表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
旧・木花開耶物語  作者: crow
第一章
14/40

木花開耶物語6話 C

是非読んでみてください。面白かったら、是非1話から読んでみてください。

もし、すらすら読み終えてしまえましたら、是非感想をください。

批判でも構いません。ココが分かりづらい、とか。これってどういう意味?

何でも構いません。

「うーん、確かに替えの下着くらいなら有るけど~ クッシーちゃん、それ何に使うの~?」

 先生は、本当にクッシーが何を考えているのか分からなかった。まさか、誰かが下着を穿き忘れて学校に来る、などという発想は咄嗟に浮かばないだろう。

 クエスチョンマークを頭上に浮かべて待っている先生、どうやら事情説明を要求しているらしかった。クッシーは苦笑いしながら玉ちゃんを見て、頼りない頷きを貰い、それからウズメの方へと話していいか、尋ねた。

「あの、ウズメさん? 先生が説明を求めてるみたいなんだけど……話していいかな?」

「構いません」

 先程から変わらず臨戦態勢を取ったままのウズメは、クッシーの話は全くと言っていい程、理解していなかった。ただ、いいですか? と訊かれたので、いいですよ、と反射的に答えただけだった。その光景からは、主君を後ろへと控えた武士の様な心構えが見て取れた。

 だが、ウズメのそんな気持ちなどいざ知らず、クッシーは了解を得られたので淡々と事の起こりから現在に至るまでの経緯を事細かに先生に話した。そして、その時のウズメは自分の格好がどれほど恥ずかしいものか知る由も無かった。

――数分後……

「……と、いう事があったんです」

 クッシーの数分に渡る状況説明は、補足のしようがないくらいに完璧だった。だが、聞いていた先生は途中から俯いたまま相槌も打たずに居た。その先生が、説明を聞き終えて間もなく、震え出した。

「ん? せ、先生?」

 不思議に思った(もしくは心配した)クッシーが先生に近寄ると、先生は急に顔を上げた。

「あはははははははっ!!」

 そして、大爆笑した。

「あはは。ごめん、ごめん。でも、あはは。パンツ穿き忘れるとか……何処の常識知らずですか~? って感じですよね~」

 と、先生はウズメに謝りながら罵倒した。しかし、ウズメにはパンツという概念がそもそも無い為、どの辺りが常識知らずに当たるのか理解できる筈もなかった。故に、先生の罵倒は罵倒としてウズメには処理されずに済んだ。

「何を仰っているのか理解し兼ねますが、恐らく瓊瓊杵様への暴言に違いありません。如何なさいましょうか、瓊瓊杵様」

「ウズメ、それはお前に対しての……いや、何でもない」

 何も悪い事を教えてやる事もないか、とニニギなりに気を遣った。しかし今回に限っては教えてあげるべきだった、と補足しておこう。

「そんな事より、私は疲れた。早々に用を済ませて退散するぞ」

 その指示にウズメは静かに頷き、暴言を吐いた先生を見据える。

 ウズメは主君である瓊瓊杵に対して、非礼を働いた者を今すぐにでも詫びさせたい所存だった。だが、その非礼を浴びた張本人である瓊瓊杵が、その者に詫びさせる必要は無いと判断した。その采配に異を唱えたい訳ではない。ただ、なぜ許したのかが解せなかった。

――燕雀いずくんぞ鴻鵠の志を知らんや

 これはその時、ウズメの脳内に浮かんだ言葉だった。

 それと同時に、ウズメの心にある感情が発生した。自分の仕える主君が大きな者へと成長した嬉しさと、自分とまた遠ざかった事への寂しさだった。

 ウズメは複雑な心境にさいなまれながらも、主の次なる指示を遂行するのだった。それが彼女の存在する理由であり、彼女にとって唯一の悦び。即ち、それは自分という存在の証明だった。

「で、先生、下着の件ですが……」

「ああ、ごめんね~ 可笑しくってすっかり忘れてたわ~ ちょっと待っててね~」

 と、足早に準備室へと去って行った。

 するとウズメは先生の戻って来る気配が無い事を確認し、薬品の陳列棚へと向かった。そして、何の前触れもなく中を漁り始めた。

「ちょ、ちょっと、ウズメさん!? 急にどうしたの?」

「案ずるな、元よりこうするのが目的じゃ」

 取り乱したクッシーに、ニニギが凛とした声で諭した。クッシーは、至って冷静な態度で立つニニギの方を振り向き、問い質した。

「ニニギちゃん……それって、どういう意味?」

「言葉通りの意味じゃ。詳しい事情は話せぬが、私の想い人が病にかかっており至急、薬が必要なのじゃ」

 つまり、保健室に連れてこられたのはあながち無駄足でもなかった。むしろ、この世界の全ての薬について調べる手間が省けたというものだ。しかし、それは此処に目当ての「物」があればの話だが……。

