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魔王軍の補給路を断つ者 〜現代の物流コンサルが、無能な勇者パーティをクビになって辺境の輸送革命を起こすまで〜  作者: U3
第1章:追放と再出発

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第9話 蒼海を征く鋼の箱

 王都を「パンの価格」と「インフラ」で掌握したサトシの次の一手。それは、内陸を支配する血管から、世界を繋ぐ動脈への進出――王都最大の港「リヴァイアサン・ポート」のハッキングだった。




 石造りの岸壁には、帆を畳んだ数十隻の大型帆船がひしめき合っている。だが、その光景はサトシの目に言えば「効率の墓場」でしかなかった。


 無造作に放り出された樽、形もバラバラな木箱、それらを一斉に運ぼうとして喧嘩を始める荒くれ者の荷揚げ人たち。入港した船が荷を降ろすのに3日。積み込むのにさらに4日。その滞留時間は、経済の死と同義だった。




「……酷いな。これは物流ではない。ただの『物の停滞』だ」




 サトシは194cmの巨躯を包む軍用ロングコートの襟を立て、岸壁を見下ろした。


 30歳。男としての円熟味と、冷酷なまでに研ぎ澄まされた合理性が、彼のブルーグレーの瞳に宿っている。その貌が不快げに歪むのを、傍らに立つ女性が申し訳なさそうに見つめていた。




「申し訳ありません、サトシ様。……私の力不足ですわ。ギルドの利権と、古い慣習が、この港の息の根を止めているのです」




 そう語るのは、王立海軍・海運管理局長、マリーナ・オリヴィエだ。


 22歳の彼女は、健康的で知的な美貌を誇っていた。


 身長168cm。海軍の制服であるネイビーのジャケットを纏い、タイトなミニスカートからは、王国一と称賛される、すらりと長く、引き締まった美脚が伸びている。艶やかな黒髪をポニーテールにまとめ、ネイビーブルーの瞳を伏せる彼女の姿には、現場の男たちを容易に平伏させる、凛とした気高さがあった。




「マリーナ、あなたのせいではない。……この世界には、まだ『箱』の概念がないだけだ」




 サトシは194cmの視点から、港の中央に設置された巨大なクレーン――サトシの指示でリンネが建設した試作機を指差した。




「今から、港のルールを書き換える。……マリーナ、全船主に通告しろ。これより、『ヴァレリウス・コンテナ』を採用しない船の入港は、一切許可しない」




「コンテナ……。あの、金属の巨大な箱のことですね、サトシ様。……了解です! 既に港湾管理局の全権をあなたに委ねる準備は整っています!」




 マリーナは力強く頷いた。彼女にとって、サトシは腐敗した港を救ってくれる唯一の希望であり、その圧倒的な長身と知性から放たれるカリスマ性に、一人の女性として強く惹かれていた。彼女はサトシの隣を歩く際、意図的にその美しい脚のラインが際立つように背筋を伸ばし、彼の一歩一歩に合わせた。




 1時間後。港の戦略会議室には、サトシを支える7人のヒロインたちが集結していた。


 


「サトシ様、王都の商船ギルドからの『コンテナ導入反対』の署名ですわ。……もっとも、先ほどセラフィナ様が、反対派の船主たちの借用書を全て買い占めてくださったので、これはただの紙屑になりましたけれど」




 リディアが、知的なアッシュブロンドの髪を揺らしながら、完璧な事務処理済みの書類を提示した。サトシとの身長差、そして彼への献身。彼女の視線には、大人の余裕と愛情が混じり合っている。




「物流の停滞を利権にしていた連中など、市場から退場していただくのが一番の最適化ですわ。……サトシ様、次は海の『保険制度』を構築しましょう」




 セラフィナが、サファイアブルーの瞳を冷徹に輝かせた。気品ある佇まいは、港の粗野な空気を一瞬で高級サロンに変えてしまう。




「魔導コンテナの重心安定化、および海上輸送中の気象予測を同期させました。……サトシ、計算によれば、コンテナ化によって荷役作業は従来の800%の速度で完了します。……誤差は0.2%以下です」




