木花開耶物語8話 B
こっちは現在篇でーす(*^_^*)
かなり短いです(>_<)
是非、最後まで読んで下さいm(__)m
――二XX六年六月九日 とある路地
「是と我が主を取り替えて貰おうか、瓊瓊杵」
そう言って、大男・ニギハヤヒは右手で軽々と持ち上げた木花 開耶を揺すって見せた。そして、左手でニニギの後ろに居る女性を指差した。
「ニギハヤヒ様、タイミング、バッチリ~♪」
緊迫とした雰囲気の中、女性は場違いな黄色い声を発する。
「開耶様……? 何故、この様な所に……!?」
同じくニニギの後方で控えていたウズメが、小さく驚きの声を上げた。
この場に集まったそれぞれが、現状を(解釈の違いはあれ)受け入れていた。
ただ二人を除いては。
一人は、開耶登場からずっと俯き沈黙を貫いているニニギ。現在も尚、沈黙は続き、その深紅の瞳も閉ざされている。
そして、もう一人は……。
「おいおい、痛ぇじゃねーか。放せよ、この木偶坊」
低く冷めた声が突然、路地に響いた。その聞き覚えのある声に、ニニギは顔を上げた。
「なっ……?」
しかし、声の主はどこにも見当たらなかった。ニニギだけが辺りを見回す中、他の者達の視線は一点に集中していた。
――そう、声の発生源・木花 開耶へと
「放せって言ってんだろ!」
言うと同時に声の主は、ニギハヤヒの横っ腹に見事な回し蹴りを決めた。それをまともに受けたニギハヤヒは、開耶を放して一人だけ路地の壁に突っ込んでいった。
ニギハヤヒの腕から解放された開耶は、軽やかに地面に降り立つと左右に首を捻った。
「あー、痛かった。普通、頭だけ持つかよ」
そして、少し長くなった髪を鬱陶しそうに掻き分けると、そこからは美しい澄んだ空色の瞳が現れた。
それを見たニニギは、確信した。
「……さ、佐久夜様」
「よう、ニニギ――って泣くなよな……」
と、指摘されたが構わずニニギは歩み寄って行った。それに加えて、周りの目などお構いなしに佐久夜へと抱きつくのだった。
「おいおい、いいのかよ? みんな見てるぜ?」
「そのような事、取るに足らん! 私が……私が、この時をどれほど待ち侘びた事か……」
真剣な眼差しで訴えてくるニニギを見て、佐久夜は呆れたように頷き返すのだった。それを見届けるとニニギはより一層、抱き締める力を強めた。
「ほ、本当に佐久夜様、ですよね……?」
感動の再会を果たしている最中、ウズメが恐る恐る尋ねた。
「ああ。ウズメ……だったか? 俺は正真正銘、木花佐久夜だぜ。まあ、証明なんてできないけどな」
言って、ニッと笑うのだった。
(いいえ、佐久夜様。その笑顔だけで充分に彼方だという証明ですよ)
そう確信したウズメは一礼すると二人の邪魔にならない様、再び後方へと戻って行った。
「えっと……一体、何がどうなってんの?」
一人、状況が飲み込めない者が居た。この度の事の発端である女性だった。
確かに、その女性の立場から現状を理解するのは相当困難だろう。
女性を助けに現れた大男、それに連れられてやって来たのは瀕死の木花 開耶。そこまでは、まだ常識的な理解の及ぶ展開だった。不可解なのは、その後からだ。
瀕死の筈の木花 開耶が、自分よりも身体の大きい大男を軽々と蹴り飛ばした。そして、女性の恋敵に当たる少女・ニニギと抱き合い、何やら只ならぬ関係を漂わせている。
女性に、この状況を何の説明も無しに受け入れられる許容と教養など存在する筈もなかった。
「ってか……何、好き勝手やってんのよ!!」
怒号と共に女性が両手を広げた。また、あのおかしな空間を創り上げる魂胆だったらしい。しかし、それは失敗に終わった。
「小娘、とっとあの木偶坊の所へ帰れ」
いつの間にか佐久夜が女性の前に居り、口を塞ぐように手を当てていた。というよりは女性の顔を容赦なく掴んでいた、と言った具合だった。
