上げられている仕事量にうなりながら再び執務へととりかかった

ペンを滑らせながら懐かしい義姉が亡くなる前に言っていた言葉を思い出す


「レティーが大人になった時、惹かれ合っていなければ婚約は解消させるつもりよ」


両家の婚約はレティシアが8歳の時に成立した

義姉の実家に対する小さな抵抗みたいなものだ


「ジャンが言うのよ、私達の娘は政略に使わせないってね。」


義姉の生家であるオーリング男爵家はオーリング商会を経営している実業家だ

レティシア生家であるボーモント伯爵家は代々中央王国街道の関所を管理している地方貴族で、領地はさほど広くは無いが商会の貿易で中央ルートを通るには重要な関所である

たまたま義姉がボーモント伯爵と恋仲になった為、義父に許された婚姻だった

勿論、結婚の許しを得る為に商会の通行料金は無料という協定を結んだ


そして、私は北の海の玄関口、貿易港があるスカンジ伯爵領の娘が私の母だ

母は中央に近いエルメンタル公爵家の公爵夫人の侍女として出仕をしていたが

ある日公爵の目にとまり、愛妾として側に置かれていた

しかし正妻のいじめに耐えかね離縁をし実家に身を寄せていたところを義父に娶られた

冬は氷に閉ざされてしまう港でも義父にとっては海の航路と高貴な血はよほど魅力的だったようだ

私達がオーリング男爵家の一員となってからは義兄との折り合いがことのほか悪かった

どうやら私の持っている血筋にコンプレックスを持っていると噂好きの侍女が話していた


公爵の持つ翡翠の瞳と母から譲り受けた薄い金の髪

北に住む者ならば誰もが持っている抜けるような白い肌

私から言わせればこんなものは皮を剥いでしまえば誰とも変わらない

末席に名を連ねているが信じていたのは母と義姉

義父は政略、義兄は嫉妬、おそらく一生交わる考えは無いと思う


それでも義父は私に教育を施し商会の仕事を教え

学が秀でていると認めれば家庭教師を付け王宮の文官まで押し上げてくれた

それについては大変感謝をしている


「少し時間をかけすぎたようだ」


思考を止め、この山のような書類を処理しなければならない

王都にほど近い邸にいながら領主の執務をしているのは

表向き文官として出仕しているから

エドワードは未だに現役の文官であり、特命を受けている

明日は月に1度登城する日であり、今日中に終わらせないと行く事は出来ないだろう


部屋にはペンを綴る音が静かに聞こえていた





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