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旧・木花開耶物語  作者: crow
第一章
18/40

木花開耶物語7話 B

読者の皆様こんにちわ(^O^)/

最近少し書いては投稿、というのに慣れてきました(^^)

2月からは少し余裕もあるので、一気に書いていこうと思います(>_<)ウソニナラナイコトヲイノリマス

それでは、是非最後まで読んで下さいね<m(__)m>

――同刻 木花 開耶

「――……、……――」

 絶句。

 宙に、まるでそこに在るのが普通と言うかの如く、異常が存在した。その異常は、今まで僕が培った常識を瞬く間に叩き潰した。そしてそれと同時に、その異常は僕の思考をも粉々に破壊していった。すると、僕は異常の前で立ち尽くす以外、何も出来なくなってしまった。もう驚嘆の声も、否定の言葉さえも出せない程に脳は凍結してしまっていた。

 その異常とは……ヒビだった。

 それもただのヒビではなかった。何も無い空間にヒビだけが存在しているのだ。まるで、見えない壁がそこに在って、誰かがそこをハンマーで叩いたかの様にヒビだけが宙に存在しているのだった。

(一体、何が起きて……? まだ、夢の中なのだろうか……?)

 異常との遭遇から一、二分後、やっと正常な思考が回復し出した僕は、その思考を目の前の異常を全否定する為に総動員した。考え得る全ての可能性を見出し、ヒビの解明へと注いだ。

「そんな、まさか……っ!」

 しかし、どんな理屈を並べても、今までの経験を最大限に活かしても、その答えに辿り着く事は叶わなかった。結論から言えば、僕はこのヒビが確かにここに存在しているのを証明してしまったのだった。

 すると、次第に冷静な思考が僕に戻ってきた。そこではじめに思い出しのは、過去に僕がしていた様々な事に精通する無難な対処方法だった。

――都合の悪いモノは見なければいい。それでももし、見てしまったのなら見なかった事にすればいい。

 こんな考え方で僕は過去の厄介事を片してきた。そして、これから先もこの考えが変わる事はないだろう。ただ、例外はある。ハルに出会ってから僕は、この考え方を嫌悪する様になったのだ。だから、最近では全く使う機会の無くなった考え方だった。けれどもし、ハルが居なくなったら僕は再び戻ってしまうだろう。その確信があった。

「何はともあれ、こんな非現実的なモノは見なかった事にして……住宅街跡に向かいますか……」

 と、呟き、思考を打ち切った。なぜなら、あれから先の事を考えても、仮の話では時間の浪費だと感じたからだ。どこまでも身勝手な僕だったが、そんなのは昔からなので、僕はもう慣れてしまっていた。そんな自分との付き合い方に……。

「……! ――……。……――、――……!」

 そんな時だった。どこからともなく、人の声が聞こえた。何故それが人の声と認識できたのかは今問題ではなく、その声の主が問題だった。そう、あの声は……。

「今のは――ニニギ……? でも、どこから……?」

 首だけ動かし辺りを見回すが、ニニギはおろか人影一つさえも無かった。しかも思い返してみれば、あの声は遠過ぎて内容すら聞き取れなかった。そんな近くにニニギが居る訳がないのだった。

(それなら、あの声は住宅街跡から……?)

 それは、もっともらしい答えだった。とても理に適っている、と思えた。そして、そうと決まればここに用は無くなった、と安堵あんどの溜め息が漏れた。やっと、この異常と別れられると思うと必要以上に心が軽くなった。それに比例して、足も大分軽くなった。

 そうして僕は、異常の右側を何事も無かったかの様に素通りした。

 いや、素通りするつもりだった。

 だが、僕は足を止めてしまった。

 一体、何故?

――が聞こえたんだ。

 声が聞こえたんだ。

 彼女の、ニニギの凛とした響きのある、あの声が。

――この異常から……!!

 その事実を疑うように顔を左へと向ける。と、そこには先程と寸分違わない異常が堂々と存在していた。その瞬間、僕は吹っ切れた。

 見なかった事にするつもりだった異常と、僕は正面から向かい合った。それが意味する事とは、即ち――認識。僕はこの時、初めてこの異常の存在を認めた。

(ここから、ニニギの声が……)

 僕は吹っ切れた勢いと、元々抱いていた好奇心に後押しされて、無意識の内に異常へと手を伸ばしていた。そして、その手が異常へと触れるか触れないかのところで、ある異変が発生するのだった。

――バリッッ!

「うわっ!?」

 僕は驚き、一歩後ろに退いた。

 先程の音は、卵の殻が内側から割れた時のものに似ていた。実際、何が起きたのかと言えば……ヒビに新たな亀裂が入ったのだった。その際、とても不思議な光景を僕は目の当たりにしていた。

 僕はその証拠を得るべく、ヒビの真下辺りの地面に目凝らした。

「……あ、あった」

 僕が見つけた物、それはヒビの破片だった。さっきの亀裂で、ヒビの一部が欠け落ちたのだった。

(これで、この異常の正体が分かるかもしれない……!)

