十一話:妖怪入り混じる宴会
やはり原作未経験だと違うところが多くなりますね‥‥
今回は宴会です。久々のゆっくりとした話しが書けました。
「‥‥ん?」
目が覚めると、見覚えのある天井があった。
「博霊神社‥‥か」
ここまでの記憶を思い出しながら起き上がる。が、何も思い出せないな‥‥
「俺何で此処に寝てたんだ?」
「あんたが倒れたからよ」
声のする方向を見ると、そこのは少し不機嫌な霊夢がいた。
「あ、霊夢‥おはよ」
「おはよじゃないわよ、あんた何日寝てんのよ」
「‥‥あれからどれくらい経ったんだ?」
「三日よ。三日間ずっと寝てたのよ‥‥まったくこっちに着いた途端、急に倒れるんだから吃驚したわ」
霊夢の愚痴を聞きながら自分の身体を確認した。
「いっつ‥‥全身が痛てぇな‥‥」
「それと、後で魔理沙にお礼を言いなさい。その包帯を巻いたの魔理沙よ」
身体中に巻かれた包帯を見た。
微妙に失敗している場所が所々あった。
「あいつ自身もかなり痛手を負っていたみたいね‥‥あんたを治療したらあんたの横で寝てたしね」
「で、その魔理沙は?」
「外にいるわ。動けるようだったら会ってきなさい」
「ああ、そうするよ‥‥と」
重い体を持ち上げ、縁側に通じる障子戸を開けた。
「あ、いたいた。おーい魔理沙ー」
「あ‥‥////起きたのか‥‥じゃ、じゃあ私は用事があるからさよならだぜ‥///」
「あ、おい‥‥」
声をかけようとしたときには、もう遠くの方まで行ってしまった後だった。
「そんなに急な用だったのか?」
「何やってんのかしらね‥‥夕方から始めるってのに‥‥」
「何が始まんだ?」
「何ってそりゃあ‥‥宴会よ」
~博霊神社 境内~
西の空が赤らみ始め、次々と妖怪や妖精が集まってくる。
「人間の方が少ないってのがすげぇな‥‥」
「こらぁ!手を休めるな!!終わったら次はこっち!」
今俺は、宴会で出す酒を各々の場所に運んでいる‥‥が
「これを俺一人でやらされるって‥‥」
確かにさ、休んだ分手伝うとは言ったが‥‥霊夢さん一応怪我人なんですよ俺‥‥
「これで、終‥了!!」
一通りの仕事が終わったので、鳥居に寄りかかり大きく息を吐いた。
「はぁ‥‥」
「お疲れ様。はいこれ、飲み物」
霊夢が飲み物を持ってきた。後ろの方では、お祭り騒ぎ状態だった。
「ありがとう、霊夢‥‥っ!?ブハァ!!?こ、これ酒か!?」
「そりゃ宴会っていえばお酒でしょ?」
「いや、おれ未成年だし、そもそも霊夢も未成年じゃないのか?」
「それは外での話しでしょ?幻想郷にはそんなのないし、それに此処で飲むのが礼儀だと思うけど?」
霊夢に勧められて飲むが、慣れるには時間が掛かりそうだ。
「にしてもこれだけの「おにぃぃちゃぁぁぁん!!」フゴッ!?」
「やっときたわね。あんたらが来ないと始まらないのよ」
「私は吸血鬼よ、日が沈まないと外に出れないわ」
霊夢が誰かと話しをしている。まあ誰だかはわかるがとりあえず‥‥
「フ、フラン?‥‥とりあえず前が見えないからどいてくれ‥‥」
「わかったー!」
フランが退くと、予想したとおり、紅魔館の住人全員がいた。
「でも良かったのかしら?私は異変の張本人なのよ?」
「まあ宴会は異変解決の締めみたいなものだし、あんたらも来たほうが良いと思って呼んだのよ」
「そうね、ちょうどお礼もしたかったし」
そういうと、レミリアは俺の方を見た。
「ありがとう‥‥フランを、家族の絆を失わずに済んだわ」
「俺はなんもやってねぇよ。それに家族を繋いでいくのはあんたの役目だ」
「お兄ちゃんもフランの家族だよ♪」
