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魔王軍の補給路を断つ者 〜現代の物流コンサルが、無能な勇者パーティをクビになって辺境の輸送革命を起こすまで〜  作者: U3
第1章:追放と再出発

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第13話 魔王城リノベーション、あるいは心臓の入れ替え

 魔王軍の本拠地――漆黒の雲が渦巻き、禍々しい魔力が立ち込める「死の都」。


 そこは数百年にわたり、王国の人間たちが一歩たりとも足を踏み入れることのできなかった、恐怖と絶望の象徴だった。




 だが今、その漆黒の城門の前に、これまで異世界の歴史が目にしたことのない「異形の軍勢」が展開していた。




「……第11フェーズ、開始。これより、魔王城を大陸最大の『自動仕分けセンター』へと改築します。無駄に高い尖塔、入り組んだ迷路のような廊下。……これらは全て、物流の動線を妨げる致命的なバグです。一つ残らず修正してください」




 サトシは194cmの巨躯を、最新型の魔導測量車の上に立たせていた。


 30歳。冷徹かつ完成された美貌。彼が纏うのは、汚れを弾く特殊加工が施された漆黒のタクティカル・スーツだ。タイトなシルエットが、鍛え抜かれた彼の長い四肢を強調し、ブルーグレーの瞳は魔王城の構造を「解体図」として読み取っていた。




「サトシ様、準備完了しましたわ。城内の全空間を魔導スキャンしましたが……あまりに無駄なスペースが多くて、私の美意識が悲鳴を上げていますわ」




 サトシの傍らで、透き通るような白い肌を輝かせ、不快げに眉を寄せたのはリンネだ。


 抜けるように白い肌と、凛とした漆黒の瞳。透明感あふれる美貌を持つ彼女は、今日は動きやすいショート丈の作業服を纏い、引き締まったウエストと健康的な脚を覗かせていた。194cmのサトシを見上げる彼女の視線には、かつての「石工の娘」としての面影はなく、サトシの理想を形にする「創造の女神」としての矜持が宿っていた。




「サトシ様が仰る通り、あの尖塔は航空コンテナの着陸を阻害します。……今すぐ、解体用の魔導重機を投入して、更地にして差し上げますわ!」




「ええ、リンネ。精度は任せます。……ミラ、動力源のハッキングはどうだ」




「……既に終わっています。サトシ。……魔王城の心臓部にある『深淵の魔石』。これを物流センターの『自動コンベア』と『大型エレベーター』の動力として再配線しました」




 ミラが、知的な表情で手元の水晶板を操作した。


 洗練されたライトブラウンのボブカットが、彼女が頷くたびに揺れる。165cmの細身の体をサトシの194cmの影に寄り添わせるミラの姿は、冷徹な機械を扱う魔術師というよりも、王の知略を支える唯一無二の伴侶のようだった。




「魔王を『動力源』として定格稼働させれば、24時間365日、メンテナンスフリーで大陸全土の荷物を捌けます。……サトシ、あなたの考える『魔王の有効活用』。……本当に、興奮するほど合理的だわ」




「サトシ! 私の『物流騎士団』も準備できてるよ! 城門から玉座の間まで、パレットが通れるように一気に道を広げてやるからさ!」




 24歳のユーナが、172cmの肢体を躍動させて割って入った。


 プラチナブロンドのポニーテールを揺らし、ハニーブラウンの瞳を爛々と輝かせる彼女。露出の多い革鎧からは、極限まで引き締まった腹筋と、サトシを誘惑するようにしなやかな脚が覗いている。彼女はサトシの194cmの威容に寄り添い、当然のように彼の腰に手を回した。




「ま、固いこと言ってないで、早くあの中に入ろうぜ。サトシと一緒に『魔王の玉座』を検品するのが、今の私の最大の楽しみなんだから!」




「ちょっと! ユーナ、どさくさに紛れてサトシを独占しないでよ!」




 17歳のエララが、160cmの体で背伸びをしながら、ユーナとサトシの間に割って入った。


 ゴールデンブロンドの髪をなびかせ、エメラルドグリーンの瞳を燃え上がらせる領主様。サトシとの身長差、34cm。彼女は必死にサトシのもう一方の腕を掴み、その逞しい二の腕に自分の顔を押し当てた。




「この城は、私の領地の新しい『物流支店』になるんだから! 一番に乗り込むのは、領主である私とサトシなの!」




「ふふ、エララ様。公務の場では節度を持ってくださいな。……サトシ様、実務面の準備も完了していますわ。魔王軍の残党を『仕分け作業員』として再雇用する契約書、既にプリヤが全員に署名させておきましたわ」




 アッシュブロンドを美しくまとめ、大人の色香を漂わせるリディアが、知的なブルーの瞳を細めて微笑んだ。彼女の隣には、サトシの影から音もなく現れたプリヤが立っている。174cmの長身とエキゾチックな美貌を持つプリヤは、漆黒の瞳に冷徹な光を宿しながら、サトシの首筋に甘い吐息を吹きかけた。




「……抵抗する者は、一人もいません。サトシ。……彼ら、あなたの構築した『福利厚生』という名の暴力に、完膚なきまでに調教されていますわ。……ふふ、あんなに震えながら履歴書を書く魔族を見るのは、愉快でしたわね」




 サトシを囲む、7人の絶世の美女たち。


 17歳のエララ、28歳のリディア、24歳のユーナ、24歳のミラ、25歳のセラフィナ、28歳のプリヤ、そして19歳のリンネ。


 


