表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蒼竜世界の勇者 -鍛冶屋が勇者になる物語-  作者: mao
第四章~忌まわしき呪い編~
133/414

第十八話・巫女出撃


 未だ距離はあれど、空を埋め尽くすグレムリンの大群に住民達は悲鳴を上げた。

 黒の大群が絶望を引き連れてやって来る。それは戦う力を持っている者であれ、戦意を喪失してしまうような光景。戦えない者にとっては絶望としか言えないような状況であった。その数があまりにも多過ぎる上に、魔物よりも遥かに凶悪な力を持っている魔族と言う存在だからこその絶望だ。

 シルヴァは窓辺へ駆け寄り、冷えた硝子に片手を添えながらその光景を凝視する。そして傍らのメンフィスに視線を向けた。


「……メンフィス様」

「…………」


 しかし、幾らメンフィスと言えど、その光景に対し即座に何らかの指示を出せるものではない。

 相手は無数の魔族――兵や騎士が残ってはいても、あの数を相手に戦うなど自殺行為だ。かと言って傍観していても殺されるのは目に見えて明らか。メンフィスは奥歯を噛み締めて、固く拳を握り締める。

 ジュードは此方に迫ってくる黒の大群を見据えて表情を顰めると、次いだ瞬間に弾かれたように窓から顔を背け、謁見の間の出入り口へ向けて駆け出した。

 だが、その道すがら、ウィルは彼の片腕を掴んで制す。


「ジュード! お前、どこに行く気だ!」

「どこ、って――!」


 メンフィスは突如駆け出したジュードに対し、急くようにその後を追う。ウィルが咄嗟に止めてくれたから良いものの、彼の考えは既にメンフィスとて理解している。

 魔族が求めているのは、他でもないジュード自身だ。自分が出て行けば魔族は撤退する、そう思ったのだろう。

 ――つまり、自らを魔族に差し出そうというのだ。

 当然そのような自己犠牲をウィル達が許せる筈もない。ジュードの片腕を掴んだまま、ウィルは隠すこともせずに怒りの形相でジュードを睨み降ろしていた。

 少年の手の中にいたライオットも無理矢理にその中から抜け出ると、ちびと共に彼らの傍らへと駆け寄る。


「マスター、そんなこと考えたらダメだに……」

「あいつらの目的はオレなんだろ! なら、オレが出て行けばガルディオンは助かるじゃないか!」


 ジュードがそう声を張り上げると、周囲にいた住民達のどよめきは一段と深くなった。

 ウィルは拳を握り締め、悔しそうに奥歯を噛み締める。メンフィスは二人を制すように両者の肩に手を置いて引き剥がした。止めねば殴り合いに発展しかねないと判断してのことだ。

 だが、住民達は我先にと声を上げ始める。


「どういうこと? じゃあ魔族は、あなたを探してここまで来たということ?」

「なら、お前が出て行けばいいんじゃないか!」

「さっきの魔物の襲撃だって、お前がここにいるからなんだろ!」


 再び上がった住民達の声に、マナやカミラは彼らを見回す。今回ばかりは先程の比ではない。宥めようにもその勢いは衰えることを知らず、次々に心ない言葉が――ここから出て行け、と罵倒する声が上がる。

 玉座から立ち上がったままの女王は暫しその光景に呆気に取られたように呆然としていたが、程なくしてゆっくりと玉座手前の数段を降り、そちらに足を向かわせた。

 それに気付いたシルヴァはその傍らに寄り添い、ジュードやウィルをしっかりと見つめる。一体どういうことなのか、そう問いたそうな表情を滲ませながら。


「どういうことなのだ、魔族共の狙いは……ジュード、そなただと言うのか?」

「陛下、それは……」


 ふと辺りに響く女王の声に、それまで声を上げていた住民達も一斉に口を噤む。状況が状況とは言え、流石に女王の言葉を遮る訳にはいかないと言うことだろう。

 メンフィスはなんとか取り繕おうとはするのだが、言葉もなく女王の一瞥を受け、渋々と言った様子で噤む。「黙っていろ」との意味がその一瞥に込められているとは容易に理解が出来る。

 ジュードとウィルは静かに女王に眼を向け、軽く頭を垂れた。マナやリンファ、ルルーナはそんな彼らの傍らに駆け寄ると、複雑な表情で女王を見つめた。まるで縋るように。


「……はい。……そうです」

「なんと……一体どういうことだ、何故奴らはそなたを狙う?」

「それは……」


 女王のその言葉は尤もである。幾ら魔族を撃退したことのある身と言えど、女王をはじめ周囲の者達から見ればジュードは至って普通の子供で、人間だ。

 そのただの人間を、何故魔族が狙い求めると言うのか。

 ジュードは一度こそ口を開こうとはしたのだが、その視線は横目に窓へと向く。説明はしたいが、それでも今はのんびり出来る時間がない。こうしている間にも魔族は迫ってきているのだから。