急に肩に浮いていたフランが乗ってきた。まあ肩車状態だな。
「初めて受け入れてくれたのが貴方だったからね、だから家族と思いたいのよ」
「そっか、そゆうことか‥‥だから家族か」
顔を近づけているフランの頭を撫でると「えへへ♪」と笑顔で擦り寄ってくる。
「さて、貴女達も宴会を楽しみなさい」
あの後、霊夢の言葉で本格的に宴会が始まった。
俺は一通り回ろうとしたが、フランが乗ってたので紅魔館組を回る事にした。
「妹様、そろそろ降りられたほうが‥‥」
「いや、まだここにいる!」
「はははっ、まあ俺は気にしてないし大丈夫だよ」
「そう‥‥あ、自己紹介がまだだったわね。私は十六夜咲夜と言うわよろしく」
「俺は不知火悠冶、よろしく咲夜」
軽い握手をしてから酒を飲む‥‥う、もうちっと慣れねえとな‥‥
「もしかして悠冶ってお酒飲めない?」
「今まで飲んだことないからな‥‥てか外の法律的に無理だし」
「じゃあ、こっちはどう?ワインなんだけど」
「っと、その前に‥‥よっと」
肩から背中に移動したフランを膝に座らせてから咲夜に勧められたワインを飲む。
やはり俺にはキツイが、果物の甘味のおかげで少しは飲みやすかった。
「うん、美味い。俺でもぎりぎりいける。でもやっぱり酒はキツイな‥‥」
「じきに馴れるわよ」
ワインを飲みながら他の所を見る。此処は他より静かな方だった。
後で回ってみるか。
「さてと、俺はちがうとこ行って挨拶してくるかな。フラン、良いかい?」
「フランも行くー!」
「レミリア、大丈夫か?」
一応、保護者に聞いとかないとな。
「別に構わないわ。其の代わりフランのこと頼んだわよ」
「了解。フラン行くよ」
「うん♪」
フランを連れて、他の宴会場所に向かった。
「お嬢様、宜しかったのですか?」
「良いのよ。フランにはもっと外のことを知ってほしいし、それに彼が付いているから大丈夫よ」
「妹様は悠治を信用しているからかしら?レミィは信用しているの?」
「当たり前よ。私達、家族を繋げ直してくれた人なのだから」
「君達も来てたんだ」
「あ、悠治さん!」
「わはー、お兄ちゃんもいたのかー」
最初に見かけたのは大ちゃんとルーミアがいる小さい者ばかりだった。
「チルノいると思ったんだが、いないのか?」
「実は‥‥」
大ちゃんが指差す方では、弾幕ごっこをしているチルノと魔理沙がいた。
あ、魔理沙用事を終らせて来てたのか。
「あの、悠治さん?後ろの方は?」
「ん?ああ、フランのことか」
「フ、フランドール・スカーレット‥‥です‥‥」
俺の背中に隠れながら自己紹介をする。
ずっと地下に居たから、今までこうゆうの無かったんだな。
「私は大妖精、皆からは「大ちゃん」って呼ばれてます。よろしくフランちゃん♪」
「ルーミアだよーよろしくー」
「よ、よろしく‥‥」
「‥‥大ちゃん達、ちょっとゴメンね」
一度後ろを見て、フランのことを見る。
「緊張してるのか?同じくらいの子と話せなかったもんな」
「違うの‥‥大ちゃんたちとお友達になっても、フランのこと恐がれるかもしれないから‥‥」
また一人になるかもしれない‥‥
そう思ってんだな。
「大丈夫だよフラン、君は優しいから」
「フランがやさしい?」
「うん、フランは誰かを傷つけたくないって思っているでしょ?なら大丈夫だよ、勇気をだして行ってきな」
「う、うん!」
俺に強く頷いて、フランは大ちゃん達の所へ向かった。
「あ、あのね‥‥」
「レミリアさんの妹さんでしょ?スカーレットって言ったから」
「じ、じゃあフランのこと恐い‥‥?」
「ぜんぜん恐くないよー。ね、大ちゃん♪」
「うん♪むしろ可愛いよ」
