木花開耶物語9話 PROLOGUEのみ
えーっと眠くてヤバいので、簡潔に書かせて頂きます(>_<)
今回の9話は非常に長くなりそうです(;一_一)
具体的には8話の約2倍くらいになりそうです(+o+)
なので、今回に限り前篇・後篇という区切り方にします(^^)
そうです、PROLOGUEから長いのです<(`^´)>
でも、是非最後まで読んで下さいm(__)m
=追加分=
改めまして作者のcrowです(^^)
今回は無駄に気合が入って普段のPROLOGUEよりも文字数が2倍ほどになっております(-_-;)
しかも、物語の核心部分とはあまり関係のない話が書かれています(>_<)
そうです、また逃げてしまいました(;一_一)
……とは言っても、9話前篇の方で8割くらい核心に触れてるのでお楽しみにしていてください(^_^)v
それでは、是非最後まで読んで下さいm(__)m
PROLOGUE
――二XX六年六月十日 放課後 南海高校 屋上
仮に、昨日までの僕と今の僕が変わっていたとして、世界も同じ様に変わるだろうか?
その問いの答えは、変わらず同じ様に廻り続ける、だ。だから、僕に見える世界が変わっても本質的に世界は同じなのである。
それは他人も同じで、僕が変わっている事に気づかない他人にとっては今日の僕も昨日の僕も同じ。それは僕も同じで、他人の変化に気づかなければ今日会った他人も、昨日会った他人も、明日会うだろう他人も全部変わらない。一括りに他人なのだ。
しかし、本質的には誰も何も変わってなどいない。だから、実際は変わった事に気づかないのではなく、変わってないので気づく筈がない、というのが正しい。だが、自分は変わったと主張する。それは自分が勝手に変わったと思っている、というだけの事。
つまり、世界に始まり物質に至る全ては、最初からそういう風に出来ている、という訳だ。単純な話、設計図通りにしか僕等は機能しないのだ。
たとえ話、もしも神様が未来を操作していたとして、世界が危機に陥ったとする。それを理不尽に思った誰かがその未来を覆したとする。その誰かは神様の思惑通りにさせなかったと喜ぶかも知れないが、それはそもそもの前提が間違っているという話。
なぜなら、最初からその危機は覆されるという結果が決まっていた。もっと端的に言えば、その誰かというのは最初からその危機を覆す為だけに存在していた訳だ。それを神様の思惑通りにさせなかったと喜ぶのはお門違いという訳だ。
尤も、本当に滅ぼす気ならば、誰もが奮い立たないような絶望的シチュエーションを用意する筈だ。それが出来るからこそ、それを神様と皆が呼び慕う訳でありまして。
さて、少々話が逸れてしまったが本題はこの先……。
「ねえ、サク? ……って、聞いてる?」
僕に向けられたその言葉に、僕はやっと我に返る。
「ん? ああ。ごめん、クッシー、何だっけ?」
「そっちのぉー、掃除はぁー、終わりましたかぁー?」
妙に間延びした口調で話すクッシーが怖かった。が、事態は既に最悪の状況だった。
(ヤバい、すっかり忘れてた……)
そう、僕が今居るのは学校。しかも、掃除の時間。
さて、どうしたものか。うん、とりあえず謝ろう。
「ごめん、まだ何にもやってなかった……」
すると、予想通りクッシーは呆れた様に溜め息を漏らして尋ねた。
「はあ、何か最近サク、様子がおかしいけど大丈夫? 疲れてる? それとも……ハル?」
「……」
別に隠す程の事ではない、ハルは今日も欠席した。理由は依然として不明。
確かに、昨日(は学校に行ってないので一昨日)までの僕はハルの事を心配して何事にも身が入ってない感じだったのかもしれない。しかし、今日の僕は、また違う理由で身が入らないのである。
すると何か察したのか、クッシーはそれ以上何も言わなかった。代わりに、玉ちゃんの方へと行って何か話していた。僕は特に気に留める事もなく、掃除を始めた。
程なくして掃除は終わったが、辺りはすっかり夕焼け色に染まっていた。ゴミ捨てに行った二人を待つ僕は、屋上の縁から街を、住宅街跡のある方を眺めた。やはり、いつもと変わらない風景がそこには広がっていた。
時間が空いたので、さっきの話の続きをしよう。
もし、さっきの仮説が正しいとしたら、一人ひとり、一つひとつ、全てのものに設計図が存在し、その通りに生まれて、消えていく、それが一生の流れである。
ならば、その設計図とは何か?
どうすれば、知る事が出来るのか?