 ウィルはそんなジュードを一瞥すると、僅かばかりの逡巡の後に幾分早口に言葉を連ねた。


「ジュードは、精霊と心を通わせる特殊な一族の血を引いています。魔族はその血を、精霊を使役することの出来る血を……狙ってるんです」

「そうです! 魔族はその血を手に入れて、精霊の力を自分達のものにしようとしてるんです!」

「もし魔族が精霊を使役する力を手に入れたら、この世界は終わりですよ。エンプレスだけの問題じゃない、この世界の人間達は確実に魔族に殺されます。――アンタ達、本当にそれでもいいの!?」


 ウィルの言葉を皮切りに、マナは慌ててその後に続く。そしてそんなマナの後にルルーナは早口に言葉を連ねると、後半は周囲でどよめく住民達へ向けて怒声のように声を張り上げた。

 ルルーナのその言葉に、周囲でざわざわと声を洩らしていた住民達は恐怖を露にしながら次々に声を上げ始めた。既に完全に錯乱している。


「じゃ、じゃあ、どうしろって言うんだ!」

「そうよ、あれだけの数を相手に勝てるっていうの!?」

「もうこの国は終わりなんだ!」


 だが、そんな住民達を見てもルルーナは小さく舌を打つのみで、取り立てて動揺はしなかった。代わりに拳をしっかり握り締めると、ヒールの音を響かせながら足早にローザの元へと歩み寄る。

 依然として床に座り込んだままだったローザは、怪訝そうな面持ちでルルーナを見上げ、軽く眉を寄せた。

 そこで、女王は小さく声を洩らした。思い出したのである――姫巫女の存在を。


「アンタ、巫女様なんでしょ? だったら魔族の群れをなんとかしなさいよ」

「な……なんで、そんなこと命令されなきゃいけないの?」

「この状況じゃアンタだって逃げられないでしょ? 何もしないってんならアンタもここで終わりよ。魔族をなんとかするのと、ここで死ぬの、どっちが良いワケ?」


 ルルーナはローザの正面に片膝をついて屈むと、真っ直ぐに彼女を睨み付けながらその胸倉を掴み上げた。ルルーナは元々の顔の造作が整っている為か、本気で睨み付けると半端ではない迫力がある。

 そこで今度はその場に居合わせる面々の意識が一斉にローザへと向いた。

 姫巫女は、魔族に対抗する力を持った存在だ。今の状況を打破出来るのは巫女しかいない。ルルーナの言葉は尤もなものである。

 あれだけの数の魔族を相手に戦うのは自殺行為、かと言ってジュードを引き渡せば世界そのものが危機に晒される可能性が高い。そうなれば、もう火の国の問題だけではない。

 ならば、破邪の力を以てこの状況を打破するのが最適と言える。民は彼女達の元へ我先にと駆け寄り、矢継ぎ早に言葉を投げ掛けた。


「あんた、巫女様なんだろ!? なら、あの魔族共をなんとかしてくれよ!」

「巫女様って言うのはこんな時にいるものなんじゃないのかい!?」


 こうしている間にも、魔族達はこの王城目掛けて飛来してきている。この時間さえ本来ならば惜しい。

 女王は再び足を進めると、ローザの傍らで足を止める。これまで何度も彼女に協力を要請はしたが、それは一度たりとも受け入れられることはなかった。

 だが、この状況であれば断る、受け入れるの問題ではない。ここで協力しなければ彼女もろとも、全員この場で死ぬしかないのだ。


「巫女よ、私からも頼む。今この場に迫っている危機を祓ってもらえぬか。褒美ならば望むままのものを用意させよう」


 その場に跪き、ローザへ頭を下げた女王にメンフィスやシルヴァは慌てて駆け寄る。一国の王たる彼女が頭を下げたのだ、仕える者としては静観など出来る筈もない。

 自分に対して頭を下げる女王を見遣りローザは猫眼を細めてルルーナの手を叩き払うと、座していたそこから立ち上がった。

 協力してくれるのだ、なんとかしてくれるのだ。誰もがそう思い、彼女に希望に満ちた眼差しを向けた。

 しかし、その希望は瞬く間に砕かれることとなる。


「――はっ、なによ。そうやってアンタ達は助けてもらう、守ってもらうことしか考えられないのね。嫌よ、自分でなんとかしたら?」


 ローザは立ち上がるなり、緩やかに肩を疎ませて自分の周囲に集まる面子へと視線を向け、そう吐き捨てたのだ。

 そうして呆気に取られている面々に一瞥を向けてから両手を肩ほどの高さまで引き上げると、軽くその手を揺らしながら足先はジュードの元へと向ける。

 その中途で意識を引き戻したシルヴァは、そのあまりの態度に嫌悪と憤りを露に彼女の背を睨み付けた。自らの主である女王が頭を下げたと言うのにこの態度、この反応。騎士として決して許せることではなかったのだ。


