数珠
弱珍村の中央広場。その入り口には黒い石碑が設置されており、明朝体でこう刻まれている。
『定礎 1805年4月。この公園は、弱珍共済の基金により、弱者村民の交流、及び健康の促進を目的に設立されました。この美しい風景を後世まで残し、由緒ある伝統を守っていきましょう。』
「「「 マ ン コ 」」」
―――実際に公園に目を向けてみると、それは凄惨たる光景だった。
若い女達は蹲踞ポーズ、亀甲縛りで姿勢を固定され、それが一つの円を描くように数珠繋ぎで配置されている。
捕まった子どもたちは、その円の中に放り込まれると、その『肉の檻』を構成するパーツの一つに自分の母親の姿を見つけ、ただ泣き縋る他に無いようだった。
「ガハハ!今月は大漁だな!」
「もう待ちきれねえよ俺!マグナムの兄貴はまだ戻らねえのか?」
カラシニコフを引っ提げた強襲兵たちは、笑みを浮かべながら『略奪品』を吟味している。
そう。今や公園の存在目的は『女子供の拘束、及び性欲の促進』へとすり替わり、石碑はピンク色のスプレーで乱雑にただ一言。『マンコ』と上書きされていたのだ。
「お、おい!こいつ見てみろよ!」
股間にテントを設営した強襲兵の一人が、おもむろに『肉の檻』を指差す。
「うお」「乳輪でっか……」「メスフェロが濃厚すぎる……」
その評判を聞いた強襲兵たちが、次から次へと彼女の元へと集まり始める。
その人差し指の先には、眼を見張るような恵体が一人。長乳を垂らしながら男達を誘惑していたのだ。
はぁ……はぁ……
淫靡な息遣い。艷やかな肌。
その見た目は、周囲の肉体のそれとは一線を画していた。
くねりと上体が動く度に、彼女の身体に巻き付いている麻縄が、腹、太腿、胸の奥深くへと食い込んでいく。痛みなのか、はたまた他の感覚なのか。耐え切れずに身体をよがらせると、行場を失った彼女の乳がぶるんと、逃げ場を求めて変形する。
カラシニコフのトリガーに掛かっていた男たちの指が、次第に彼らのズボンのチャックへと伸びてゆく。
ごくり。
男達の唾を飲み込む音が、静寂の中に響く。
はぁ……んはぁ…、
ポンッ。
女の口に嵌め込まれていたギャグボールが、音とともに勢いよく飛び出す。
その音が、まるでシャンパンの栓を開けたように、強襲兵の本能―――生殖欲求―――『彼女との子供を、作りたい』という思い―――を、勢いよく弾けさせた。
彼女は長い黒髪をぶわんと振る。そして、三秒ほど呼吸を整えた後、濡れた唇を開く。
「ちょっと……早くう……旦那の弱チンポじゃもう、満足できないのお……♡♡♡」ムチムワァ♡
「く、くそおおっ!」バッ
ついに、誘いに痺れを切らした一人の男が、パンツを置き去りにその尻へと飛び掛かる。
「あ、おい!何やってんだ!」
「我慢できるかっ……こんなのっ……!!」
しかしその瞬間、男の性欲を断ち切るかのように銃声が鳴り響く。
皆が振り返ると、そこには痩せ細った高身長な男が一人、直立不動でライフルを空に向けていた。
その強面は、サングラス越しにも、融通が利かないであろう印象を覚えさせる。
「止めろ。兄貴が戻ってくるまでは待機との命令だ。」
「だ、だってあの女!完全に『雌の顔』なんだぜ!?ファックしねぇなんて、こんなの、誰にとっても得じゃねえよ!」
男は、我慢汁を垂れ流しながら必死にアピールする。
すると、サングラスの男は、突如としてその強面をしかめる。
「俺だって、俺だってなぁ……!」
皆の目線が、サングラス男の股間に集まる。
「!!!!!!」
そう、彼の股間にもまた、富士山と見間違う程までに立派な山が、高らかに聳え立っていたのだ。
「俺の金玉だって、当にはち切れる寸前なんだよ!!今の発砲だって、俺は撃たなければ我を失っていた……!」
「うっ………!」「くぅぅ……!」「ひどい……!」
目の前に、熟した果実が実っているのに。
子孫を残せと、こんなにも金玉が叫んでいるのに。
凌辱を人生最大の楽しみとしている淫臭村の兵士にとって、絶世の美女を前にしたおあずけなど、それは最早、拷問に等しかった。
弱珍村中央広場。女、子供、男達。その場の誰もが涙を流していた。
すると、どこかの男がぽつりと呟く。
「まてよ、兄貴は『女とヤるな』って言ったんだよな?」
「ああ、そうだな……」
「じ、じゃあよぉ、その女に手さえ触れなければ問題無ぇんじゃねぇのか……!?」
「!!!!!!」
マスタベーション。
ボスの命令を回避する、一つの抜け穴。
溜まりに溜まった男達の金玉に、一筋の希望が差し込んだ。
「見抜きだ、見抜きだ、見抜きだあああ!!!」
「う、じゃあ、俺も……」「俺もだ!」「俺もさせろ!」
サークルジャーク!
その女を中心に、弧を描くように集まった数十人の男達。
より平等に視界を共有するため、女に最も近い前段の人間はあぐらをかいて座り、後段にゆくにつれ膝立ち、中腰、屈み、直立と、さながら集合写真のようなフォームが暗黙的に定められた。
一人がシコると、シコに釣られた男がシコシコり、シコシコしたシコシコが誘発したシコシコで現場はシコシコシコシコシコシコシコシコでシコシコシコシコだ!!!
男達の弧からは、湯煙が立ち上がりはじめる。それは熱気だろうか。いや、それはペニシコ摩擦で発生した熱なのだ。
高速運動するピストン。その見た目はさながら蒸気機関のようであった。全体の空気が張り詰め、いよいよ最高潮に達したその瞬間。
「「「イ、イク―――――――!!!!!」」」ピュロピュロロロオロオ
「今よ!あずみ、逃げなさい!」
女は突如として叫んだ。
「な、何ィ!!?!?」
飛び散る精液の隙を縫って、肉の檻から飛び出したのは、一人の少女だった。
「女の娘か!?」「ちくしょう!やりやがった!」「お、おい!追え!追え!」
だが、射精直後。腰の砕けた兵士の中に、その少女追えるものなど、一人として残ってはいなかった。
「こ、この女、やりやがったな!」
「犯せ!犯せ!犯せ!犯せ!犯せ!犯せ!犯せ!犯せ!犯せ!犯せ!犯せ!」
男達は一斉に、女の体に飛びかかる。
屈強なチンポの海に溺れた女は、力なき声で祈った。
「あずみ……逃げなさい……!」