そして、最大の謎は……僕に彼女達を救えるのか、だ。
「ただいまー」
と、屋上の入り口から声がする。
話はここで一度打ち切って、また家にでも帰ってから考える事にしよう。ぼんやりしてると、また二人に気を遣わせちゃうしね。
「二人ともお疲れ様。じゃあ、帰ろっか?」
「ちょっと待ったー!」
と、言ったのは当然クッシーの方なのだが……その意外なテンションの高さに少し驚く。
なぜなら、ここ最近落ち込んでたのは僕だけではない。二人も、僕ほどではないにしても多少はテンションの低下が見られた。はっきり言って、笑う回数どころか一緒に話す回数自体が著しく減っていた。まあ、主に僕が断る事が多かったのだけれど、誘われる回数自体も減っていたのは確かだ。
そんな風に僕が苦笑いを浮かべてクッシーを見ていると、クッシーも苦笑いを浮かべながら用件を話した。
「あ、あのさ。今から二人でハルん家に行こっかな――とか思ったりしてさ……サクも、どう?」
その意外過ぎる提案に返答が詰まる。行きたくない訳ではない。ただ、今日はもう帰れるものだと思っていた。いや、帰って確かめたい事が山ほどあった。
変な間が空いてしまい、気まずい空気が流れた。
とりあえず……話を濁して、それから適当な理由を付けて帰ろう。
「えっと、そうなんだ。どうし――」
言いかけたその時、確かに一瞬、空が陰った。それに気づいた僕は、その先の言葉が出なかった。
不自然に止まった僕の返答にクッシーが催促してくる。
「ん? サクはどうする? 来る? 来るよね!」
どうやら、クッシーは有無を言わさず連れて行く気、満々らしい。
「か、夏澄ちゃん! さ……木花くんまだ何も言ってないよ」
「いや、行くでしょ~ この流れは~ 作戦、大成功だよ!」
そこで、さっき玉ちゃんと何の話をしていたのか、思い至る。
(また、気を遣わせちゃったなあ……でも)
「ごめん、二人とも。今日は……いや、今からちょっと用事が――出来ちゃったから。ハルん家はまた今度一緒に行かせてもらうよ」
「そ、そうですか……急用なら仕方ないですよね……夏澄ちゃん?」
「ちょっと、サク。ノリ、悪くない? その用って今日じゃないとダメなの?」
どうしても連れて行きたいらしい。いや、彼女自身が何か理由を付けてハルの家に行きたい様にも窺える。まあ、心配じゃない訳がない。最近、物騒だし。でも……。
「ごめん、クッシー、玉ちゃん。今じゃないとダメなんだ」
彼女の瞳をしっかりと見据え伝える。
僕の真剣さが伝わったのか、クッシーは折れた。
「そ、じゃあ、また今度。今度は先に約束したからねー! 予定入れないでよー!」
そうして、二人は先に屋上から去った。二人の気配が階段から完全に消えたのを確認してから、僕は雲一つない夕焼け空に向けて言った。
「もう、いいですよ。出て来たらどうですか?」
僕の声に答える様、茜色の陽射しを遮る帆船が夕焼け空に現れた。その縁には、予想通り彼女・登陽 毘美が居た。
それから、船は屋上と同じ高さまで高度を下げ始めた。相変わらず静止しない船だったが、彼女の視線の高さが僕と同じくらいになったのを見計らって僕は問いかけた。
「お久しぶりですね。こんな所にそんな物で乗り付けて、何か御用ですか?」
本来ならこんな再会、驚く以外の反応は有り得ないのだが、僕は至って冷静だった。しかし、様子がおかしいのは僕だけではなかった。
そう、彼女の様子も平生とは異なっている様に感じられた。
なぜなら、彼女の性格上、自発的な沈黙はまず有り得ない。しかし、現に今、彼女は登場から一度も口を開いていない。これは一体どういう事だろうか? 僕の頭に得体の知れない嫌な予感が過ぎった。
――その時!
