拷問
けっきょくあずみ捕まる
”拷問ではなく、それは肛門だった―――”
中央広場。そこに展開されていたのは一般的なブルーシート。その上に規則正しく並べられたのは、『弱珍村』名産品のきゅうり。
そのきゅうりは横一列に等間隔。50cm毎に束となって配置されている。
何一つ代わり映えのない、一般農家の出荷風景だが―――農作業とは明らかに異なる点がひとつ。
そう、全裸の成人男性である。
きゅうりの束につき一人。どこか頼りない細々とした男が、四つん這の姿勢のまま跪かされていたのだ。
「フォフォ。準備ができたみてェだなァ。」
その様子を見ていた老人が、腰掛けていたアモ・ボックスから立ち上がる。
「コラコラ、マグナム。この野郎共、さては息をしとるように見えるがのう。」
「フォフォ、村長。そりゃオレのチン口径だって、今に火を吹きたくて疼いてんだけどよォ。」
「作戦では今頃、弱男は纏めてあの世行きの筈じゃったが?」
「それがよォ、入ってこねェんだわ。」
弱者男性で構成された『弱珍村』。ひ弱なオス共に反撃の余地はなく、半刻も経たずに村の全領域は制圧完了。―――にも関わらず。
「一向に入ってこねえ。『祠』の情報が―――。」
「部下も総出で捜索に当たらせているが―――こんなに長時間発見できないのは異例中の異例。このままでは、『村レイド』を完了できねェ。」
「儂は言い訳は聞いとらん。たかが弱男相手に作戦通りに行かんとは、どういうことなんじゃ。」
「分かんねェ。けど何か仕組みがあンだろォ。それを今から確認すンだよ。」
"生かし続ける方"はあまり得意じゃねェんだが、仕方ねぇ。あれ、やるか……。
「いやっ!やめてっ!」
マグナムは、少女を乱雑に放り投げる。少女の眼前には、四つん這い姿勢の父親―――全裸にネクタイと眼鏡のみを着用した男―――が、生まれたての子鹿のように震えていた。
「フォフォ。こんなに艶の良いきゅうりは初めて見たぜ。なあ、父さんよぉ?」
マグナムは、成人男性の肩を強く叩く。
「ッッッ!あずみにはッ!あずみには手を出すなッ!」
成人男性は、飛び跳ねるような声で応答する。その全身は汗で濡れ、目は怯えている。
「言われなくても、ガキに手を出すことはねえよ。こいつらにはまだ『用途』があるからな。」
「ッッッでは、一体何が目的だッ!」
「いやァ、こんなに立派に育ててくれた作物を、自分で賞味できないのは悔しいだろうと思ってなァ。」
「な、何をッ……!!?」
次の瞬間、叫ぶ男の声は、やがて力なき苦悶の吐息へと変わった。
「ッッッ〜〜〜〜ン"ッ"!!!!」
「―――ッッ!!」「ひどい……ひどすぎる……!」「(舌を噛み切って絶命)」
その光景を隣で見ていた他の弱男達は涙を、時には血を流して絶望にふける。
弱男の肛門にインサートされたのは、その直径をたっぷりと実らせたきゅうり。それは正しく完全な固形であった。
同じく肛門を用いる行為、『排泄』によって通過されるオブジェクトが比較的高い軟度を有しているのに対し、圧力によって変化しないきゅうりの挿入は、完全な苦痛を伴うものだった。
「フォフォフォ、そうだ。質問を忘れてたなァ。」
マグナムは何度か股間を掻いた後、片膝を立て姿勢を屈める。
そして男の耳元でゆっくりと、しかし明瞭に囁いた。
「――――――『祠』は何処だ。」
囁き声と同時に、男の肛門には、2本目のきゅうりが挿入されていく。
「ッッッァア"ア"ア"ア"ア"!!!!」
「いいのか?娘さんが見てるぞォ?」
挿入中のきゅうりは、栄養の偏りがあったからか、その形は大きく弧を描いている。
1本目とは異なるハードな見た目に反し、腸内を掻き乱される男。叫ぶ娘。
「お父さん!お父さん!!」
「フォフォフォ。まだ吐かねェとは見下げた根性だぜ。では3本目と行きたい所だが……おや?これは……」
「……ッ!!!!!!!!」
弱男の前に差し出されたのは、きゅうりではなく、ゴーヤだった。
弱珍村は、ゴーヤも栽培していたのだ!ゴーヤ最高!
極限状態に陥った弱男は遂に自らの舌を噛み切ろうと、舌を出す。
「お父さん、もういいの!もう、やめて……」
しかし、そこで娘は父親に抱きつく。
弱男父は、強く瞼を閉じ、嗚咽混じりに涙を流す。
「……ッ、あずみッ……ごめんっ……ごめんなぁっ……!!!」
周囲の弱男達も、それに同調するように声を掛ける。
「……もういい。」「子どもたちの命さえ助かれば、それで良いんだ。」「俺達の命なんて、惜しくない。」
「皆……!すまんっ……!」ボロボロ
「フォフォフォ、感動するなァ。後ろの口が開き切る前に教えてくれて嬉しいぜ。で、祠はどこだ。」
「中央広場に石碑がある……」
「あァ、これか?」
『定礎 1805年4月。この公園は、弱珍共済の基金により、……』
「実はその定礎の年号はパスコードの入力画面になっている。……祠の発生コードは『4810105(よわいおとこ)』だ……」ガクッ
「どれどれ……よ、わ、い、お、と、」ピッピッピッ
ライブコンサートの舞台装置のように、地面からせり上がってきた祠。
「ハハハハハ!ハハハハハハハ!」
強男は、大きく口を開いて笑い始める。
「こいつは傑作だ!!!!まさかこいつら、祠を『デジタル化』してやがったとはなァ!!!!」
「待て、マグナム。こやつら、全員で舌を噛み切って死ねば、情報など与えずに済んだはずじゃが……こいつは妙じゃぞ」
「何いってんだよ村長、俺が正しかっただろォ!?オラァ!!『占領完了』だァ!!」
オレは、凌辱の勢いままに、竿を勢いよく擦り上げる。
「ならん!祠を壊してはならん!」
イ、イクッッッッ!!(おちんちんマグナムを発射する)
吹き飛ぶ祠!しかし!
「オ、オイ……」
「どうなってる!?」
「祠のLED電飾が赤く光り輝いているぞ!?」
祠『エラー。攻撃を検知。弱男村 最終兵器〈健太〉を起動します。』
「な、何!?」
「どういうことだ、これは!?」
パァンッ!
「おい!こいつら、勝手に死んで行くぞ!」
「なんだ、集団自決かよ!」
「いいや、違う―――。こいつらは諦めた訳じゃない。この胸騒ぎは、そうか。」
これは罠――――――!
「お前ら、防御姿勢を取―――」
その瞬間だった。
暗闇の夜空に突如として現れた、眩い閃光。
その逆行の中に浮遊していたのは、マグナムが連れてきた一人の少年、「健太」だった。
「好き勝手―――やってくれたな。」
「お前は一体―――!??!?」
「俺のオナホ達を、返してもらうぜ。」
あきた




