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『異世界議員はつらいよ』  作者: カリア
第1部《議会爆発編〜定時を取り戻せ!》
7/23

第7話 目指せ全国大会!爆笑討論トーナメント開幕

「では、次の目的地は……こちらですわ♡」


リエルが掲げた地図の上には、キラリと輝く**「クシロ」の文字。

異世界ニッポンの首都であり、討論バトルの全国大会──『政論グランプリ』**が開催される聖地である。


「なんでクシロが首都なんだよ!? 凍ってるじゃん!」


「寒冷地手当と魔法暖房の導入により、超住みやすいスマート首都として開発されましたの」


異世界、なぜかこういうとこだけやたら先進的。



今回の大会には、全国から16政党が参加。

公開トーナメント方式で、討論によって勝ち抜き、最終的に「次期・統一連邦代表」に推薦されるとかなんとか。


「おかしいな、俺たち元々は地方代表だったはずなんだけど……」


「支持率全国3位ですもの♡ 国民の注目度がすごいんですのよ」


「そんな人気、実感ないけどな……」


「街頭インタビューで“あの猫耳くんがカワイイ!”って100人中68人が答えましたわ」


「え!? 俺は!?」


「3人です」


「せめて二桁……!」



そしてついに開幕した全国討論トーナメント!


オープニングセレモニーは壮大だった。

魔法花火が舞い、各政党のマスコットが踊り、政治の尊厳が30%ほど失われた。

その中で発表された初戦の対戦相手は──



◆対戦政党:筋肉主義政党《ムッキム党》


代表:バルク=ダンベルゴッド

•職業:全身筋肉

•政策:すべての問題を筋肉で解決する

•討論スタイル:肉体言語+筋論詠唱型魔法

•主張:「筋肉こそが社会基盤」



「え、討論って“言葉”でするんだよね?」


「そうですね、一応。

ムッキム党の場合は“怒鳴りながらプロテインを撒く”のが討論らしいですわ♡」


「それただの迷惑系ボディビルダーだよ!?」



そして試合当日。


アリーナに登場したのは、全身にオイルを塗りたくり、スーツを筋で破って登場するバルク=ダンベルゴッド。


「政治とは……鍛え抜いた心と肉体!!

財源? そんなもの筋肉で作る!!」


「すでに日本語が通じてない!!」


観客席からは「バルク〜ッ!!」「魅せて〜!!」という熱狂的な筋肉コール。

謎の人気。だが負けられない。



試合開始!


バルクがまず叫ぶ。


「発動──筋肉討論魔法《グレートマッスルロジック!》」


彼の全身が光り出し、筋肉が弁論のごとく収縮する。


《筋肉=努力=信頼=政治資本》


「理屈の飛躍がアスリート並だな!?」


会場が沸く中、俺は一歩前に出る。


「わかったよ、ならこっちは言わせてもらう!」


「発動──**“ノー残業信条・アドレナリンエディション!”**」


拳を突き上げ、叫ぶ。


「働く者が身体を壊す社会に、未来なんてない!

筋肉だけじゃ守れないものがあるんだ!!」


ズバァァァァン!!

観客から拍手!支持率+10%!



「いくぞ猫耳!」


ミャウルが前へ出る。


「筋の道

通らぬ論に

鉄拳を」


詩を詠むと同時に、空中にプロテインシェイカーが爆発した。


「発動──**“韻律破筋マッスルブレイカー”**!」


詩的な批判が筋肉構造にダメージを与え、バルクが一瞬よろめく!


「う、うおおおおお!! 詩で腹筋が!!」



「トドメよ」


クラリスがすっと前へ出る。


「あなたは言ったわ。“筋肉で問題を解決する”と。

なら、この問題に答えて──」


彼女は魔導タブレットをかざした。


「“少子化対策、筋肉でどうする?”」


バルク「えっ……?」


「“教育政策、筋肉でどうする?”」


「う……うぐっ……」


「“議会の透明性、筋肉でどうする?”」


「ぎゃあああああああ!!」


バルクの筋肉から蒸気が噴き出し、スーツが完全に粉砕されて討論不能状態に!



勝者:残業ゼロ党!!!


支持率全国2位へ浮上!!



リエルが小さく拍手しながら言った。


「さすがですシン様♡ 筋肉にも、言葉は通じましたのね!」


「最後、通じてたか? ほぼ爆発してた気がするんだけど……」


ミャウルが一句。


「筋と筋

交わらぬなら

火を吹こう」


怖ぇよ。



だが次の対戦相手は、さらにクセが強いらしい。


その名も──**“AI統治党オートマチック・アイディアル”**。


理想の自動政治、機械による政策判断。

相手は感情ゼロの冷酷ロボ候補者……!


「異世界議員は……まだまだつらい。」



(第7話 了)

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