 ミラが、魔導計器を見つめたまま、淡々と告げた。知的な貌が、サトシの194cmの背中に寄り添うように立ち、彼との「知的な共有」を何よりも楽しんでいた。




「ま、理屈はいいよ! サトシ、あの巨大クレーン、私が率いる『雷脚』の連中に操作を教え込ませた。あいつら、高いところが大好きだからね!」




 ユーナが、プラチナブロンドのポニーテールを跳ねさせ、快活に笑った。彼女の野生的な肢体は、常にサトシとの距離を詰めようと隙を伺っている。




「サトシ様……。橋だけじゃなく、この岸壁の補強も終わりました。……どんな巨大なコンテナ船が着いても、私が作った岸壁は絶対に壊れません!」




 19歳のリンネが、瑞々しい黒髪を揺らし、真っ直ぐな瞳でサトシを見上げた。透明感あふれる美しさは、殺伐とした港湾開発において、唯一の清涼剤だった。




「……影に潜む妨害工作員は、既に海に沈めておきましたわ。サトシ、あなたの『海』を濁らせる者は一人もいない」




 プリヤが、サトシの影から音もなく現れ、漆黒の瞳でマリーナを一瞥した。長身のプリヤと、美脚のマリーナ。サトシの周りで、長身の美女たちが火花を散らす。




「ちょっと! マリーナも、サトシに寄り添いすぎ! サトシは、私の……ヴァレリウス領の総督なんだから!」




 17歳のエララが、160cmの体で背伸びをしながら、サトシの反対側の腕を抱きしめた。彼女の独占欲は、ヒロインが1人増えるたびに強まっていた。




 サトシを囲む、8人のヒロイン。


 17歳から30歳まで。


 王国、そして海を支配する才能と美貌が、194cmの物流の天才を中心に収束していく。その光景は、もはや一つの伝説の幕開けに等しかった。




「……第1次配送、開始」




 サトシが右手を挙げた。




 ガコン、という重厚な金属音が響き、巨大なクレーンが動き出す。


 リンネが作った規格化された鋼の箱――「コンテナ」が、整然と船の甲板に積み上げられていく。


 これまでの「樽を一つずつ運ぶ」作業とは、次元が違う。


 


 1隻の船の荷役が、わずか30分で完了した。


 港にいた船乗り、商人、そして見物の市民たちは、その「奇跡」に絶句した。




「……な、なんだ、あの速さは……」


「まるで、海が、世界が、最短ルートで繋がっていくようだ……」




 ◇◇◇




 その光景を、港の片隅にあるゴミ箱の影から、震えながら見つめる一団があった。


 勇者アルフォンスだ。


 彼らは魔王軍の砦を追われ、王都に逃げ帰ってきたものの、もはや市民の誰一人として彼らを「勇者」として扱わなかった。




「……嘘だ。あんなの、魔王の魔法よりも恐ろしい……」




 アルフォンスの折れた聖剣は、もはや鈍い鉄屑に過ぎない。


 自分たちが命を懸けて守ろうとした「世界」は、自分たちが「無能」と笑った男によって、跡形もなく、効率的に塗り替えられていた。


 


「勇者様……見てください。サトシ様の隣にいるあの女性……マリーナ局長まで、あんなに幸せそうな顔をして……」




 サトシとマリーナ。194cmと168cm。


 二人の長身の美男美女が、夕日に照らされた岸壁を、颯爽と歩いていく。


 


「サトシ……! お前は、この世界の全てを……物流で奪い去るつもりか……!」




 勇者の慟哭は、出航を告げるコンテナ船の咆哮にかき消され、誰に届くこともなかった。




 ◇◇◇




 その夜。コンテナ船の甲板。


 潮風にポニーテールをなびかせながら、マリーナはサトシと二人きりで水平線を眺めていた。


 


「サトシ様。……私、今まで海がこんなに広くて、自由なものだとは知りませんでした。……あなたが、私の視界を広げてくださった」




 マリーナは、サトシの逞しい腕に自分の手をそっと重ねた。


 健康美あふれる彼女の横顔に、月光が差し込み、その美脚が闇の中で白く輝く。


 


「海はただの広場です。道さえ引けば、世界は一つの庭になる。……マリーナ、あなたの脚力と、この海運網があれば、世界は30日以内に一つの供給網になるだろう」




「……30日。……サトシ様となら、そんな夢みたいな話も、現実になる気がしますわ」




 マリーナは、サトシの194cmの胸元に、自分の熱い鼓動を預けるようにして寄り添った。




 17歳のエララ、28歳のリディア、24歳のユーナ、24歳のミラ、25歳のセラフィナ、28歳のプリヤ、19歳のリンネ、そして22歳のマリーナ。




 8人のヒロインたちの愛と才能を燃料にし、サトシの物流帝国は、いよいよ大陸を越え、全世界の「最適化」という名の征服へと乗り出す。

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