 サファイアブルーの瞳を持つセラフィナが、魔王の財宝を「物流投資の原資」へと換金する計画書を掲げ、気高き微笑みを浮かべる。


 


 194cmの冷徹な管理職。


 その巨躯を太陽として、7人の惑星が、愛と忠誠、そして独占欲を秘めて回転している。そのビジュアルは、絶望の地であった魔王城を、一瞬にして世界で最も華やかな「舞台」へと塗り替えていた。




「……解体、開始。ターゲット、魔王城正門。……動線を20メートル拡幅してください」




 サトシの冷徹な号令が響いた。




 魔王城、玉座の間。


 そこには、異世界の支配者として君臨してきた魔王が、困惑と屈辱に震えながら座っていた。




「……な、なんなのだ、貴様らは! 我が軍の精鋭たちが、なぜ剣を捨てて『箱』を運んでいる!? この城を、我が聖域を、なぜ勝手に測量しているのだ!」




 魔王の叫びに答えたのは、194cmの巨躯で歩み寄るサトシだった。


 サトシは、魔王が放つ漆黒の魔圧など、まるで「空調の不備」程度にしか感じていない様子で、手元の端末を確認した。




「魔王。あなたの存在は、この大陸における最大の『不確定要素』でした。……ですが、あなたの魔力出力を計算した結果、これを『自動倉庫の電力』に転換すれば、大陸全体の物流コストを23%削減できるという解が出ました。……おめでとう。あなたは今日から、私のシステムの『メイン・ジェネレーター』として、世界で最も価値のあるリソースに昇格します」




「……リソースだと!? この私を、ただの動力源にするというのか!」




「不服ですか? ……現在、あなたの軍勢は食糧自給率が5%を切っています。このまま私に抵抗すれば、あと72時間以内に、この城は『餓死者』という名の廃棄物で埋め尽くされる。……それよりは、私の傘下に入り、定時配送の恩恵に預かる方が、合理的だとは思いませんか?」




 サトシの背後で、リンネが魔導重機を操作し、玉座の隣にある壁を粉砕した。


 ユーナが率いる物流騎士団が、瞬く間にそこに「ローラーコンベア」を敷設していく。


 ミラが魔王の魔力溜まりをケーブルで繋ぎ、リディアがその契約の有効性を民衆に宣言する。




 剣でも魔法でもない。「圧倒的な利便性と供給」という名の暴力。


 魔王は、自分が何百年もかけて築いてきた恐怖の帝国が、たった数時間の「工事」によって、便利で効率的な「物流センター」へと書き換えられていく光景に、膝を突いた。




「……サトシ。お前は……人間ではないのか。……なぜ、恐怖も憎しみもなく、ただ『最適化』だけで私を支配できるのだ……!」




「私はただの、物流のプロですから」




 サトシは冷淡に言い放つと、魔王の横を通り過ぎ、玉座の裏にある「最短のバックヤード動線」の確認へと向かった。




 ◇◇◇




 その頃。王都の物流センターのゴミ捨て場で。


 かつての勇者アルフォンスは、サトシが導入した「新規格の計量器」に適合しない貨幣を握りしめ、地面に這いつくばっていた。




「……ああ、ああ……。魔王城が、落ちただと? ……サトシの手によって? ……剣も振るわず、魔法も使わず……ただ、あそこに『道』を引いただけだというのか……」




 アルフォンスの黄金の鎧はもはやゴミ袋の中にあり、聖剣は重さを量る際の「文鎮」として役人に没収されていた。


 自分たちが「悪」を倒そうとしていたその場所が、今や世界で最も便利な「物流の心臓部」に生まれ変わっている。


 自分たちは、戦うべき相手さえも、サトシに「顧客」や「従業員」として奪い去られたのだ。




「サトシ……! お前は……お前だけは……!」




 勇者の慟哭は、魔王城から届いた「第1回、超高速定期便」の到着を告げる鐘の音に、無慈悲にかき消された。




 ◇◇◇




 その夜。魔王城の最上階。


 今は「中央管制テラス」となった場所に、サトシと7人のヒロインたちが集まっていた。




 魔王の魔力によって、城全体が青白い「物流システム」の光でライトアップされている。かつての禍々しさは消え、そこには機能美を極めた、世界で最も美しい夜景が広がっていた。




「お疲れ様でした。サトシ様。……これで、この大陸の『流れ』は、完全にあなたの掌の上ですわ」




 リディアが、キンキンに冷えたワインをサトシに差し出した。


 サトシは194cmの体を、魔王の玉座からリメイクされた特注のオフィスチェアに預け、一口飲んだ。




「……最適化は、まだ途上です。リディア」




「分かっていますわ。でも、今夜だけは。……この『世界の心臓部』で、私たちとの時間を楽しんでくださいな」




 リディアの言葉を合図に、ヒロインたちがサトシに寄りかかる。


 


 エララがサトシの膝に乗り、160cmの体で彼を見上げる。


 リンネがサトシの足元に座り、透明感あふれる瞳で彼を見つめる。


 ミラがサトシの隣で、複雑な数式を共有するように肩を寄せる。


 ユーナがサトシの背後から、しなやかな腕で彼の首を抱きしめる。


 セラフィナがサトシの正面で、優雅に脚を組み替えて微笑む。


 プリヤがサトシの影から、耳元に囁きかける。


 


 194cmのサトシを巡る、7人の絶世の美女たち。


 彼女たちの瞳には、もはやサトシという「支配者」に対する、狂信的なまでの愛と熱気が宿っていた。




「第12フェーズ、移行」




 サトシは、彼女たちの熱を一身に受けながらも、冷徹に独りごちた。

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