木花開耶物語10話 PROLOGUE
本来ならもう少し早く完成する予定だったのですが、夏休みが意外に忙しく漸く昨日出来上がりました(>_<)
今回は忙しかった事も含め少々短めです(;一_一)
是非、最後まで読んで下さいm(__)m
PROLOGUE
――二XX六年 五月某日
私は某私立大学の一室にて、普段通りの昼休憩を過ごしていました。
「ねえ、この問題わかった?」
「それは……先週の講義で習った公式の二番と三番を併用して――」
「ああ、そーいうことね。じゃあ、ノート借りてくね」
「はい、どうぞ」
「ねえ、プリントの問題は?」
「それは一番と三番を応用して、出た解を元の式に代入すれば……」
「えっと、じゃあ、うーん? これが答え……?」
「そこから、もう一度――」
「まあ、いいや。プリント見してー」
「……はい、どうぞ」
と、こんな具合に私の周りはいつも人で溢れていました。
でも、それが私を好きだから集まっているのではないという事くらい分かっていました。
そもそもの原因は私にあるのです。
誰からも好かれていたい。
もしくは、人に嫌われたくない。
その信念を貫いた結果がこれです。
確かに、信頼されているのかもしれません。
けれど、利用されているだけなのです。
(私は、こんな風になりたかったんじゃない……!)
独りは嫌い。
でも、今の関係も好きではない。
(何かこの状況を一気に変えられるくらいスゴイ事、起きないかなぁ……)
結局、どこまでも他人任せの自分に嫌気が差して思考を中断しました。
そんな時の事でした。
私に転機が訪れたのは。
それは突然の出来事でした。
今まで明るかった視界が何の前触れもなく暗転したのです。
「きゃっ!?」
私は驚きを露わにしましたが、周りに居た筈の友人達からは何の言葉も返ってきませんでした。
最初は不安で泣きたい思いでした。
しかし、意外な事に私はこの状況に段々と慣れてきたのです。
(ここはまるで――私の世界)
手に入れたと思っていたモノはみな幻想。
結局、私に残っているのは私自身だけ。
つまるところ、この世界で知覚できるモノが私の全て、そういう風に解釈したのです。
そんな結論に私が至るほど冷静さを取り戻した頃、タイミングを見計らったかの様に声がしたのです。
――ねえ、私に貴女の身体、貸してみない?
ここには自分一人しかいないと確信していたので、驚いて言葉の意味は理解できませんでした。
――いや、ちょっとだけでいいからさ。少しこっちの世界を見て回りたいだけだから
改めて聞いたその声が、女性なのは明瞭でした。
そして、その目的も。
話を聞く限り、何か困った事態に陥ってしまったらしく、それを解決できるのが私しかいないらしいのです。
それを聞き、私は人助けの気持ちで彼女の頼みを了承したのでした。
――やったー! ありがと……って自己紹介がまだだったね
「そうでしたね、私は、毘美。登陽 毘美です」
――……よく出来てるよね、ホント
「えっ、それってどういう意――」
言いかけた私は、自分で自分の言葉を遮るように強烈な眠気に襲われ眠りに就いてしまったのです。
そして、あの言葉の意味は後ほど知る事になるのです。
私が再び目を覚ましたそこは、眠る前と変わらない真っ暗闇の中でした。
――ここは……? 誰かいません――
呼びかけようとしたその時、私の頭の中に一気に映像が流れ込んできたのです。
誰かの視点でその映像は再生されました。
見知った教室の出口へと進む視線。
扉に手をかけると、誰かに腕を掴まれ止められました。
それを振り返りもせず、振りほどき、その場を去りました。
それから何人かに声をかけらましたが、歩く速度も変えず抜けていきました。
外に出ると、左右を何度も確認し、人の少ない方へと歩き出しました。
そして、街に着くと物珍しそうにウィンドウを見て回ったのです。
その際にまた何人かに声をかけられましたが、意に介す事もなくウィンドウショッピングを続けるのでした。
そうしている内に日が暮れて、街が夜を照らす仕様に切り替えるとまた辺りを見回すように視線が上下左右前後に幾度となく振られ、私は少々パニックになりそうでした。
何が楽しいのか、来た道を戻りまたウィンドウショッピングを始めたのです。
ただ単純に夜間でも商品が見やすいように多少大げさなライトアップがされただけで昼間と何も変わっていない筈の風景を、一つずつ確認するように見ていったのです。
そして、全てが見終わると人気のない街外れへと歩いて行ったのです。
そこで映像は終わり、同時に暗闇の中からあの女性の声がしたのです。
「あー、ごめんね。何か強引に連れ回しちゃって……」
彼女の言葉から察するに、今の映像は私が眠っていた間にあった出来事、つまり彼女の見た記憶というものに相当するのだろうと私は即座に判断しました。
――いえ、気にしていません
「ふーん、そう……それなら良かった♪」
私が怒っていないと分かると彼女はすぐに笑みを零しました。
(私って、笑うとこんな顔なんだ……)
そんな彼女を見て私はあるお願いをする事にしたのです。
きっと、これは彼女にしか出来ない事だと確信したからです。
(私と全くの正反対である彼女なら――)
――もし、宜しければ……――
ここまで読んで頂きありがとうございますm(__)m
実は、毎度の事ながらこの先が全く書かれていない状態となっております((+_+))
学校も始まるので更新は未定(-_-;)
できる限り楽しいものを作りたいと考えています(^_^;)
時間はかかりますが頑張る所存です(^^)
是非、次回も読んで下さいm(__)m