「貴様ッ! なんという無礼か!」

「無礼? 無礼なのはアンタの方でしょ? アタシは巫女なのよ、その巫女に対してよくもそんな口が利けるわね!」

「巫女様。この状況で、そのようなことを言っている場合なのですか? 魔族はもうすぐそこまで……」

「なら、ジュードが出て行けばいいでしょ! それで魔族が撤退したら今後の対策を練ればいいのよ。大体ジュードを捕まえたからって、精霊が魔族の味方になるとは思えないけど!」


 迫り来る魔族の群れに、普段は無表情のリンファも幾分焦りを滲ませながら彼女に言葉を向けるが、それでもローザは間髪入れずに淡々と返答を連ねた。

 確かに魔族がジュードを捕らえたとしても、本当にその力を手に入れられるかどうかは定かではない。だが、ウィル達はヴィネア、アグレアス両名と遭遇した際にその話を聞いている。

 ――サタンは喰らった者の力を、我が物に出来るのだと。

 マナは口唇を噛み締めると込み上げる怒りそのままに、こちらに歩み寄るローザを睨み付ける。拳など、怒りでわなわなと震えてしまっていた。押し堪えなければ彼女に殴り掛かってしまいそうなほどに。


「巫女だって言うなら、ちゃんとやることやりなさいよ!」


 マナが張り上げた怒声に触発されたように、住民達も声を上げてローザへ罵詈雑言を浴びせ始めた。それでも巫女か、人でなし、などなど様々である。

 女王に頭を下げさせて尚、協力を拒む姿に住民達の怒りは爆発だ。先程ある程度場を和ませてくれた少年でさえ、彼女のその態度に怒声を上げていた。

 皆、誰もが握り締めた拳を振り上げてそれぞれに言葉を上げる。ルルーナは床に屈んだまま眉を寄せ、細めた双眸で軽蔑するようにローザを睨み付けていた。何処までも冷たい眼差しを以て。

 それはリンファも同様だ。表情にはありありと嫌悪感を滲ませ、同じようにローザを睨む。ウィル自身もジュードを差し出せと、そう迷いなく告げた彼女に嫌悪を抱き、込み上げる怒りを必死に押し殺していた。

 そして、ジュード自身も。視線を下げて、指先が白くなるほど固く拳を握り締める。

 ――やはり自分が出て行くのが一番良いのか。そうすれば、一時的にでも魔族は撤退するのか。

 しかし、そこまで考えた時。

 ふと、固く握り締めた手に温もりを感じた。

 なんだと見てみれば、手が重ねられている。ジュードは反射的にそちらに視線を向けて、翡翠色の双眸を丸くさせた。

 そこには、カミラがいた。彼女にしては珍しく無表情でジュードが握り締めた拳に両手を添え、労わるように手の平でやんわりと撫で付ける。


「カミラ……さん?」

「……ローザさんは、ちゃんとこの状況をなんとかしたいって、思ってるよ」

「え?」


 なんだろう、とジュードは状況に不似合いながら双眸を丸くさせて彼女の好きにさせるが、自然と拳からは力が抜けた。握り締めた拳を解き、その反応を窺う。

 しかし、彼女が洩らした言葉はその場を鎮めるには充分過ぎた。一体、どう解釈すればそのような考えに行き着くのか、と。今度は周囲の視線が一斉にカミラへと向いた。


「でも、それが出来ないから強がるしかないの」

「はあ!? 何勝手なこと言ってるわけ!?」


 淡々と紡がれていくカミラの言葉に、当然声を荒げるのはローザ本人だ。大股でカミラに歩み寄るとその肩を鷲掴みにする。

 するとカミラは視線のみでローザを見遣り、淡々とした口調で言葉を連ねた。


「巫女だってちやほやされるのは気持ちよかった? 色々な人を騙して、持て囃されて幸せだった?」

「な……っ!」

「今までどれだけの人を騙してきたの? それであなたの心は満たされたの?」

「何を勝手なことを言うの!? アタシは――!」


 だが、カミラはそんな彼女を冷ややかな視線で見遣った後にジュードを見上げた。真っ直ぐに、何処までも真剣な様子で。


「わたし、神護(かご)の森でジュードと約束した。あなたを守るって、絶対に魔族に渡したりしないって」


 瑠璃色の双眸が真っ直ぐに見つめてくる様子に、ジュードは数度瞬きを繰り返して彼女を見つめ返す。約束は確かにした。水の国から戻ってきて直ぐ、ジュードの家に寄った時だ。