背中越しでわからないが顔が赤くなっているな。耳まで赤くなってるし。
「か、可愛いなんて‥‥///」
「な、大丈夫だったろ?フランを受け入れてくれる人はいくらでもいるんだから、自分から避けちゃ駄目なんだ」
「///‥‥うん、ありがとうお兄ちゃん」
「じゃ、俺は違う所へ行くかな、フランは此処に居るか?」
「うん♪フラン、お友達と遊んでる!」
フランに手を振り、俺は他の場所に移動することにした。
あ、レミリアになんか言われるかな?まあ、大丈夫だろ。
「よっ」
「あら、こっちに来たのね」
賽銭箱の近くで酒を飲んでいる霊夢の隣に座る。
「私といても何にも面白いことないわよ?」
「少し休みたくてな、此処からだと色々見渡せる場所だし」
「ふぅ‥‥」と溜め息を一つ吐いて周りを見る。改めて見ると凄い光景だな、殆どが妖怪や妖精で占めてるな‥‥あの角が生えた子もなのか。
「あ、面白いかは別だけど、はいこれ新聞」
「なんで新聞?」
「あんたのこと書かれているのよ」
霊夢から受け取った新聞を見ると‥‥
驚愕!!突如現れた外来人が異変解決!?
先日の紅霧異変にて博霊霊夢、霧雨魔理沙と共に外来人、不知火悠治は異変を解決しに向かった。
彼の能力は特殊で人間にも拘わらず、翼を生やすという人間離れした力の持ち主のようだ。
紅魔館の主レミリア・スカーレットの妹、フランドール・スカーレットと対決し、彼一人で戦い勝利した。もはや人間ではないと私は感じた。
その後‥‥‥‥以上のことにより今後も私の調査対象になるでしょう。
(記者:射命丸文)
「‥‥なんすかこれ‥‥?」
「新聞」
「い、いや‥‥そうじゃなくて‥‥」
なんだよこの新聞‥‥合っている気もするが‥‥いや全くあってねえよこれ‥‥
「てか何だよこの記者は、人間離れしているって酷くねえか!?ていうかなんで俺の名前知ってんだよ!」
「いつもそんな感じだしね、あの天狗は。それに天狗の情報網は幻想郷最速だからおかしなことじゃないわ」
幻想郷っていろいろとおかしいよな‥‥今更だけどよ‥‥
「‥‥まあ、俺も幻想郷の一員となれたと考えれば、少しはポジティブになれる‥かな?」
「前向きにってことね、悠治らしいわ」
「そうかもしれないな‥‥じゃ、またそこら辺回ってみるかな」
霊夢から酒を貰って、別の場所に向かう。
と言っても何もないので、神社の裏手に回った。
「やっぱ此処が落ち着くな‥‥」
神社の裏手は木々が開けていていて、丁度月が見えている。
それに、少し崖になっていて、真下から遠くの方まで月明かりに照らされている。
かなり良い景色だ。
「‥‥俺、皆を守れたよな‥でもあの時、このスペルカードが無ければ魔理沙は‥‥」
一枚のスペルカードを取り出す。
『君を守る翼』‥まだ自分でも分からないことばかりなスペルカードだ。
「もっと強くならなきゃ俺は、誰も守れない‥‥」
スペルカードを見ながら最悪の光景を想像したときには、そんな言葉を呟いていた。
「駄目だ!こんなこと考えちゃいけねえよな。俺らしく、前向きにってね」
酒をグイッと飲み、一気に飲み干す。
「プハァっ!‥‥やっぱり酒は苦手だな‥‥ハァ、流石に酔いが回ってきたし、戻るか」
立ち上がり、月を見上げる。
「‥‥良い月だ」
俺はまた五月蝿くも賑やかな宴会場に戻ることにした。
余談だが、魔理沙とチルノの弾幕勝負はチルノがボロボロに負けたようだ。
書くのを忘れてましたが美鈴は、荷物係でしたのでぶっ倒れてます。
次回は日常風景を書こうかと思います。
早ければ2週間程で遅ければ1ヶ月ですね‥‥
はい‥‥すいません、自分の力不足ですね‥‥