「瓊瓊杵様、大変申し訳難いのですが……」

 棚を物色していたウズメが、ニニギの前へと報告に戻ってきた。だが、その表情から察するに吉報でない事は明らかだった。

「構わぬ、申してみろ」

 一糸、取り乱す事なくニニギは答えるように促した。

「はい。お探しの「物」ですが、この部屋の棚からは一つも見つかりませんでした」

「そうか……」

 ニニギは答えを聞いた途端、小さく溜め息を吐き、少し頭を抱えた。そして、やはり全ての薬を調べぬと駄目か、と呟いた。すると、思いも寄らない言葉が二人の耳に届いた。

「ねえ、それってどんな症状なの?」

 声の主はクッシーだった。二人はクッシーが何と言ったのかすぐには理解出来なかった。

 少しの間が空き、冷静を装った感じでニニギが返事をした。

「……お主、薬に詳しいのか?」

「ううん。でも、どんな症状か分かれば何の薬が効くか調べられるでしょ?」

 全部なんて調べきれないよ、と付け加えて少し微笑むクッシー。その隣で玉ちゃんも一緒になって笑みを零していた。

 まだ知り合ったばかりで、お互いの事など全く分かっていないが、彼女達はしっかりと繋がっているようだった。いや、切っ掛けは在ったか。

――そうだ、彼女達はもう仲間クラスメイトだったじゃないか……。

「お主を信じてみるかの。まあ、他に良い策も無いしな」

 そんな訳で、ニニギの口からこの言葉が出るのを心待ちにしていたウズメが、饒舌に症状を語った。勿論、その病人が開耶である事は伏せた。

 果たして、クッシーの診断結果は……?

「んー、強めの風邪って感じかな……? それなら棚にある風邪薬を飲ませて、安静にしてれば治るんじゃないかな?」

 意外な診断結果に二人は茫然となった。

 まず、治るという事について。次に、此処にその治す薬が在るという事について。そして、今まで自分達がしてきた愚行について。既に語る言葉も無かった。

 その沈黙を了解、と勘違いして受け取った玉ちゃんが、棚より薬を取り出して二人の前へと差し出した。その光景を朧気に見つめながら、ニニギは小さい溜め息を漏らした。

「ふぅ、嘆いて居っても始まらぬか……。済まない、これは有り難く頂戴する」

「御二人共、この度は本当に有難う御座いました。それでは、失礼します」

 簡単に礼を交わし、転校生二人は足早に出ていこうとした。それというのも……。

「あ~っ、あった。あったわよ~」

 準備室から先生の声が聞こえたからに他ならない。尤も、クッシーと玉ちゃんは二人が早く薬を持ち帰りたいのだと勘違いして、特に止めるような真似はしなかった。

 先生との第一次接触を何とか免れた二人だったが、第二次接触も上手くいくとは限らない為、この場は一旦退く事にしたのだった。そして、そうと決まれば二人にこの学校への未練は無かった。

 しかし、それはニニギとウズメは、という一方的な話だった……。

「あっ。そう言えば、ニニギちゃん」

 と、クッシーにニニギは出口の前で呼び止められた。それを先生が出てきそうな気配を察したウズメが、丁重に断ろうとした。だが、全てを知った上でニニギがそれを制した。

「良い。お主だけ先に行け」

「しかし、瓊瓊杵様!」

 当然、敵地の真ん中に主君を置いていく道理などある訳も無かった。即座に異を唱えたウズメへと、ニニギの異論を許さない視線が飛ぶ……筈だった。しかし、その時はやってこなかった。その代わりに、ウズメへとある「物」が飛んだ。

「お主はそれを持って先に行け。私もすぐ後を追う」

 それは玉ちゃんよりニニギに渡された薬だった。その意外な飛来物にウズメは一瞬、落としそうになったが何とか受け取った。そして、薬を一心に見つめた。そこにある主君の意図を汲み取る為に……。

 果たして、ウズメはニニギのあの行為から何を読み、如何すべきと判断したのか。それを知る由は無いが、唯ひとつ確かな事はウズメが名残惜しそうに保健室を去ったという事だけだった。

 ウズメが完全に去ったのを確認してから、ニニギは先程とは打って変わった調子で話を始めた。

「ほれ、従者は下がらせたぞ。言い残して置きたい事が在れば、早急に申すがよい」

 突発的な態度の急変だったが、クッシーは特に驚いた素振りは見せずに用件を告げた。

「……教室で言ってた聞きたい事、っていうのはもういいの?」

 ニニギはクッシーを一瞥いちべつし、短い間を空けてから言葉を返した。

「――お主がそれで良いと申すのであれば、此方も無理強いはせん」

「えっ、それって――」

 間髪を入れずにクッシーが問い返そうとしたが、既にニニギは次の言葉を発していた。

「じゃがな、お主とはいずれまた会う事になる。絶対に、な」

 そう言い放つと、ニニギは振り返ることなく保健室を出て行った。まるで最後のくだりは無かったかのような、その振る舞いにクッシーと玉ちゃんは呼び止める事すら忘れて立ち尽くした。

 それから程無くして、何も知らない先生が準備室より出て来た。

「あったわよ~ 見つけるのに苦労しちゃった~ は~い、ウズメさん用の……ってウズメさんは~?」

 その間延びした調子の声を聞いて、やっと二人は我に返った。それと同時に、ニニギの残した意味深な言葉が脳裏に蘇る。

――お主とはいずれまた会う事になる。絶対に、な

(絶対、かあ……。まあ、明日も学校だし……)

 クッシーはそんな事を考えながら、先生の厚意が無駄になってしまった事を二人に代わり謝罪するのだった。

最近、下ネタが続きますがこれ限で当分無いかと思われます。

そろそろ、戦闘パートかあ……。表現の仕方が難しんだよなぁ……。

とりあえず、次の投稿までまた時間かかります、スミマセン。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