 本当にそう思った。しかし、その破片は僕が触れた瞬間……。

「あぁ……」

 跡形もなく消え去ってしまったのだった。まるで雪が溶けるような自然さで。

 仕方なく僕は立ち上がった。そうして再び、振り出しに戻るかの如く異常と向かい合った。そこで僕は、やっと第二の異変に気づくのだった。

「こ、これって――奥に続いてる……?」

 その光景は、正に壁に穴が開いた、という表現するのが相応しかった。勿論、そこに壁など無い。しかし、この穴もまたヒビと同様、確かにそこに在るのだった。そしてもう一つ、その穴の先はこことは別のどこかに繋がっているのが見て分かった。

「よ、よし……」

 僕はヒビに開いた僅かな穴に目を近づけ、中の様子を窺う事にした。

 それがどの程度の決断だったのかは定かではないが、少なくとも僕の頭の中は使命感で満たされていた。僕がやらなければいけない、そんな事は決してない。しかし、そう考えるよりも先に僕は動いていた。

「……――はっ!?」

 一瞬の間が空き、僕は息を吐いた。それと同時に穴から目を離した。

 正に呼吸をするのも忘れる程、という体験だった。

 穴の中は――混沌としていた。具体的には宇宙空間というのが、一番合っている気がした。そこは見た限りでは、上下左右という概念が無かった。とにかく、普通でない事だけは確かだった。

「まさかとは思うけど、この中にニニギが……いやいや、一度冷静になろう」

 目を閉じ、世界を真っ暗闇にする。そして、僕は一から情報を整理した。

 勢いで判断するのは、あまり賢明とは言えない。特にこういった、理屈の通らない事態には尚の事だ。まずは確固たる証拠、ニニギがこの中に居るという確証がなければ、僕は動けない。

 冷静な思考から導き出した答え。そんな詰まらない決断を下した僕に、ある疑問が浮かぶ。

(あれ? こんなんで良いのかな……?)

 すると、思いもしない所から答えが返ってきた。

『そうだ、そんな悠長な事していていいのか?』

 脳内に直接響いた声。けれど、意外な事に不思議に思えなかった。

 そして、僕は問いの答えを口にした。

「でも、何事にも順序ってものが……」

『そもそも、彼女は無事なのか?』

 声によって、僕の解答は遮られた。僕は少し怒りを抱きつつ、次の問いに答える。

「危険な訳がない。あれは単なる夢だよ」

『無事だ、という保証だってないのではないか?』

 痛い所を突かれた、と思った時点で僕はさっきの答えに自信がなかったのだと自覚する。認めたくないが、この声の言う通りだった。

「それは――そうだけど……」

『事が起きてからでは、遅いんじゃなかったのか?』

(その通りだ。その為に不安要素を解消しに来たんだ。これじゃ、本末転倒だ)

 結局、僕は何がしたいんだろう。それさえも、分からなくなってきた。いたずらに行動して、結果的に何も残せない。いや、今回に限った話ではないか。僕は、いつもそうだったか。

『今度は僕の方からって――あれは、嘘だったのか?』

「っ……じゃあ、一体どうすればいいんだよ?」

 本心からの言葉だった。体裁ていさいなんか気にもしない、本当の気持ちをぶつけてやった。我が事ながら、誰かも知らない相手に対して、何とも投げやりな問い掛けだった。

 こんな問題、答えられなくて当然。はじめから僕は返事など期待していなかった。しかし、声は言った。

『ここに来るまでのように、走ればいい』

「えっ?」

『あの時のように、ただひたすらに己を信じて、走ればいい。後の事なんかその時、考えればいいんだ。今どうしたいのか、って気持ちを大事にしろ』

「今、どうしたいのか……」

 僕は声の言った言葉を復唱した。何故か、その言葉に僕は魅了された。綺麗事だ、と一蹴されればそれまでだが、今の僕にはどんな励ましよりも心に響く言葉だった。

『さあ、お前はどうしたいんだ。常識とか世間体とか、そんなもの後回しにして自分の考え貫き通してみな? 世界が変わって見えてくるぜ、開耶』

 その声に後押しされるように、僕は現実へと戻って来た。目を開けると、そこは異常の目の前で、いつもの住宅街跡へと通じる路地だった。あれはまるで、夢でも見ているかのような体験だった。

 そんな夢現ゆめうつつな僕の目を覚ますのには丁度いい事が、丁度いいタイミングで起きたのは、偶然かそれとも誰かの計らいか……?

「鈿女、少し離れて居れ! 如何にか為らんか試みる!」

 その声は紛れもなくニニギのもので、音源は間違いなくこの異常の中からだった。

「今、僕はどうしたいんだろう……?」

 いや、そんな事はもう考えるまでもない事だ。そう、あの時から既に答えは決まってる。

「僕はニニギと――別れたくない!」

 その時、僕は知らなかった。すぐ後ろまで危険が迫っているという事に……。

読んで頂きありがとうございました<m(__)m>

感想とか批評が気になる今日この頃です(;一_一)

と言うか、まず読んでる人が居るのかどうかも定かではないんですよね~((+_+))

と言う訳で、感想・批評大募集!!\(^o^)/

勿論、〇話のここはどういう意味とかでも全然OK!(ネタバレにならない程度に)(*^_^*)

今回はそんなお知らせ的な後書きでした。

ここまで読んでくれて、ありがとうございました<m(__)m>

次回も是非読んで下さい(^O^)/ソシテデキレバカンソウナド……

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