 カミラはしっかりとジュードの手を両手で包み込みながら、今にも泣き出しそうに表情を歪ませて、改めて言葉を連ねた。


「約束も、ジュードのことも、ちゃんと……ちゃんと守るから。だから、自分を犠牲にすることなんて……考えないで」

「……カミラさん」


 泣きそうな顔で懇願するように告げられて、ジュードに断れる筈がない。困ったように眉尻を下げて静かに視線を下げた。

 では、どうしろと言うのか。ジュードがそう考えた時、カミラの傍らに歩み寄っていたローザが一つ吐息を洩らす。


「ジュードを守る? どうするって言うのよ、アナタ一人で魔族と戦うとでも言うの?」

「うん。あなた(・・・)には出来なくても、わたし(・・・)には出来ることがあるから」


 小馬鹿にするようなローザからの問いに、カミラは改めて彼女に視線を向けると至極当然とでも言うかの如く即座に頷きを添えた。それに対し驚愕したのはジュードや傍らにいたウィル、マナなどの仲間である。


「カミラ、何言ってるの……!?」

「司祭さま」


 一体何を言い出すのかと、マナはカミラの肩を掴むとやや蒼褪めながらその身を軽く揺さぶる。だが、カミラはそんなマナにそっと笑い掛けると、心配そうな面持ちでこちらを見つめる司祭へと視線を投じた。

 白く長い髭を生やし、純白の法衣に身を包む司祭は切なげに表情を顰め、そして言葉もなく深く頭を下げる。それを見てカミラは早々に踵を返すと、謁見の間の出入り口へと駆け出した。


「カミラさん!」


 ジュードは思わず彼女の背に言葉を投げ掛けるが、カミラは振り返ることなく出て行く。女王は屈んだ床から慌てたように立ち上がり、彼女が出て行った扉と司祭とを何度か交互に眺め、その後に口を開いた。


「司祭よ、一体……彼女はどこへ!?」

「陛下……これまで黙っておりましたことを、どうかお許しください。あの方こそ、カミラ様こそ――聖地ヘイムダルよりいらした、姫巫女様なのです」


 司祭のその言葉に、女王のみならずジュード達も息を呑んだ。ずっと共に在ったジュード達であるからこそ、その言葉を頭が理解するまで時間を要したのである。


「巫女様……カミラちゃんが、本物の……!?」

「なんと……まさか……!」


 それには流石のメンフィスも理解が遅れたか、ルルーナと共に呆然と司祭を見つめて固まっていた。ウィルやマナ、リンファも同様だ。皆一様に司祭を見つめたまま呆然としている。

 そしてライオットはジュードの肩によじ登り、しょんぼりと軽く頭を垂れながら呟いた。


「……カミラは、自分の正体が知られたらみんなに嫌われちゃうと思って、ずっと言えなかったんだに」

「ライオット、あんた知ってたの!?」

「ライオットはこれでも光の精霊だに、光の力を強く秘める巫女のことは一目見れば分かるによ」


 慌てたように視線と言葉を向けるマナに対し、ライオットは一度頷いてから肯定を返す。そして心配そうに、その視線はジュードへと向けた。肩から見る彼の様子は何とも表現し難い。怒っているような、泣きたそうな、複雑な表情だ。改めて拳を握り締めて俯いていた。

 ローザが何もしてくれない筈である。つまり、彼女はカミラが言うように偽者だったのだ。幾ら懇願されても、なんとかしたいと思っていても、彼女にはこの現状を打破出来るだけの力も(すべ)もないのだから。

 だからこそ、ローザはカミラが出て行った扉を悔しそうに睨み付け、唇を噛み締めていた。

 住民達はこれで助かると思ったらしく、先程までの罵詈雑言も何処へ消えたか、今度は歓喜の声を上げ始めた。そんな中でウィルはライオットに問いを向ける。住民達の不安はある程度晴れても、こちらはそうもいかない。


「俺達に正体がバレたら嫌われるって……なんで、そんなことに繋がるんだ?」

「……カミラは、みんなが思うような平和な環境で育った訳じゃないに、そう思わずにいられなかったんだに」


 肩から聞こえるライオットの声にジュードは奥歯を噛み締める。固く拳を握り締め、そして弾かれたように駆け出した。

 ウィルやマナの呼ぶ声が背中に届くが、ジュードは振り返らない。カミラの後を追い掛けるべく、謁見の間の扉を開けて勢い良く飛び出した。ちびは一つ吠えてから即座にジュードの後を追うべく駆けていく。


「ジュード! ちび!」

「ウィル、あたし達も行くわよ!」

「こ、こら、お前達!」


 メンフィスは出て行くジュード達に慌てて声を掛けるが、案の定誰一人として止まることはなかった。

 後に残されたルルーナとリンファは、念の為の護衛にと女王の傍らを固めながらローザに視線を投じる。女王を、兵士を、そして民を。それら全てを(たばか)った彼女をこのまま許す訳にはいかなかった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