レイジーの騎士生活 団長と二人っきりです。牢屋の中ですが・・・
戦闘シーン難しくてサラッと流しちゃいました。誤字脱字誤用&ご意見ご要望は感想で下さい。
ポタッポタッと染み出た水が水滴となって石牢に音を響かせる。今俺は四肢を鎖でつながれている。団長も同様だ。別に犯罪を犯したわけではない。戦争の最中、見方の裏切りで捕まったのだ。
敵はどうやら団長を取り込みたいようで殺さずに敵国まで連れてきている。因みに俺は人質だそうだ。
殺されない代わりに延々と暴力にさらされる。しかしそれは俺でなく団長に向かう。人質を攻撃したら面倒だからだろう。
何も出来ない俺の隣で団長のうめき声が聞こえる。自分のふがいなさに嫌気がさす。夜だ。夜まで我慢すれば、何とかなる。必ず団長を助けなきゃ
石牢に入り込む光が少なくなり人の声が聞こえなくなってきた。
2つめのチート『構造看破』を使う。これは10メートル内にある全ての物の構造が見える。その副次作用として弱点や隙が光って見えるのだ。
「団長脱出しましょう」
「ふふ、ここは石牢なのだが」
冗談に取られたようだ。か細い光に照らされる団長の顔は血に濡れていても相変わらずの美貌だ。
「大丈夫ですよこの程度」
四肢をつないでいる鎖を見て、右手の方が弱っていたのが分かったので、適度に力を入れてぶっ壊す。今度は右手の鎖で左手両足の鎖も壊す
「さぁ出ますよ」
団長は惚けているようだ。当然と言っちゃぁ当然だな。俺のより二回り太い団長の鎖も壊す。団長の体を観察する。鎧はとっくに取られているので薄着だ。『構造看破』で怪我しているところを見つける。
骨折8、内出血3、剣による傷5。かなりの重傷だ。早くで治療しなければ。
石牢の壁の一点に両手の鎖を思いっきりぶつける。13回くらいしたとき崩れた。
「行きますよ」
背負うのは団長の体に負担がかかるので俗に言う“お姫様だっこ”をする。
「ひきゃぁ」
「どうしました?」
「い、いや、なんでもない。続けてくれ」
夜風で冷えた体が団長の熱を意識する。
『構造看破』を常時発動して敵に見つからないように敵の城から抜け出し後ろの森に隠れる。ちょうどいい洞窟を見つけたので団長を寝かせる。
「ちょっと待っていてくださいね」
外に出てから洞窟の入口を壊す。きちんと空気の通り口も作る。さぁ復讐の時間だ。
このまま帰ったんじゃ団長は敵前逃亡の上に自業自得の怪我を負ったとしかみられないだろう。裏切り者もいるようだし。だったら、王の首ぐらい持って行ってやろうじゃないか。
もう一度忍び込み城の構造上弱いところを壊しつつ上へ急ぐ。大きな音を立てているので何人かの兵士に見つかるが文字通り鎖で瞬殺する。
どうやら敵国は騎士を出動させていなかったみたいだ。よかった。予想よりも多くお礼参りが出来そうだ。
23人ほど兵士を殺したあたりで殺さずに聞けばいいじゃないかと言うことに気付き半殺しにして王の寝室を訪ねる。生憎、正直に答えてくれた。残念だ。
一際豪華な扉を持つ一室にたどり着いた。彼の兵士曰くここが寝室らしい。扉を開けるなんて事はしない。鎖をたたきつけてぶっ壊す。
部屋の中から突き出された槍の軌道が当然のように見える。これが3つめのチート『軌道予知』。単純に向かってくる攻撃の軌道が分かると言う物だ。一応、いくつかの制限があるが割愛する。
槍に鎖を巻き付け敵を槍ごと引きつけ頸椎をおる。武装者、非武装者含め23名を危なげなく殺す。敵国の騎士団長は強かったけど攻撃の軌道が分かる俺にはそこら辺の騎士と大差ない。
王と騎士団長、副団長の首を落として(使ったのは騎士団長の持っていた剣)、城を後にする。城を破壊してきたのはご愛敬だ。
「すみません、お待たせしました」
「いや大丈夫だ。ところで何をしてきたんだ?」
「馬を調達してきました。包帯も持ってきたので応急処置だけします」
嘘は言っていない。その他はついでだついで。
「怪我でスピードが出せないので1週間かけて国に帰る予定です」
「分かった」
団長に拝借してきた(盗んだのではない返す予定がないだけ)ローブで包み馬に乗せる。落ちないように俺の体を使って支える。
「すまない」
「全然大丈夫ですよ」
団長の頬や鼻の頭が赤くなっている。寒いのだろう。おそらく今は10度を下回っているはずだ。俺のローブもかぶらせ、首を入れた袋を馬の後ろにくくりつけて国へ向けて出発した。