「君の為に特別な空間を用意したよ……」
次の瞬間、僕は何かに飲み込まれるのを全身で感じた。
「うっ、ん……? ここは……?」
目覚めたそこは屋上ではなかった。
「さくら――の……樹」
目の前に広がるそこは、いつか夢で見たあの場所に酷似していた。
身の丈を優に超える幹。途絶える事無く舞う花弁。まるであの夢の続きを見ている様だった。
しかし、何かが違った。何なのかは分からないけど、この樹からはその何かを感じられなかった。
そんな風に現状を受け止め、冷静な分析をしていると、僕の目に信じられない光景が映った。
樹の幹からちょうど左右対称に太い枝が生えている、正に十字架の様なその場所に――が磔にされていた。まるでどこぞの救世主の如く、そこにニニギが居た。
頭の中が瞬間的に真っ白になる。続いて、意識が遠退いていく。それと反対に胸の奥、脳の最奥で眠っていた『何か』が目覚める。その『何か』が『ここから出せ』と激しく主張する。それを僕は必死に抑え込む。なぜなら、今ここでその『何か』を解き放つのは、余りにも軽率な判断だと思うからだ。恐らく、それがここへ僕を連れてきた彼女の狙いだろう。それに乗っては彼女の思う壺だ。
(だから、落ち着け、落ち着け! これは罠……かもしれない! それに、もしあれが本当にニニギだとしても、彼女はまだ生きてる……たぶんだけど)
何とかその衝動を落ち着かせようと、呼びかけるが依然として衝動は治まらなかった。もっと説得力のある詭弁を吐こうにも、気を抜けば一気に主導権を握られてしまいそうな、紙一重のせめぎ合いが続き、それどころではなかった。
するとこっちの気も知らない、事の元凶が堂々と姿を現した。しかも、ニニギの隣に。そして、その右手には何かの意思表示のつもりなのか、大きめのナイフが握られていた。
「コノハナサクヤ、早くしないと……この子、脱落させちゃうよ?」
どうやら、本気でニニギをどうにかする気らしい。こっちはこっちの事で精一杯なのだが、どうやら彼女の相手もしないといけないらしい。
仕方がない。何とかするか……。
「ちょっと待って下さい。少し落ち着きましょう」
未だに僕の中を掻き乱す『何か』に意識を集中させながら、彼女の演出に応じる。
きっと、彼女は本気じゃないと思う。例えば、人前で自殺をしようとする人。あれは止めてもらいたい、つまり構ってもらいたいから人前でそういう事をする。即ち、本当にニニギをどうにかしたいのなら、僕等の前でやらなくてもいい。むしろ、僕等の前でやるという事は、止めてもらいたい。もしくはやりたくないけど、誰かに強要されているという可能性が大だ。
そして、もし彼女が後者なら、いや、前者であっても彼女の意思でないのなら、僕は彼女を止めなければならない。それは、理屈とか損得ではない。知ってしまった人として当然の行い、だ。
だから、僕は彼女に確かめなければいけない。そして、もし読み通りなら僕は……。
「それは本当に貴女が望んでやっている事なんですか? もし違うのなら……」
と、言いかけた僕の言葉を、遮るように彼女は心意を語り出す。
「何、言ってるの? コノハナサクヤだって、望んで参戦したんでしょ? だから、私がこの子を脱落させたいのは、当然の行為。そこに私の事情とか私の意思なんて関係ないの。私はただニギハヤヒ様を勝たせたい、それだけ。その為なら、肉親でも知り合いでも私は殺れる」
まるで棒読みに近い、抑揚のない声だった。そんな彼女に僕は終始、違和感を覚えた。
(これは……そうか、そういう事だったのか)
よく考えればすぐ分かる違和感だった。それは……。
――彼女にしては、理由がまとも過ぎる
実に、誰かに言わされてる感が満載だ。
「そうですか……」
全てを納得した僕は静かに返事をする。しかし、胸の奥は怒りで燃えていた。
そしてもうひとつ、分かった事を口にする。
「――そのニギハヤヒって奴が元凶なんですね。
――俺が、ブッ斃してやるよ」
「えっ!? コノハナサクヤじゃ、ない……?」
彼女が驚くのも無理はない。僕は咄嗟に『彼』と入れ替わったのだ。僕の中で散々暴れてくれた『何か』さんの御登場だ。
って言うか、もう限界。後は任せたよ、佐久夜さん。
ここまで読んで頂きありがとうございますm(__)m
是非、同時掲載の9話前篇も読んで下さい(^^)
=近況報告=
一件のお気に入り登録と総合評価pt頂きました\(^o^)/
入れてくれた方どうもありがとうございましたm(__)m
願わくば感想なんかも頂けると嬉しんですけど……高望みしすぎかな……?(-_-;)
*前書きと後書きは後日しっかりと追加します
=追加分=
まずは改めまして、最後まで読んで頂きありがとうございますm(__)m
久々の登場の彼女がやってくれますねー、とまるで他人事のように語ってみたり(-_-;)
何と言いますか、前書きでも少し書きましたが、このPROLOGUEは核心の説明から逃れる為に書いたのが半分、この先の展開を考えたのも半分です、一応ですけどね……(>_<)
それにしても、現段階で9話の後篇がまだ一文字も書かれていないというまさかの事態……(;一_一)
土・日しか書く時間がない為、次の掲載はこれまた未定です(+o+)
もしかしたら、先にキャラ紹介が更新されるかもしれません……(^^ゞ
それでは、今回はこの辺で……ここまで読んで下さりありがとうございましたm(__)m