瞬間的な出来事に一同が解せないという表情を浮かべた。それには抱きついていたニニギも別の意味で不満そうな顔をしていた。
すると、何もかもを悟ったかのようにある男が口を開いた。
「我が主よ、此処は一旦退いた方が良い。我等が真正面から争うには少し分が悪い」
冷静な分析からそう決断を下したのは先程、佐久夜によって吹っ飛ばされた大男だった。人質をとっていた時とは打って変わった調子の大男に、女性は何か言おうとして止めた。
戦意が無くなったのを確認すると、佐久夜は女性を解放して二、三歩下がった。
その時、路地に突風が駆け抜けた。余りにも強い風で、路地に溜まっていた砂や埃が舞い上がり、目を開けては居られなかった。そうして風が止んだ頃には、路地に大男と女性の姿は消えていた。
「結局、あの方達は何が目的だったのでしょうか?」
今回の事を結ぶようにウズメが呟いた。
「まあ、一言で言うなら『勘違いから始まる復讐(返り討ちに遭うパターン)』ってところかな」
「まったく迷惑な話じゃ」
すると、自然と笑みが零れていた。これからまた、あの日常が戻ってくるのだと疑いもしなかった。場所や見た目は多少違っても泣き笑い、時には喧嘩もして過ごす、終わりのない日々を過ごしていくのだと信じていた。
しかし、楽しい時間の終わりはいつも突然だった。
「ぐっ……ちっ、もうダメなのか」
「佐久夜様、大丈夫ですか?」
急にその場に崩れる佐久夜。近くに居たウズメが咄嗟に支えるものの、佐久夜は立って居られない程に消耗していた。
「どうやら……これ以上は無理みたいだ」
「えっ……?」
歓喜からの落差が大き過ぎて、ニニギは佐久夜の言葉を理解出来なかった。正確には、本能が理解するのを拒んだ。結果的に現実逃避する事で正常を保った。
「な、何を仰っているのじゃ。こんな時に冗談は止めよ」
そんなニニギを見て、佐久夜は一息吐いてから静かに口を開いた。
「ニニギ、聞いてくれ」
「嫌じゃ!! 何処にも行くでない! 漸く会えたのじゃぞ……?」
「ああ、何処へも行かない。いつでも一緒だ、ニニギ」
落ち着いた優しい声で、佐久夜は言った。しかし、錯乱状態のニニギにはまるで届かない。
「佐久夜様……そんなの――」
「嘘じゃない。俺は開耶の中にいつでも居る。ただ、表に出て来るには色々と必要な条件が在るってだけだ」
衝撃の事実にニニギは声が出なかった。その為、代わりにウズメがその内容を尋ねた。
「その条件とは一体……?」
「まずは神力をこの神力臓に直接補充する事。次に俺が表に出たいと強く願う事。最後にこの身体の持ち主・開耶がそれを許す事だ」
そう早口に伝えると、佐久夜はウズメを支えにニニギの近くまで歩み寄った。そして、手の届く距離まで来ると支えから離れ、ニニギの頭をそっと撫でた。
「だから今回出て来れたのは、ニニギが俺に会った時、キスしてくれたからだって事だよ。御蔭でニニギのピンチを救えた。ホント、ありがとな。俺も、またニニギに会い……た…い」
「……私もじゃ。彼方に早く、一秒でも早く会って、一秒でも長く一緒に居りたい」
ニニギの言葉は、きっと佐久夜に届いただろう。なぜなら、ニニギの胸には微笑んで眠っている木花 開耶が居たからだ。
ここまで読んで頂きありがとうございましたm(__)m
今回の物語の終盤で意味の分からない言葉が出現していますが、それは次話以降で追々詳しく触れていきます(^_^)
と言いますか、やっと本題に入ってきたかな……っといった感じです(;一_一)
前置きが長すぎると言うか、でも普通の日常とのギャップがないとなあ、と思考錯誤した結果がこれですからね~(-_-;)
とりあえず、やっと物語は本題の戦闘・ファンタジー・ラブコメ(?)へと進んでいきまーす(^^)
是非、次話も読んで下さいm(__)m